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女性のうつ病の特徴

女性のうつ病の特徴

【目次】
なぜうつ病は女性に多いのでしょうか?
女性のうつ病にはどんな特徴があるのでしょうか?
まとめ

なぜうつ病は女性に多いのでしょうか?

日本でのうつ病の有病率は約6%といわれていますが、実はその男女比はおおよそ1:2で、女性のほうが男性の倍、うつ病になっているといわれています。うつ病には、環境やストレス、遺伝的要素など、さまざまな要因が関係しますが、女性にうつ病が多いのは、月経周期や妊娠、出産、更年期など、女性ホルモンの急激な変動が心や体に影響していることが関係していると言われています。
PMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)、産後うつ病、更年期うつ病などは、ホルモンの影響を大きく受けていると考えられます。

また、環境の変化によるストレスもうつ病のきっかけになりやすく、仕事の異動や引っ越しのほか、通常は「よい」とされる出来事(例えば結婚、出産など)も、うつの引き金になることがあります。女性の一生には結婚、出産、介護をはじめとして、多くのライフイベントがあります。もともと、女性は男性に比べてライフイベントが多いといわれており、これらのライフイベントが、生活や環境の変化になることも多くあります。
例えば、結婚や出産を機に働き方が変わることは女性ではとてもよくあることです。結婚後に会社を辞めることが当たり前にあった時代から比べると今は状況が変わってきていていますが、出産や育児、介護などによる生活や仕事への影響は、どうしても女性に多いです。

女性のうつ病にはどんな特徴があるのでしょうか?

うつ病になりやすい一定の時期や期間がある

まず、ホルモンの影響を受けている場合、うつ病になりやすい時期や期間があります。
PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)ですと月経前の期間に、落ち込んだりイライラしたりしやすくなります。
また、マタニティブルーや産後うつ病のように、出産前後の時期の急激なホルモンの変化と関係しているもの、
更年期うつ病のように閉経などのホルモン変化の時期に起こりやすいものがあります。

合併症が多い

さらに、女性のうつ病には合併症が見られることが多く、特に不安障害や双極性障害の合併が多く見られます。このような状態では、感情のコントロールが難しくなり、情緒が不安定になります。また、元気だったり落ち込んだりすることが長期間に渡って繰り返されるような場合には、単なる性格の問題ではないかと、ご自身でも周囲からも誤解されがちです。

周りの理解やサポートを得て回復しやすい

ただ、女性の場合、周囲とコミュニケーションをとって相談できる方も多いため、周囲はサインに気づきやすいということもあります。そして、すべて一人で背負い込むのではなく、周りの理解やサポートを得て回復しやすい傾向にあります。このように、身近な対人関係を整理し、より関係を良好にすることなどで、女性の良いところを活かして回復することができます。

まとめ

うつ病は、女性が男性の倍の割合となっており、月経周期や妊娠、出産、更年期など、女性ホルモンの急激な変動が心や体に影響していることが関係していると言われています。
また、女性の一生には結婚、出産、介護をはじめとして、多くのライフイベントがあり、こうしたライフイベントに伴う環境の変化も、うつの引き金になることがあります。

女性のうつ病で、ホルモンの影響を受けている場合には、症状が出やすい時期や期間(例えばPMSやPMDDは月経前)があります。

さらに、女性のうつ病には、不安障害や双極性障害の合併が多く見られます。ただ、周りの理解やサポートを得て回復しやすい傾向にあるため、身近な対人関係を整理し、より関係を良好にすることなどで、女性の良いところを活かして回復することができるでしょう。周りの人だけでなく、自分自身のことも大切に過ごせることが大切です。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。