パニック障害 症状:ドキドキするこの感覚は身体感覚過敏
【目次】
パニック障害の身体感覚過敏
パニック障害の身体感覚過敏チェックリスト
まとめ
はじめに
あの人がそばにいると、なぜかドキドキしてしまう。この感覚は…もしかして…、という漫画のストーリーであれば、「ドキドキ」という身体感覚を感じて、「ひょっとして、これは恋?」という考えが浮かんでいたりするかもしれません。(このように表現してしまうと身も蓋もないですね)
しかし、パニック障害の場合は「ドキドキ」を感じると、「心臓発作?!死んでしまうかもしれない!」といった、身体感覚に対する破局的認知が思い浮かび、身体感覚を必要以上に危険と考えてしまいます。今回はパニック障害の患者さんが持つ「身体感覚過敏」と呼ばれる特徴について書いていきたいと思います。
パニック障害の身体感覚過敏
パニック障害の患者さんは、動悸、めまい、吐き気、のどが詰まる、息が苦しいなどの身体感覚に不安を感じやすくなります。そのため、身体を動かしたり、不安や緊張を感じたりした時に、動悸・息切れ・めまい・吐き気等が起こるのは、身体反応としては正常なものですが、パニック障害の方はこのような身体感覚を実際以上に、ものすごく危険なものと捉えてしまいます(破局的認知)。
この身体感覚に対する破局的認知が進むと、身体感覚を恐れるようになり、自分の身体の感覚に注意が向きやすくなります。その結果、小さな身体感覚にも敏感に気づくようになります。
そして、
「ドキドキ」→「心臓発作?!死んでしまうかも!」
「息苦しい」→「息が止まる!」
「手足の痺れ」→「脳に異常がある!」
「吐き気」→「吐いてしまう!」
といったような考えが浮かび、不安が高まり、そのような身体感覚の変化が生じる活動を回避するようになります。
そうなってくると、運動しないようにする、ネクタイをするのを避ける、いつも薄着で過ごす、外出前の食事を避けるなど、身体感覚を避けるために行動に制限ができ、本当はやりたいことができないなど、生活が障害されるようになります。
また、苦手な刺激を避け続けるので、苦手なことがそのまま温存されて、破局的認知や不安が維持されることになります。パニック障害の治療ではこの悪循環を崩していく取り組みをおこないます。
身体感覚過敏チェックリスト
パニック障害の人が不安で気にされる身体感覚のリストを載せましたので、これらの身体感覚を怖いと思うかどうか、ご自身で確認をしてみましょう。
- ドキドキする(動悸)
- 胸が苦しい 胸部圧迫感
- 手または足の部位の感覚麻痺
- 手が震える 声が震える 手先のしびれ
- 体の感覚がなくなる お腹の感じが変
- 息が苦しい 息切れ 呼吸ができない
- ふらつき ふわふわする
- 目がぼやける、あるいは歪む
- はきけ、嘔気
- 胃がむかむかする、ソワソワする
- 胃が締め付けられる
- のどが詰まる のどに綿が詰まっているみたい
- 足がぐらぐらする感じ
- 汗をかく
- のどが渇く
- 回りの人や物、風景の現実感がなくなる
- 自分の体から遊離している感じ、自分が部分的にしか存在していない感じ
まとめ
パニック障害の患者さんは、身体感覚に不安を感じやすくなり、身体感覚に対して過敏になり、その身体感覚を避けるために生活に支障が出てくることがあります。
身体感覚過敏があるとパニック発作を起こしやすくなります。予期不安が強くなり、毎日、「パニック発作が起きたらどうしよう?」と怖れがなくなりません。また、一度パニック障害が治っても、何かのきっかけで再発する可能性が高くなります。パニック発作という激しい症状で表れなくても、慢性的な体の不調が不安でいつも体の心配をしてしまう。いろんな病院にかかって検査しても異常なしと言われるのでドクターショッピングをしているという人もいらっしゃいます。心気症、自律神経失調症、身体表現性障害、心身症と病名が付くこともありますが、「弱いパニック発作が常に起こっている」状態です。この状態に対して、「マインドフルネス」という治療法が役に立つことがあります。
あらたまこころのクリニックではパニック障害の治療をおこなっております。ご自身の身体感覚に対して不安や恐怖を感じやすく過敏になっていて身体感覚を避けることで生活に支障が出ているという方は、一度、当院までご相談ください。
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<マインドフルネスについての記事はこちら>
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<パニック障害についての記事はこちら>
パニック障害を正しく知って治療を計画的に進める 治療ガイダンス(入門記事の目次あり)
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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