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公開日: |更新日: 社交不安障害専門療法

社交不安障害のグループ療法について

社交不安障害のグループ療法について

 

当院では社交不安障害のグループ療法を、1クール12回、およそ3ヶ月間にわたって行います。はじめに社交不安障害のメカニズムについて学んでから、行動実験とよばれる療法を用いて、症状の改善に取り組んでいきます。

社交不安障害の方は、人からどのように見られているのかを、とても気にしてしまいます。人前で発表する場面などで「自分が失敗して*、相手から変に思われる」と考え、さらに不安が増していきます。
*注:手が震えるなどの身体症状や、愛想笑いなど(安全保障行動)をしてしまう自分に注意が向いてしまい(自己注目)、悪循環となってしまいます

また、社交不安障害は、不安な場面が始まる前から「また失敗したらどうしよう?」と考え(予期不安)、終わったあとにも「もっとあぁすればよかった」「なんであんな風にしかできなかったんだ」など、自分を責め、自己嫌悪に陥ります。

【社交不安障害の悪循環】

山田和夫監修“よくわかる社会不安障害” 主婦の友社 p.17 より引用


山田和夫監修“よくわかる社会不安障害” 主婦の友社 p.19 より引用

その結果過剰な不安を抱えて、人との関係を避けるようになってしまうのです。

そこで当院では、2006年に社交不安障害の方向けに、グループ療法を開始しました。以降、350名程度の方がグループ療法に参加しておられます。

【グループ療法の効果には、次のようなことがあります。】
・ 自分だけが悩んでいるのではない、自分は変なんかではないと気付くことができ、同じ症状で悩む仲間と一緒に治療に取り組むことができます。
・自分を客観的に見ることができ、症状が改善している先輩たちからスキルを学ぶことができます。

【一方で参加をためらってしまう方もいらっしゃいます。】
「どんな人が参加しているのかなど、グループ療法はとても不安」
・・・スタッフがしっかりサポートします!一緒に症状を改善していきましょう。
「スケジュールの調整がむずかしい」
・・・予定を何とかやりくりして参加されてる方がほとんどです。

【実際に参加されていた方の感想を少しご紹介します。】
(2018年4月28日、グループ療法が1クール終了しました)
・参加する前は不安だったが、社交不安障害のメカニズムがわかり、治療が可能なものだと理解できた
・自分だけではないという安心感があり、自分も頑張ろうという気持ちになれた
・自分自身が無意識のうちに、とても人の評価を気にして苦しくなっていたことに気づきました
・安全保障行動、自己注目などについて学び、自分の行動を客観視できるようになった
・自分だけでは思いつかないような反論、考え方があって、視野が広がった
・予想をたて、反論を考えることは、自分自身を客観的に見る視点を教えてもらえた
・自分の心の中ばかり見るのではなく、他に目を向けるだけで、こんなに世界が違って見えてくるのだなと思いました
・今までなら不安に負けて回避してしまうような状況にチャレンジすることが出来て良かった
・「不安な場面を体験した人のほうが良くなる」のを信じて行動実験を続けていきたい
(※個人的な情報に配慮し、文意が変わらない程度に一部編集しております)

症状が改善して、それまで避けていたことができるようになったり、気持ちが前向きになったりしている方を見るのは、私たちスタッフにとってもうれしいものです。
参加された皆様、お疲れ様でした。ありがとうございました。

【一緒に症状の改善に向けて取り組んでみませんか?】
「人前であがる」
「緊張して身体が震える」
「人と関わる場面を避けてしまう」
こうした症状でお困りの方、一緒に症状の改善に向けて取り組んでみませんか。ぜひ一度、ご相談ください。

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。