更年期うつ~様々なライフイベントも重なる~
目次
更年期障害とは
更年期障害の症状
さまざまなライフイベントも影響
更年期障害かを見分ける
更年期に起きるうつ病は気づきにくい
更年期障害とは
一般的に、更年期とは、閉経をはさんだ前後4~5年間くらい、つまり45~55歳くらいまでの時期をいいます。
更年期には、女性ホルモンの分泌が急激に減少します。これが、全身の臓器や代謝系に影響を及ぼし、さまざまな更年期症状が起こります。
こうしたホルモンの影響によって、以下に示すような、身体的な症状から精神的な症状まで現れることがあります。これら更年期障害の症状が、うつ病の症状の一部である場合があります。
更年期障害の症状
さまざまなライフイベントも影響
また、この時期には、子離れ、親の介護、夫や自身の定年、肉親との死別などのライフイベントが多くあります。
家庭内での役割が大きく変化し、他にも、身体的機能や容貌も衰えるなど、不安定な心理状況なども発症の原因となります。
子どもの独立による「空の巣症候群」や、親の介護などからなる「介護うつ」なども、その一例です。
更年期障害かどうかを見分ける
更年期障害かどうか、また更年期障害によるものだとしたらどの程度なのかは、「クッパーマンの更年期指数」や「簡易更年期指数(SMI)」等でチェックすることができます。
更年期に起きるうつ病は気づかれにくい
更年期障害の症状は、うつ病の症状と似ていますので、うつ病になっていても気づかず、見過ごされやすいのですが、心身の不調が長く続くときは、うつ病ではないかと疑ってみる事も必要です。
特に「強い憂鬱感」「何をしても楽しくない、興味がわかない」など抑うつ気分が2週間以上続く時は、更年期うつ病の疑いがあります。
また、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)、産後うつ病の既往のある女性は、更年期うつになりやすいという報告もされていますので注意が必要です。
少しでも不安がある場合はなるべく早く専門医のいる医療機関で受診しましょう。
また、うつ病の治療では、家族や周囲のサポートがとても重要になります。
家族に、家事や親の介護などを分担してもらったり、周囲の人に話し相手になってもらったりして、ストレスを減らすように工夫をしましょう。
まとめ
更年期とは、閉経をはさんだ前後4~5年間くらい、つまり45~55歳くらいまでの時期をいいます。
更年期による身体的な変化に加え、この時期には、子離れ、親の介護、夫や自身の定年、肉親との死別などのライフイベントが多くあり、うつ病のリスクが高まります。
更年期障害の症状で、うつ病が隠れてしまいやすいですが、「強い憂鬱感」「何をしても楽しくない、興味がわかない」など抑うつ気分が2週間以上続く時は、更年期うつ病の疑いがあります。専門医のいる医療機関を受診しましょう。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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