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公開日: |更新日: 睡眠障害・不眠症

眠れない布団の中の美女

眠れない布団の中の美女

寝る前のメールチェック・スマホは不眠を起こす?

最近、不眠症の人が多くなり、マスコミにも大きく取り上げられて話題になったりしています。
睡眠薬に頼らない方法というのが、一般の方にも広まりつつあることはとても嬉しく思っています。

眠れない布団の中の美女

ベッドの中で携帯やスマートフォンを使う若い人が眠れないという話をよく耳にします。

動画やマンガも、スマホで見ることができるし、彼氏やお友達からのメールやSNSなどが気になって、ついつい、布団の中に持ち込んでしまうこともあります。

 診療で、布団の中で携帯を握りしめて眠れないという女子高生が来られた時には、「眠れない布団の中の美女ですね。(眠れる森の美女より)」と半分ジョークを交えながら治療を進めていくのですが、この不眠の一つの要因として、寝る前のPC、携帯、スマホの使用が大きく関わっていると日ごろ考えています。
当院では、日ごろの診療で、不眠を訴える患者様に、「寝る前にPC、携帯、スマホなどを使っていませんか?」と確認しています。

最近、テレビでもこのことが取り上げられ、「とくダネ」という番組で不眠の特集が放送されました。
それによると、最近の調査であるものが不眠につながることが分かってきたというのです。

原因はブルーライトだった

PC、携帯、スマホ、液晶テレビなどに使われているバックライトには、ブルーライトという光が多く含まれます。このブルーライトは自然界にも存在し、 太陽光に含まれており、 体内時計を調整する役目がある。しかし、昼間だけではなく、夜にもスマホやパソコンでブルーライトを浴びることにより、体が起きてしまい不眠につながってしまうというのです。

ある患者さんから教えて頂いたのですが、最近では、このブルーライトをカットするメガネ(全てではなく、数十%をカット)があるそうです。どうしても夜これらの機器を使わなくてはならないという場合には、このメガネを利用してみましょう。

眠れない原因は、他にもあります。SNSやメールは、気になって、時には不安になったり、うれしくなるなど気持ちが大きく動いて、目が醒めてしまいます。

これでは落ち着いて眠れません。眠れなくなる原因は、まだあります。布団の中では、「眠る」こと以外のことは、しない方が良いのです。

「布団の中は眠る場所」と脳に覚え込ませないといけません。布団の中で、スマホなどで楽しいことや不安などで気持ちが動くことをしていると脳が、「布団の中は起きている場所」と学習してしまいます。こうなってしまうと、本当に眠ろうとして布団に入っても、「布団の中は起きている場所」になってしまっているので脳は眠ってくれません。「明日は大事な仕事があるから睡眠をとっておかないといけない」と気だけが焦り、眠れなくなります。夜通し朝まで布団の中で悶々と過ごし、朝になっていまいます。布団に入ると逆に目が醒めてし、悶々と苦しいので、布団や寝室が怖くなります。寝室恐怖と呼ばれる状態です。こんな状態でお酒や睡眠薬に頼ると、最初は良いけれども、後から、お酒や睡眠薬の量がどんどん増えていって、つらくなります。

睡眠薬だけに頼らない治療法

 また、その特集で紹介されていたのが、睡眠薬だけに頼らずに不眠を治す治療法です。
当院では、文科省の科学研究助成事業に協力して、この短期睡眠行動療法の研究を行っております。

「短期睡眠行動療法」についてご興味のある方は、渡辺範雄先生の「自分でできる不眠克服ワークブック」に詳しく書かれていますので、是非ご一読ください。

 

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。