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公開日: |更新日: パニック障害専門療法

パニック障害治療ガイダンス:パニック障害を正しく知って治療を計画的に進めましょう

パニック障害治療ガイダンス:パニック障害を正しく知って治療を計画的に進めましょう

07/06/2020【目次】
パニック障害の認知行動療法とは
パニック障害を正しく知る
症状や治療の詳細については以下のブログを参照してください
パニック障害治療の流れ
まとめ

パニック障害の認知行動療法とは

 パニック障害などの不安障害は、一般的に認知行動療法、グループ療法の効果が高く、再発も少ないとされています。機会があれば、パニック障害専門のグループ認知行動療法の手順に沿った治療を受けることをお勧めします。
 そもそも、パニック障害は、「薬に頼りたくない」人や、発症年齢が20才代から30才代の女性が多いので、子どもさんがまだ小さかったり、妊娠・出産を望まれる人もおられ、こういった方にも認知行動療法グループのニードは高く、何とかスケジュールをやりくりして参加されています。
 薬だけに頼らず、認知行動療法やグループ療法で、パニック障害の対処法を身に付け、再発することなく自信を持って生活が送れることを目標にしています。この認知行動療法グループは、習得までにある程度の時間がかかるかもしれませんが、一度、身につけてしまえば、自転車や水泳と同じで、後々まで残り役立ちます。長い目で見れば、最短で効果的なパニック障害の治療法と考えています。

聞き慣れない用語も出てきますが、グループなどでカウンセラーの指導の下、仲間と一緒にプログラムにチャレンジして下さい。自動車学校に入学する様なイメージだとおっしゃる人もいます。始めは何も分からなくても、手順を踏んで身につければ、自動車免許を取って自分でどこにも運転して出かけられるようになるのと同じです。

パニック障害を正しく知る

 パニック障害の認知行動療法では、まずは、パニック障害という病気を知ることから始まります。先に「パニック障害の疾患」「治療法」のコラムを参照ください。パニック障害の病気の理解や治療法の知識が多いほど、治療は、早く確かなものになるでしょう。

ポイントは、身体感覚曝露がうまくできるようになることです。これで、パニック障害が治るかどうかに大きく影響します。
 身体感覚過敏が治らないまま、残ってしまうと、たとえ、パニック障害が、いったんは改善しても、再発しやすいことが知られています。
また、パニック障害が慢性化すると、無意識のうちに身体感覚過敏が続くことで、慢性的な体の不調、自律神経失調症につながる人も多くいらっしゃいます
気がつかないうちに弱いパニック障害が常に起きている状態です。ですから、パニック障害の治療目標として、身体感覚過敏に焦点を絞ります
 パニック障害のプログラムは、身体感覚曝露を、自分で、できるようになるために組み立てられています。

荒療治ではなく、無理なく、広場恐怖に対して、苦手な状況(電車、公共の場所など)を避けずに、大丈夫だという感覚を身につけるように状況曝露と身体感覚曝露を進めます。この2つは治療の柱なります。

症状や治療の詳細については以下のブログを参照してください

1 総論と症状

総論            1_パニック障害で知っておきたい3つのこと
パニック発作        2_パニック・パニック発作とパニック障害はどう違う
広場恐怖症            3_苦手な場所が増えていく 広場恐怖症について
安全保障行動        4_パニック障害を維持してしまう行動って?
身体感覚過敏        5_ドキドキするこの感覚は、身体感覚過敏

2 治療

受診まで    1_パニック障害の治療が始まるまで
薬物療法    2_パニック障害と薬物療法
治療目標    3_パニック障害治療を妨げる誤解について
不安階層表   4_パニック障害治療に取り組むときのコツ
グループ療法  5_パニック障害のグループ療法

3その他

過呼吸のしくみ
パニック障害は梅雨から悪くなる?
不安とは?

パニック障害の治療の流

ステップ1 パニック障害の心理教育

パニック障害という病気を知り、自分の困りごと、悪循環、チャレンジする課題を見つける。

ステップ2 呼吸コントロール法や認知再構成の練

不安の抵抗力を高め、苦手な状況に直面する力を高めるために、呼吸コントロール法や認知再構成を練習します。

ステップ3 苦手な身体感覚を見つけ曝露療法の仕方を練習

苦手な身体感覚曝露と状況を見つけ、無理なく効率的に曝露療法を進める。

電車で心臓がドキドキしてパニック発作が起きたら、自分がどうなってしまうか分からないから、怖くて電車に乗れないといった状況を、「本当は怖くない」と心身ともに身につけるのは曝露療法が効果的です。

  • ドキドキ、息苦しさなど身体的症状が起こるかもしれないと恐ろしくて、避けている日常の活動への曝露
  • 多くの人に囲まれた場所、自由に出られない場所など公共の場所など広場恐怖への曝露

ステップ4 再発予防

まとめ

パニック障害などの不安障害は、一般的に認知行動療法、グループ療法の効果が高く、再発も少ないとされています。
パニック障害は、発症年齢が20才代から30才代の女性が多いので、子どもさんがまだ小さかったり、妊娠・出産を望まれる人もいらっしゃり、当院の薬に頼り切らない治療や認知行動療法グループのニードは高いです。
パニック障害の認知行動療法では、まずは、パニック障害という病気を知ることから始まります。パニック障害に関する入門的な記事をまとめてありますので、ご参照ください。
パニック障害の治療は①心理教育呼吸コントロール認知再構成③苦手な身体感覚に対する曝露再発予防、という流れを踏みます。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。