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公開日: |更新日: マインドフルネス

マインドフルネスについて

マインドフルネスについて

【目次】
私たちの生活の大部分は自動操縦で進んでいる
することモードとあることモード
マインドフルネス~「今、ここ」に繊細に気付く~
今、ここの、自分の体とこころに向き合う
マインドフルネスの心得
まとめ

はじめに

マインドフルネスは、ここ数年、テレビや本、雑誌などでよく取り上げられ、ビジネスの世界でも、googleなどで社員研修に取り入れられていることで話題になっていますね。
精神医学や脳科学の世界でもマインドフルネスの効果が科学的に実証され、マインドフルネスを使った様々な治療プログラムが開発されています。
あらたまこころのクリニックでも、マインドフルネスを練習するグループを行っております。

なので今回は、マインドフルネスの基本的な考え方について、お伝えしていきます。

私たちの生活の大部分は自動操縦で進んでいる

こんなことありませんか?

車を運転したり、電車に乗ったりして、気づいたら目的地についていた。
なんとなく食事をしていて、どんな味だったかよく覚えていない。

私たちの生活の大部分は “自動操縦” で進んでいる

例えば、私たちは、朝起きた時、着がえ、洗面、食事などを、いちいち意識することなく進めていきます。どこに何があるかわかっているために、いちいち考えることなく流れていきます。

通い慣れた場所に行く時には、途中の目印を少し見るだけで、ほとんど自動的に運転したり歩いたりして行きます。

「自動操縦状態」とは

「今、ここ」での現実から心が遊離して、“うわの空”になっている状態です。

私たちは、成長にしたがって、多くのことを、自動操縦で行うことで効率よく、物事を処理できるようになります。

しかし、自動操縦状態になりすぎると、隙間・余裕ができてしまいます。うつ病や不安障害の場合には、その隙間にいろんな心配事や後悔などが入ってきて、反すう(否定的な考えが繰り返し現れること)になりやすく、心のエネルギーが浪費されてしまうのです。

頭の中が、過去のことやこれからのことでいっぱいになってしまう

頭の中では、過去のこと、これからのことについての考えが、ずっとグルグルしていると…。

  • 食事の味もよくわからない。
  • 周りの人に話しかけられても“こころここにあらず”で、あやふやにしか答えられない。
  • さまざまなことを見落としていたり、周りの人たちの様子にも気がつかない。

といった状態になることは、皆さんもご経験したことがあると思います。

することモードとあることモード

自動操縦状態で、いろいろなことをしているモードを「することモード」と呼びます。
一方、今この瞬間の感覚ややっている事に丁寧に注意を集中している状態を「あることモード」と言います。
この、「することモード」から「あることモード」への切り替えが、考え込み・反すう(否定的な考えが繰り返し現れること)への有効な対処になります。

マインドフルネス~「今、ここ」に繊細に気付く~

マインドフルネスの定義

「今、ここ」の現実に集中し、今自分が感じていることに客観的に気づいていることです。

気づいていることによって、何が起こるか?
「とらわれなくなる」ということです。

とらわれないでいられると…

上の図を見てください、マインドレスな状態(することモード)では、メールが返ってこないことに不安になり、その不安にとらわれて眠れなくなってしまいました。
マインドフルネス(あることモード)では、今の自分の状態を繊細に感じることを通して、不安になっている自分に気づいているため、そこにとらわれずに自分のやるべきことを選択できるのです。

今、ここの、自分の体とこころに向き合う

そのような、マインドフルネス(あることモード)の練習として、あらたまこころのクリニックでは、自分自身の体やこころに目を向けていきます(呼吸法やボディスキャンなど)。

自分の体の変化を観察し、心を「今」にとどめるトレーニングを続けることで、過剰に考え込むことが減り、回避の悪循環にはまっていることにも気づきやすくなります。

その他の効果として、

  • イライラが減る
  • 意識がはっきりしてくる(集中力が高まる)
  • 幸福感が高まる
  • 自分をよく知るようになる
  • 人の話をよく聞けるようになる
  • 安全なスペースと時間ができる

といったことが挙げられます。

マインドフルネスの心得

マインドフルネスは、「心の筋トレ」

体の筋トレと同じように、すぐに効果が出るようなものではなく、コツコツと続けていくことが大切です。

少しの時間でも、毎日続ける

マインドフルネスは毎日少しずつでも続けることが大切です。短い時間でも、何か作業をやっている間でもかまいません。少しずつ、マインドフルネスを意識する時間をとっていくようにしましょう。

まとめ

私たちは、日々、自動操縦状態(することモード)で物事を効率的に処理しています。
しかし、自動操縦状態の心の隙間に「過去の辛さ・未来への不安など」が入り込み、そこにとらわれる(反すう・グルグル考え込む状態)が起こります。
それに対してマインドフルネスでは、「今ここ」の感覚を繊細に感じていきます。
そうすることでとらわれ(反すう・グルグル考え込む状態)に気づき、とらわれから抜け出して、本来自分がやるべきこと・やりたいことを選択できるようになることを目指します。
マインドフルネスは、練習することが大切です。心の筋トレと思って、少しづつ、毎日続けていくことで上達していきます。
興味のある方・参加を希望される方は医師にご相談ください。

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<マインドフルネスについての記事はこちら>

マインドフルネスグループのご案内

、マインドフルネスが再発予防に役に立つのか?

マインドフルネス呼吸法のご紹介

マインドフルネス実践のポイント

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関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。