パニック障害入門:治し方
【目次】
パニック障害とは
パニック障害に対する治療法
お薬だけに頼らないパニック障害に対する治療法
パニック障害とは
パニック障害の人は、突然、心臓がドキドキしたり、息苦しくなったり、めまいなどの症状が現れます。これらの症状が何度も起きると、「また息ができなくなったらどうしよう」「胸がドキドキしたらどうしよう」「めまいが起きたらどうしよう」「もし、ふらつきやめまいが起こったら今度こそ倒れてしまう」と心配になります。さらに、まだ起きてはいない発作のことや他の体の症状にも不安が広がり、常に「今日は、体調は大丈夫だろうか」と体のことが症状が起きる前から心配して不安になってしまいます。不安が広がっていくのです。これを全般化(汎化)と呼びます。これが、やっかいです。
症状が同じ場所で何度も起きると、症状だけでなく、その場所も怖くなります。そして、その場所を避けるようになると、さらにその場所が怖くなってしまうという悪循環が作られてしまいます。
パニック障害に対する治療法
パニック障害の治療には、お薬による治療が一般的です。
お薬を飲み始めて1ヶ月ほどで効果が出てきます。
しかし、この時点でお薬を止めてしまうと、再発してしまう可能性が高まります。お薬は継続的に飲まれることをお勧めしています。いったん、パニック発作が落ち着いても、また、ぶり返したりすることがあるからです。何年か経っても、再発することもあります。パニック障害は再発することが多い病気でもあります。それは脳内の不安を過剰に感じ取る扁桃体という場所が安定してくるには、約半年以上はかかると言われています。アイドリング状態で小さなパニック発作が、くすぶって続くようになると慢性化して原因不明の体の不調となります。マインドフルネスという治療法がお勧めです。
その一方で、「あまり薬を飲みたくない、このままずっと薬を飲み続けなければならいのか」や「パニック発作は起きなくなったけど、また発作が起きるのが心配」、「症状は出ないけど、電車やバスなど苦手なところに行くのはできない」などの新たな悩みがでてきます。
この部分を解消するためには、新たな方法が必要になってきます。
お薬だけに頼らないパニック障害に対する治療法
あらたまこころのクリニックでは、平成21年4月から、パニック障害を対象とした認知行動療法をグループ療法で行っています。また慢性的な体に不調には、マインドフルネスというグループ治療が有効です。
パニック障害グループ治療では、パニック発作への対処法を身につけ、不安になりにくい考え方を知り、苦手な場面に少しずつチャレンジしていきます。
グループ治療に参加することによって、同じ悩みを持った人たちと出会い、他の方が行っている方法を参考にすることができます。「悩んでいたのは自分だけではなかったんだ」「あの人は上手に治療法をやっているから自分も真似をしよう」「半年もすれば、あの人みたいに良くなっていける」などグループ療法の鏡作用(ミラー効果)が期待できます。今までだったらすぐに頓服を飲んでいたのが、呼吸法で対処できるので、安定剤を非常時用に頓服薬を持ち歩かずにいられるようになる人や薬に頼らなくても良くなる人もいます。水泳教室に例えることができるかもしれません。水に溺れることが怖いけれども、自分で泳げるようになりたい。最初は、安全なプールの中で浮き輪をつけて練習する。プールは社会ではなくグループの中という意味の例えです。浮き輪はSSRI(うつ病薬)などの薬の例えですが、自分1人ではなく仲間と一緒なら不安は軽く、パニック発作や広場恐怖の対象法を身につけることができる。そのうち泳ぎがうまくなれば、浮き輪はいらない。自分の力で海でも泳げるようになれるようにする。つまり、苦手な場所、大勢の人の中、特急電車、高速道路、歯医者さん、MRI検査なども平気になることを目標にします。このようにグループ療法ではパニック障害への対処法を学ぶことができます。それが自信へとつながれば、パニック発作への恐怖心もさらに下がってきます。
まとめ
パニック障害は、突然起こった発作(動悸/息切れ/めまい)にたいして、過度に不安になり、様々な困りごと(電車に乗れなくなるetc)が起こる病気です。
パニック障害にで、薬物療法がおこなわれます。1ヶ月ほどで効果が出て、再発予防のために継続します。
あらたまこころのクリニックでは、パニック障害を対象としたグループ療法を行っています。グループ療法では、病気について知り、対処法を身に着ける中で、発作への不安が下がっていき、患者様それぞれの望む生活を送れるようにお手伝いしていきます。
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<パニック障害についての記事はこちら>
パニック障害を正しく知って治療を計画的に進める 治療ガイダンス(入門記事の目次あり)
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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