医学書院 認知行動療法ワークショップ
医学書院 認知行動療法ワークショップに参加してきました。
今日は、7月18日、19日に医学書院 認知行動療法ワークショップに参加したのでご報告させていただきます。
認知行動療法界2大スターのワークショップでした
古川壽亮先生と堀越勝先生という大変素敵な先生方による、講義あり、ロールプレイあり、ディスカッションありの 盛りだくさんの内容でした。
2日間で、認知行動療法について、コミュニケーションについて、感情について、ソクラテス式問答についてなど、たくさんのことを学ぶことができました。
感情が動く
特に、「感情が動く」という話は、とても興味深いものでした。
みなさん、感情ってどんなものだと思いますか?
感情はどんな時に「動く」のでしょうか。
研修会では、こんな風に教えていただきました。
- 状況に、認知(その人のものの考え方やとらえ方)や行動がそぐわない時、感情が動く。
- ネガティブな感情(悲しみ、不安、怒りなど)は、「何かうまくいってないよ」「今までと同じじゃダメだよ」というサイン・アラーム。
みなさんは、自分でもどうしようもない、コントロールのきかない感情に困っていませんか。
もしかしたらそれは、こころが「うまくいってないよ」「助けて」というサインなのかもしれません。
研修会では、以下のようなことについても教えていただきました。
- 患者さんのコミュニケーションは考え・信条(自分の信じる宗教など)のレベルのものが多いが、医療関係者のコミュニケーションは事実や数字のレベルのものが多く、ここにギャップが生じることがある。
- 感情には、①アラーム機能としての主感情(怒り、悲しみ、恐れ)、②成長する過程で学習する二次感情、③人間が成長する過程で学習する、関係の中で作られる感情である道具感情、がある。
- ポジティブな感情は少ない。これは、人間が生きていくのにあまり必要でないから。
- 重症であればあるほど、まずは行動活性化(患者さんのできそうな「行動」に注目する)。
- ソクラテス式問答とは、「質問による発見」(「誘導による発見」ではない)であり、治療者も知らない答えを、患者さんと一緒に発見する質問である。
まだまだ大変多くのことを学びましたが、一部を紹介させて頂きました。
古川先生、堀越先生、本当にありがとうございました。
そして、このような貴重な機会を与えてくださった医学書院様に感謝します。 ありがとうございました。
ワークショップを通して思ったこと
ところで、私たちは援助者として患者さん達と関わらせていただいていますが、 私たち援助者と患者さんの関係について少し考えてみたいと思います。
ギリシャ神話に、「アリアドネの糸」という神話があります。
テーセウスという男性が、ミノタウロスという牛頭人身の怪物を倒すために迷宮に入る際、 アリアドネという女性が、無事に脱出するための方法として糸玉を彼にわたし、 迷宮の入り口扉に糸を結び、糸玉を繰りつつ迷宮へと入って行くことを教えたという神話です。
私たちが患者さんのためにできることは多くはないですが、 患者さんが今いる暗闇で、出口へのヒントとなる糸になれると幸いだと思います。
そのために、今後も研修会などに積極的に参加し、勉強していきたいと思います。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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