あがり症、社交不安障害(社会不安障害)が悪化する時期はいつ?
目次
あがり症・社交不安障害・社会不安障害の人は、進学、就職、昇進、役職につく、部下に指示をする人事異動の時期に注意
あがり症・社交不安障害・社会不安障害のいろいろな症状
まとめ
あがり症・社交不安障害・社会不安障害が悪くなる時期はいつ?
役職がついた、部下ができた、昇進した、進学、就職・・・などの人事異動の時期に注意
あがり症・社交不安障害・社会不安障害は新年度、転職など環境の変化、昇進、異動や役職につくなどのイベントがあると悪化することがあります。
特に役職がついて、それまで自分の仕事をコツコツやっていれば人以上にできていたのですが、部下に指示を出したり、人と調整して仕事を進めていくとなると苦痛になってきます。適応障害と診断されることもあります。
春は要注意の時期です。3月、4月です。
この時期は、進学や就職、転職、昇進、人事異動など、変化の多い時期です。これからが楽しみな反面、新しい環境で、新しい人との出会い、仕事の内容、同級生との人間関係などで、うまくいかないと不安に感じることもあるかもしれません。
その中でも、人と接する機会が増えたり、人前で発表する機会が増えたり、自己紹介や新しい人間関係を構築したりする時に不安が強くなる場合には、「あがり症、社交不安障害(社会不安障害)」の可能性があります。
あがり症・社交不安障害は、人からどう思われるかということが過剰に気になってしまう病気です。もちろん、気にしたくて気にしているわけではないのですが、「自分のどこかが他人から悪く思われる」「恥をかく」といった不安をコントロールができず、時に、不安のために学校や仕事に行きたくなくなったり、休んだり、苦手な場面を避けてしまうことがあります。
自分にとって「どうでもよい」人や場面では、大丈夫なことも多いのですが、自分にとって大切にしたい相手や大事な場面になればなるほど、不安が強く避けたくなります。これが一番、困ることです。
本来であれば自分が一番大切にしたい人や人生のチャンス(例:恋愛、友人、仕事)を自分で、避けて失ってしまうので、実はこれが、とてもつらいのです。
そして、そんな自分を責めてしまったり、周りから理解してもらえずに落ち込んだりして、ますます悪循環となってしまいます。
あがり症・社交不安障害・社会不安障害のいろいろな症状
一言であがり症・社交不安障害といっても症状は様々です。主な症状には以下のようなものがありますが、不安を感じる場面は人によってさまざまで、身体症状にもいろいろあります。
相手から「変な人」と思われるのではないか?と過剰に気になる
人前で体や声の震えが気になる
顔が赤くなったり、汗がたくさん出る
人から変に思われないように、挙動不審な状態を、隠そうとして、多くのエネルギーを使ってしまう
苦手な場面を避けたり、過剰な予行演習や準備をしてしまう
不安な場面が終わった後も、あれこれ考えて後悔し、落ち込んでしまう
あがり症・社交不安障害・社会不安障害の治療
あがり症・社交不安障害・社会不安障害の人は、こうした症状の悪循環のため長年、苦しい思いをされています。このあがり症・社交不安障害は、ただ場数をこなせば慣れていくものではありません。きちんとした治療法があります。薬物療法と認知行動療法と併行しながら、一定の手順で治療を受けることで、大事な場面を避けずに、乗り切っていけるようになる人は多くいます。
あらたまこころのクリニックでは、あがり症・社交不安障害のグループ療法を行っています。このグループ療法では、認知行動療法を使って、自分が不安に感じていることと現実のギャップを発見していきます。不安障害の世界的権威デビット・クラーク教授は、社交不安障害の患者さんに「世界で一番危険な場所は、あなたの頭の中です」と話されるそうです。患者さんが「怖い」と思っていることは現実には、それほどでもなくて、この破局的な考えは、自分で変えていけるので治療可能という意味です。こんな発見があると良いですね。お悩みの場合は、是非ご相談ください。
まとめ
進学や就職、転職、昇進、役職についたなど人事異動など、変化の多い時期は人と接する機会が増えたり、人前で発表する機会が増えたり、新しい人間関係を構築したりする時期です。こうした時に不安が強くなる場合には、あがり症・社交不安障害・社会不安障害の可能性があります。
あがり症・社交不安障害は、自分の震え、あがり症などどこかが、相手から挙動不審だと変に思われ、恥をかくのでないか?と思って、大切な場面で苦痛が大きくなる。また後から、思い出したり先のことを心配したりして、1日中、頭の中が「人前の苦手なこと」でいっぱいになって、つらくなります。結果として、自分にとって大事な機会を避けてしまうので、人生に影響を与えることもあります。自分が、社交不安障害・社会不安障害・あがり症かもしれないと気づいたら、早めに治療を受けましょう。是非ご相談ください。
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<社交不安障害(あがり症)についての記事はこちら>
社交不安障害・社会不安障害・あがり症から考える、薬に頼り切らない治療。
【ガイダンス】あがり症・社交不安障害を正しく知って治療を計画的に進めましょう(入門記事の目次あり)
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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