まずは問題を整理しよう
目次
まずは問題を整理すること
問題を整理する“コツ”
実例で理解する!問題の整理の重要さ
今回のまとめ
はじめに
あらたまこころのクリニックに受診される方々の悩みはさまざまです。
- 上司と上手くやれない
- 家族とのコミュニケーションがうまくいかない
- 不安や憂うつな気分から抜け出せない
しかし、“悩みごとから抜け出せないでいる”という点は、皆さん同じです。
そんな、悩みごとの悪循環から抜け出すための方法が問題解決療法です。
今回はその第一歩、“問題を整理する”コツについて詳しく解説していきます。
まずは、問題を整理すること
私たちが悩みからなかなか抜け出せないのは、そもそも、問題が大雑把にしか見えなくなっているからです。
「自分は今どのようになっているのか?」
「これから自分はどのような生活を送っていきたいのか?」
がはっきり見えていないと、どうすればいいかわからなくなるのは当然です。
問題を整理する“コツ”
まずは、頭の中で考えるのではなく、問題を紙に書き出してみましょう。
みなさんもご経験がないでしょうか?頭の中で考え事をしていると、いつの間にか他の失敗したこと(過去)について考えていたり、これからの人生のこと(未来)についていつの間にか考えてしまっていたり…。そして不安がいつの間にか大きくなっていること。
このようなときは、紙に書き出すことによって、目で見て整理してみましょう(ただし、頭のなかで整理することがすべて悪いということではありません。)。自分の考えや感情、その時のふるまいなどを紙に書きだして、冷静に眺めてみるのです。
実例で理解する!問題の整理の重要さ
架空のケースで困りごとを整理する大切さをお伝えしたいと思います。
例えば、【毎日、一日中不安で困っている】というAさんの困りごとを整理してみましょう。
残念ながら、【一日中不安で困っている】は、大雑把な悩みであると言わざるを得ません。
- 一日中というのは、朝起きてから寝るまでずっと不安なのでしょうか?
- 一瞬でも不安が気にならなく瞬間はあるのでしょうか?
- 不安になったときどのようにして、対処しているのでしょうか?
- そして対処した結果はどうなのでしょうか?
- 逆に、不安が気にならなく時はどんなタイミングなのでしょうか?
- そのときAさんは何をしているのでしょうか?
- 不安が一日中あることでAさんの生活のどこに支障が生じているのでしょうか?
このような観点から、問題を細かくして、整理をしていくことで、次のような点が少しずつ明らかになることがあります。
- 実は月曜~木曜と日曜に不安になる時間が多く(仕事の前の日)、
- 仕事関連のことをみたり聞いたりすると“仕事で発表をするときに周りからどう思われるか”という不安を抱きやすく、
- その不安を抱くと家事が遅くなったり、
- 仕事中に周りの人に相談する機会が減ったり、
- 週末に趣味を楽しむ時間が減っているなどの支障が生じている…
このようなパターンが見つかると、対処の仕方も見つかりやすくなります。
今回のまとめ
悩みから抜け出すための第一歩として、問題を整理することが大切です。
“問題の整理”は問題解決療法の第一ステップでもあります。
“問題を整理する”ときには、自分の考えや感情、そのときのふるまいを紙に書き出して目で見て整理することがコツです。
次回は、SMARTな目標設定の仕方についてお伝えします。
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<問題解決法についての記事はこちら>
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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