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【ADHD・発達障害診断テスト】セルフチェックができるリストをご紹介

【ADHD・発達障害診断テスト】セルフチェックができるリストをご紹介

ADHDは、「不注意」や「多動・衝動性」を特徴とした発達障害のひとつです。症状は人によってさまざまですが、年齢に不釣り合いな行動やふるまいがみられるため、日常生活や学校生活で困難を抱える場合があります。

もしも、お子さまの様子で気になることがあったり、ご自身の特徴としても気になることがあれば、まずはこの記事の診断テストをチェックしてみてください。

ADHD(注意欠如・多動症)とは

ADHDとは簡単に言うと、「不注意」や「多動・衝動性」を特徴にもつ、発達障害のひとつです。子供の時は、「不注意」に比べ「多動・衝動性」が多くみられますが、大人になると「不注意」の割合が多くなる傾向にあります。

また、大人になって急にADHDだと気付く方も多いですが、基本的には先天的にADHDの症状を持っていた場合が多く、急に発現するということは現代の医学では想定されていません。

ADHDについては以下の記事で紹介しています。ぜひ合わせて読んでみてください。

ADHD診断テスト

ADHDの診断テスト

ADHDの診断は、アメリカのDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)の診断基準がよく使われ、9つの【不注意】症状と、9つの【多動性・衝動性】症状をチェックします。まずは、下記のそれぞれの項目に、いくつ当てはまるかチェックしてみましょう。

  1. 不注意の症状チェック
  2. 多動性/衝動性の症状チェック

①不注意の症状チェック

  • ケアレスミスをしやすい。
  • 注意を持続することが難しい。
  • うわの空や注意散漫で、話をきちんと聞けないように見える。
  • 宿題などの課題が果たせない。
  • 課題や活動を計画立てて行うことができない。
  • めんどくさい課題を嫌う(学業、宿題、報告書の作成など)。
  • 忘れ物をする。
  • 気が散りやすい。
  • 必要な用事を忘れがちである。

②多動性/衝動性の症状チェック

  • 着席中に、もじもじしたり、そわそわしたりする。
  • よく離席する。
  • 状況に関係なく走り回ったりよじ登ったりする。
  • 静かに余暇を過ごすことができない。
  • なにかに突き動かされるように動き回り、じっとしていることができない。
  • しゃべりすぎる。
  • 質問が終わる前に答え始める。自分の順番を待たずしゃべりだす。
  • 順番待ちが苦手。
  • 他の人の邪魔をしたり、割り込んだりする。

①と②の両方、もしくはどちらかが【5つ以上】当てはまった方

1)と2)の両方、もしくはどちらかが【5つ以上】当てはまった方は、さらにその症状が下記の条件に当てはまるかチェックします。ここでは17歳以上の方の場合は、5つ以上ですが、17歳以下の場合は6つ以上になるため注意が必要です。

ここでは以下の項目すべてに当てはまった場合は、ADHDの可能性があります。

  • しばしば6カ月以上認められる。
  • 12歳になる前から存在している。
  • 2つ以上の状況において存在する。(例:家庭、学校、友人や親戚といるときや、その他の活動中)
  • 社会的、学業的な機能を損なわせている。
  • その症状が、統合失調症や他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されない。

ここで紹介した診断テストは、実際に病院などでADHDの診断基準に使われるものです。

しかし、他の神経疾患だけでなく、不安定な環境などでもADHDにそっくりの症状を引き起こすケースがあるため、正しい診断をするためには必ず専門機関での検査が必要です。お子様ではもちろん、大人の方でも親子での面談や行動観察、検査結果などから総合的に判断します。

ADHDは最近増えているの?

ADHDのもともとの定義では、7才以前から症状が見られるとされてきました。その後、診断基準が12才までに症状が見られるかに変わり、12才以降も続くかもチェックするようになりました。すると、以前よりもADHDと診断される人の数が増えました。

今では大人になってからADHDと診断される方もいるためADHDは珍しいものではありません。

また実際に受診される方には、ADHDと自閉スペクトラム障害(アスペルガー症候群)の合併が、30〜70%と実はとても多いのです。これも以前の診断ルールでは、両方を診断することができなかったため、両方の症状が混じっている場合、傾向が目立つ方の診断名がついていました。

しかし、今は「自閉スペクトラム障害(アスペルガー症候群)とADHDの併存」ということで、両方の診断名がつくようになっています。

まとめ:ひとりで悩まず、まずは相談してみましょう

ADHDによる症状で、子どもが日常生活や学校生活に困難がある場合や、子どもの行動について悩んでいる場合は、ひとりで悩まず相談してみましょう。まずは学校への相談や、児童家庭支援センターなどの相談機関を利用することも選択肢のひとつです。

また、大人になってから環境が変わり、幼少期に隠れていたADHDの症状が出てくるということも十分にあります。

医療機関で正しく診断することで、適切な治療につなげ、症状のコントロールや困りごとに対処する力を身につけることができます。あらたまこころのクリニックでは、働く大人の方でADHDの症状で悩んでいる方を受け付けておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

関連記事:ADHDの特徴とは?不注意、多動、衝動性それぞれに見られる具体例とADHDの3つのタイプを紹介

関連記事:ADHDの治療薬の種類から使い分け、処方までの流れを解説。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。