「肥満の認知行動療法」を読んで
今回、「肥満の認知行動療法」という本を読みましたので、その感想を載せたいと思います。筆者であるクーパー、フェアバーン、ホーカー博士は、摂食障害のエキスパートであり、過食症の認知行動療法について数々の研究報告をされています。
近年、肥満の人口は全年齢層にわたって増加しています。肥満患者様の減量を達成するにあたり、今回読ませていただいた「肥満の認知行動療法」は、大変参考になるのではないかと思います。その治療法とは、減量だけでなく、治療終了後の体重再増加の問題に主要な焦点を当て、取り組むことを特徴としたものでした。減量によって得られた体重をずっと維持することは非常に困難でありますが、この解決こそが肥満治療成功の鍵となるそうです。
また、「希望体重」「理想体重」「許容体重」といった体重目標区分の考え方や、患者様の減量期待の背後にある「本来の目標(患者さんが減量の結果として成就を望んでいる目標)」を見極める重要性が詳しく述べられていました。さらに、一般の肥満治療では取り上げられることはないであろう「ボディイメージへの心配」や患者様自身の他の特徴(例えば、容姿、自信、人間関係など)での認知的・行動的変化を達成することについても治療手順に取り入れられています。
肥満患者様への治療というのは、身体面だけでなく、心理面まで考慮したアプローチが必要であること、臨床家と患者様が一緒になって、ステップ・バイ・ステップに進めていくことが大事であるということを改めて理解できました。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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