適応障害になりやすい人の特徴とは?具体的な特徴とそれぞれの対処法をお伝え
適応障害とは、日常生活を送るうえで誰もが経験するストレスに反応して起こる病気です。
しかし、同じストレスでも、適応障害になる人とならない人がいます。それにはどんな違いがあるのでしょうか。また、どんな状況に遭遇した際に適応障害を発症するのか、考えられるケースとあわせて解説していきます。
適応障害とは
適応障害とは簡単にいうと、環境や変化に適応できず、ストレスが本人の耐性を超えた時に心身の不調があらわれる病気です。
気分の落ち込みや、不安、意欲喪失、睡眠障害、食欲不振など、個人によって症状はさまざまですが、原因がはっきりしているため、ストレスから離れることで症状は改善します。適応障害についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:適応障害とは?症状・原因・治療法までわかりやすくお伝え
適応障害になりやすい人の特徴は?
同じストレスがある環境でも、適応障害になる人とならない人がいます。
それは、ストレスの感じ方や対処の仕方、ストレスに耐える力などの特性が人それぞれ異なるためですが、適応障害になりやすい人には、以下のような特徴があるといわれています。
- 真面目で責任感が強い
- 几帳面で物事を徹底的にやらないと気が済まない
- 他人の目や評価が気になる
- 人から頼まれると断れない
- 心配症で傷つきやすい
- 気持ちの切り替えが苦手
- 人に頼るのが苦手で何でも自分で解決しようとする
- 繊細で変化に敏感
- 完璧主義で物事を白黒はっきりさせたい
- 自分より他人を優先してしまう
- 空気を読むのが苦手
性格が適応障害になる要因のひとつではありますが、これらの性格が当てはまったら必ず適応障害というわけではありません。ストレスがあまりにも強い場合には、個人の特性がどうであれ適応障害を発症する可能性はあるため、誰にでもおこりうる病気といえます。
適応障害になりやすいケース
適応障害になる一番の問題は、本人がおかれているストレス環境にあります。それでは、どんな状況に遭遇した際に適応障害を発症するのか、以下の2つのケースを見ていきましょう。
- 1.仕事で起こるケース
- 2.プライベートの生活で起こるケース
1.仕事で起こるケース
適応障害になりやすいケースの1つに、仕事があります。誰もが仕事をする上でストレスを経験していますが、適応障害を引き起こす状況は、職場や人間関係などで、以下のようなケースがあります。
- 上司や同僚との人間関係がうまくいっていない
- 業務内容が自分の性格や能力にあっていない
- 新しく配属された部署の環境になじめない
- 新入社員や転勤で環境の変化に順応できない
- 管理職で責任を担うことのプレッシャーがある
- 仕事量が多く、常に仕事のことを考えていて休まらない
- パワハラやセクハラに苦しんでいる
関連記事:適応障害が仕事に与える影響は?具体的な対処法や向いている仕事などを紹介
2.プライベートの生活で起こるケース
適応障害になりやすいケースの2つめは、プライベートの生活で起こるケースです。家庭や恋愛、学生生活などで起こるケースだけでなく、病気や災害が原因で適応障害を発症することもあります。
- パートナー(夫、妻)との不仲
- 母親や父親との親子関係に悩みがある
- 義理の両親とうまく付き合えない
- 育児や教育で悩んでいる
- 引っ越しで環境の変化に馴染めない
- 経済的に不安がある
- 失恋や離婚
- いじめ
- 受験や就職活動の失敗
- 慢性疾患やがんの治療
- 災害
適応障害の対処方法は3つ
適応障害になってしまった場合の対処方法は、以下の3つの方法があります。
- ストレス原因の排除
- 認知行動療法
- 薬物療法
対処法1:ストレス原因を見つけて排除
適応障害の原因はストレスと明確なため、まずはその出来事や、どんな環境に適応できなかったのかを見極めることが大切です。ストレスの原因が見つかったら、周りの協力も得ながらストレスを減らす環境の調整をしていきます。
対処法2:認知行動療法
ストレスを受けやすい人は、ストレスの受け止め方にパターンがあるため、このパターンにアプローチするのが認知行動療法です。自分の考え方のクセを知り、物事の捉え方を広げることで、ストレス耐性を上げることができます。
対処法3:薬物療法
抑うつ気分や不安感、眠れないなどの症状が日常生活に支障をきたしている場合は、抗うつ薬などの薬物療法を行うこともあります。しかし、薬物療法は症状に対しての対処的な治療なため、根本的な解決にはならないので環境の調整やカウンセリングも合わせて行うことが大切です。
病院にかかるタイミングとかかるべき医療機関
適応障害は、うつ病などとは違い一過性のものであるため、ストレスから離れると症状が治ったり、何もしなくても日常生活を送っているうちに治っていることがほとんどです。しかし、ストレスに正しく対処できない場合は、症状が長引いてしまい、他の精神疾患が診断されてしまうこともあります。
学校や会社を欠席するなど、正常な社会生活を送れないほどの症状が続く場合は病院にかかるべきです。一般的にはその状態が、1週間から2週間続いたら精神科や心療内科といった専門の医療機関を受診するのがオススメです。
まとめ
適応障害になりやすい人の特徴は、真面目で責任感が強い、自分より相手を優先してしまうなど、繊細で敏感な人などがあげられます。
適応障害は、就職、転勤、失恋、離婚、引っ越しなど、仕事や日常生活での出来事によるストレスが原因となって引き起こされるため、原因は明確で対処法はストレスから離れることで改善します。
しかし、自分だけではなかなか環境を変えることができず、症状が長引く場合は、環境の調整とあわせてストレス対処能力の向上のための認知行動療法や、抑うつ症状や不安症状、不眠などの症状に対しての薬物治療があります。
症状が長引くと、うつ病などの他の精神疾患を併発することもあるため、日常生活に支障をきたすほどの症状が1〜2週間続く場合には、早めに精神科や診療内科などの専門の医療機関を受診しましょう。
関連記事:適応障害とうつ病の違いとは?「原因」「ストレスから離れた時の症状」「期間」の3つのポイントで見分けよう
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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