あらたまこころのクリニック「症状別のよくある質問」ページ

症状別のよくある質問 DISEASE FAQ

適応障害

ADJUSTMENT DISORDER

適応障害はどのように回復していきますか?

 適応障害はまずは、ストレスの対象から離れて調子を整えることが大切です。十分な睡眠とバランスの取れた食事、適度な活動で、生活リズムを整えていきます。

 また、適応障害を発症する時は、発症に至る行動のパターンや考え方・物のとらえ方が狭く固くなっている傾向が認められることが多くあります。そのため、調子が戻ってきたところで、その人自身の課題に取り組むことで、生活や仕事に復帰した時に乗り越えていく力をつけていくことが、適応障害を繰り返さない回復の道のりです。休職などでストレスの対象から離れたり、服薬を開始したりすることで楽になったからもう大丈夫と、治療をやめてしまわない事をおすすめします。大切なのは、ストレスを乗り越える力を身に着ける取り組みをしっかり行うことです。

 

 あらたまこころのクリニックでは、こころの健康を取り戻すためのキーワードとして、3つのC(Cognition:認知、Control:コントロール感覚、Communication:コミュニケーションという認知行動療法の考え方を取り入れています。

 「Cognition:認知」は、ものの考え方や考え方のことです。私たちは自分のフィルターを通して、主観的な判断で目の前のものを見ています。しかし、ストレスが強くなると、ネガティブな考えが頭に浮かぶようになり、必要以上に深刻に考えすぎてしまうこともあります。「Control:コントロール感覚」は、自分がどのような人間で、どのような生き方をしようとしているのかを自分なりに理解して感情や行動をコントロールしている感覚です。この感覚を持てるかどうかということは、心身の健康を大きく左右することが、さまざまな研究から明らかになっています。そして、考えを変えたり自分をコントロールしようとしているとき、「Communication:コミュニケーション」が役立ちます。親しい人に話を聞いてもらうだけで、それまでの思い込みから解放されて気持ちが楽になるということは、私たちが日常的に体験していることです。(参考・引用:大野裕著「うつ」を治す P96~152)このように、生活リズムを整えたうえで、現実の問題と自分の大切にしている価値観とを、柔軟な考え方で受けとめ対処することが大切です。目の前の問題に対して、Aという方法しか思いつかないとAが行き詰まると、もうダメだと悲観してしまうかもしれません。「AがダメならBがあるさ、BがダメならCがあるさ、CがダメならD、E、F、、、、とがあるさ。今は、どれが良いのが分からないけれども、とりあえず、Dでやってみて、様子を見てAにしていいし、Xでもいいや」とやっていくうちに「自分にはFがしっくりくる」となっていくと良いかもしれません。無理をして周りに合わせて頑張っていると、いつか疲れて力尽きます。踊り場のないラセン階段を上っているようなものです。そんなラセン階段をずっと登り続けていると、いつか疲れて力尽きます。踊り場で立ち止まって一息付いて、これまでのワークライフバランスや自分にとって何が大事なのか見直し、時には向きを変えることが必要です。適応障害のさまざまな症状は、これまでの無理な生き方を変えるためのサインでありチャンスになるかもしれません

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。