アサーション~自分も相手も大切にするコミュニケーション法~
目次
こんなことで悩んでいませんか?
対人関係とストレスの深い関係
アサーションで、対人関係とストレスの悪循環を断ち切る
まとめ
こんなことで悩んでいませんか?
- 自分の気持ちや考えをなかなか分かってもらえない
- 仕事を頼まれると断れない。残業してもまったく終わらず、心身を壊してしまった
- 家事分担で夫と話し合っても平行線。イライラを子どもにぶつけていつも後悔する
- つい部下にきつい口調で命令してしまう。部下から避けられるようになり、ミスの隠ぺいが目立つようになった。それをさらに威圧的に注意してしまう
- 友人の誘いを断れず、休日はいつも出かけている。たまには家でゆっくりしたいのに……
- もっと自信をもって人と接することができるようになりたい
ここの共通しているのは、対人関係の悩みです。
人間は社会的な動物であり、他者とうまくやっていきたいという欲求を持っています。それが満たされないと不安を感じたり落ち込みやすくなったりして、積み重なるとうつ病などにつながることもあります。
対人関係とストレスの深い関係
ストレスの正体は対人関係の悩み
対人関係は、ストレスになることもあれば、人生を楽しく豊かにしてくれることもあります。
できることなら、後者のような対人関係を増やしたいですよね。
しかし、実際には、対人関係に悩まない人はほとんどいないと思います。
ストレスを感じる人に対してはうまくコミュニケーションがとれず、さらに対人関係が悪化し、よりストレスを感じるという悪循環に陥ってしまいます。
対人関係の悪循環
ストレスは行動やものの捉え方に影響する
人は、ストレスを感じて負荷がかかると、その人が持っている行動やものの捉え方の癖が出やすくなります。
普段は意識して気を付けていることでも、余裕がないとできないこともありますよね。とあるAさんの例を見ていきましょう。
AさんがBさんにメールを送ったものの、返信がありませんでした。
普段のAさんなら、そこまで気にせず、気長に待ったり、もう一度連絡したりしていました。
ところが、Aさんは抑うつ症状で落ち込みや自責感が強く、「嫌われているから無視されている」と考えてしまいました。
こうして、Aさんは「私が悪い」とBさんを避け、Bさんは「Aさんに話しかけても目を合わせてくれない」と困惑してしまいました。
対人関係のストレスは“アサーション”で緩和できる
もしかしたら対人関係が上手くいかないのは、「内向的で人づきあいが苦手」などと、性格のせいだと思っていませんか。
でも実は、性格の問題ではなく、伝え方のスキルの問題だと言われたら、どう思われますか?
アサーションという、相手も自分も大切にする上手な伝え方を身に着けることで、自分の思いを抱え込まずに率直に言うことが出来るようになれば、対人関係のストレスはだいぶ緩和されます。
先ほどのAさんとBさんの例で、もう少し具体的にみていきましょう。
アサーションで、対人関係とストレスの悪循環を断ち切る
アサーションを身に着けたAさんは、「3日前にメールを送ったけど、届いてる? 仕事が忙しいと思うんだけど、急ぎ目の件だから今週中に返信してもらえるかな」と、自分の困っていることや伝えたいことを明確にした上で、メールを送ることができました。
するとBさんから「ごめん! すっかり忘れてた」とすぐに返信があり、Bさんとは今まで通りの良好な関係を維持することができました。
こうしてAさんは「ちゃんと伝えればわかってもらえる」と自信がつき、自分を責める癖が少しずつ減っていったのです。
このように、対人関係における自分の行動や振る舞いにアプローチし、悪循環を断ち切るのがアサーションです。
具体的なアプローチの手順は、以下のようになります。
- 自分が何に困っているか、何を伝えたいかを明確にする
- 実際の対人場面で行動や振る舞いを変えていく(例:相手に自分の気持ちや状況を伝える)
アサーションによる好循環
アサーションを実践していくと、「断れない」「頼めない」「一方的に言い過ぎてしまう」などの悩みが徐々に緩和され、ストレスが改善されたり一歩前に進む気力が出てきたりします。
そうなれば、コミュニケーションを変えることで、好循環を作ることができたといえるでしょう。
まとめ
対人関係とストレスは関係が深く、うまくいかないと悪循環になりやすい。
コミュニケーション方法を変えると、対人関係が改善してストレスを減らすことができ、好循環を作ることができる
その方法とは“アサーション”。自分も相手も尊重しながら、気持ちを伝えるスキルのこと。
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<アサーションについての記事はこちら>
アサーショングループのご紹介~自分も相手も大切にするコミュニケーションの方法を学ぶ~
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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