復職してから再発を予防するために大切な3つの心得
【目次】
復職はスタートです。ゴールではありません
再発予防とは、“ストレスが生じないようにする事”“症状が全く生じないようにする事”ではありません。
リハビリの階段を作ろう ~休職から復職へうつるとき~
今回のまとめ
はじめに
日常生活で困りごとが生じ、会社を休職し、治療を受ける。
そして、いよいよ復職となった際に皆さんが気にされることは、“また症状がぶり返さないか?”“また休職したらどうしよう”といったことではないでしょうか?
そこで、今回は再発予防について、解説していきたいと思います。
復職はスタートです。ゴールではありません
復職へ向けて治療をしていると、いつの間にか復職すること自体がゴールになってしまうことがあります。しかし、復職はゴールなのでしょうか?
たしかに、復職できる状態にまで回復できたことは、一つの到達点です。誇るべきことです。
しかし、まだその先があるのです。つまりは、復職し、仕事を続けるということです(欲を言えば、イキイキと自分の強みを生かし、やりがいを感じながらお仕事ができるようになることを、治療者一同としては望んでおります)。
仕事を続けていくうえで大切なことは、治療で身に付けた技術(上手な断り方・気持ちが沈む考えにとらわれないようにする、など)を実際の仕事場面でうまく使うことです。休職前はうまく乗り切れずにつらい思いをしていた状況をうまく乗り越えていくことが再発を防ぐためには重要です。
そのような観点から考えると、復職はスタートラインと考えることができます。
治療中は必要な技術を習得します→復職後はそれを試行錯誤しながら試していく段階に入るのです。
再発予防とは、“ストレスが生じないようにする事”“症状が全く生じないようにする事”ではありません。
人生にはストレスに感じる出来事が必ず存在する。
例えば、普段生活をしていて落ち込むことや不安になることはありませんか?緊張したり、くよくよ悩むことだってあるかもしれません。
つまり、生活の中から“ストレスや症状を全く生じないようにする”ということは難しいのです。
では、どうするのか?
それは、今まで身に付けてきた方法を使って、ストレスや症状が生じたとしても自分で乗り越えていくことです。そのため、復職したあとは、仕事場面の中で“治療で身に付けてきた方法を使ったり、アレンジしたりできるか?”を自分で考え、実行することが重要です。
あらたまこころのクリニックでは、自分の力で対処していけるようになることを重視しています。それこそが再発予防と考えることができるのではないでしょうか。
リハビリの階段を作ろう ~休職から復職にうつるとき~
野球の選手が、骨折して、ギプスを付けたとします。ギブスがとれ走れるようになったとしても、すぐに試合に出ることができません。ボールを投げることができれば、医学的には治った状態ですが、1軍のピッチャーとして復帰するには、140kmのボールを投げる必要があります。
職場で求められる“治った”レベルと医者で求められる“治った”レベルは異なります。少しずつ、仕事に慣れていき、時に、身に着けた技術でピンチをしのぎしのぎしながら、休職前の能力を取り戻していきます。
「迷惑をかけたから、頑張ろう」「遅れを取り戻さなくては」と感じることがあるかもしれませんが、焦らないことが大切です。2メートルの壁をジャンプして飛び越えるのは無理ででも、2ずつの階段を上ることができるのです。
今回のまとめ
みなさんいかがでしょうか?今回は、復職対策の一環として、再発予防について解説をしました。
そのために大切な3つの心得として、
- 復職はスタートと考える
- “ストレスが生じないようにする事”“症状が全く生じないようにする事”は不可能であると知る
- リハビリ段階を作って一つ一つ歓談を上っていくイメージを持つ
があることをお伝えしました。
あらたまこころのクリニックでは、①自分で困りごとを見つけ、②対処する方法を身に付け、③それを実際に使ってみて、④結果を振り返る、という一連のやり方を身に付け、実行することが再発予防につながると考えています。
そのため、復職とはゴールではなくスタートラインです。復職したあとにいかに身に着けたことを実践できるかが重要になってきます。
復職する上で再発予防について不安がある方や、関心がある方がいらっしゃいましたら、お一人で悩まず、是非、専門的な医療機関にご相談ください。
あらたまこころのクリニックでは、再発予防を目的としたグループ治療を運営しております。ご興味がある方は、当院のホームページ(復職デイケア)や他のコラムをご参照ください。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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