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公開日: |更新日: パニック障害

パニック障害とは?原因や症状、セルフチェックの方法から治療まで網羅的に紹介

パニック障害とは?原因や症状、セルフチェックの方法から治療まで網羅的に紹介

  • 「満員電車に乗った時に、突然心臓がドキドキして息苦しくなった」
  • 「エレベーターに乗ると、どっと冷や汗が出た」
  • 「人混みの中にいると吐き気がして動けなくなった」

もしも当てはまるものがあれば、それはパニック障害の症状かもしれません。身の危険がないのに、突然不安や恐怖に襲われ心身に反応が起こることを「パニック発作」といいます。パニック発作は10人に1人が経験していると言われており、めずらしいことではありませんが、パニック発作が続くと、やがてパニック障害へと進んでいきます。

今回は、そんなパニック障害とはどんな病気なのか、なりやすい人の特徴からパニック障害の症状、原因から治療法まで、網羅的に解説していきます。

パニック障害とは

パニック障害とは、とくに体の病気がないのに、あるとき前触れなく突然、動悸、発汗、震え、呼吸困難、胸の圧迫感、吐き気、めまい、ふらつき、手足のしびれなど、生理的な症状を伴うパニック発作が繰り返し起こります。発作が起こった後、「また起きるのではないか」と不安になり、発作が起きそうな場面を避けたり、外出できなくなったりというように、行動面で大きな変化が出てくることがあります。

よく発症する年代と性別

パニック障害は、20代〜30代に多くみられ、男性に比べて女性の方が2〜3倍なりやすいと言われています。日本人の100人に1〜2人が経験しており、めずらしい病気ではありません。

パニック障害になりやすい性格や特徴

パニック障害を発症するきっかけは、人によってさまざまですが、多くは強いストレスや精神的な不安、身体的な疲労が続くことによって発症します。もともと不安や恐怖心が強い人もなりやすく、以下にあてはまる方は注意が必要です。

  • 精神的に追い詰められている
  • 真面目で完璧主義
  • 人間関係のストレスを感じている
  • こだわりが強い
  • 感受性が高い
  • 肉体的な疲れを感じている
  • 過去にうつ病などに罹ったことがある

パニック障害になりやすい性格や特徴については、「パニック障害になりやすい人の特徴とは?性格傾向や年代、性別での傾向までご紹介」の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

パニック障害の原因

パニック障害の原因は、まだはっきりとは分かっていませんが、脳内の神経伝達物質の乱れが関係していると言われています。ストレスや環境の変化、身体的な疲労によって、発作が誘発されやすくなります。

パニック障害の症状

パニック障害の症状は、自分の予想のつかないところで、突然息切れやめまいなどが生じる「パニック発作」が繰り返し起こったり、発作を経験したあと、「また発作が起きるのではないか」「もっと酷くなったらどうしよう」などと不安になる「予期不安」があります。また、パニック発作が繰り返し起こるうちに、だんだんパニック発作と関連がある場所や状況が恐くなり、避けるようになる「広場恐怖」の症状もみられますが、パニック障害は、広場恐怖を伴う場合と伴わない場合があります。

パニック障害の症状について、詳しく知りたい方は「パニック障害の症状とは?」の記事をご覧ください。

パニック障害のセルフチェック

あなたはどんな症状がありますか?あなたにあてはまる症状にチェックを入れてみましょう。

□息切れ、息苦しさ、息が吸えない、呼吸困難、過呼吸、窒息感
□動悸、心臓はドキドキ
□めまい、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
□発汗、汗
□からだの震え、手足がしびれる
□ピリピリ、うずき感、感覚がなくなる、ぞわぞわする
□体が冷える、体が熱い感じ
□現実感がなくなる(周りの物が現実でない感じ)
□口が渇く
□はきけ、お腹の不快感
□足がガクガクする
□視界がぼやける
□筋肉の緊張
□考えがまとまらない、頭が真っ白になった感じ
□死ぬのではないか、コントロールできなくなるのではないか、気が狂うのではないか、と言う恐怖

以上の症状のうち、4つ以上あてはる方はパニック障害の可能性があります。一度、専門医やかかりつけの医師に相談することお勧めします。

その他の診断方法や1人でできるチェックリストについては、「パニック障害の診断方法とは?チェックリストを活用した診断テストをご紹介」で解説しています。合わせて読んでみてください。

パニック障害の治療

パニック障害の治療には、大きく分けて「薬物療法」と「精神療法」があります。「薬は飲みたくない、怖い」という方もいらっしゃいますが、パニック障害の治療初期においては、お薬を上手く活用することが治療をうまく進めるポイントです。同時に、認知行動療法などの精神療法と併行して治療を進めることで、徐々に薬を使わなくても不安をコントロールできるようになっていきます。

あらたまこころのクリニックでは、認知行動療法を取り入れたグループ治療を行っています。グループ治療は、以下の流れで進んでいき、パニック障害の知識や症状への対処方法を身に着けていきます。

  • 心理教育(パニック障害の正しい知識を身に着ける)
  • 呼吸コントロール法や認知再構成法(パニック発作や不安への対処法を学ぶ)
  • 苦手な身体感覚や不安を感じる状況に対する曝露(苦手な体の症状や不安だった状況が怖いものではないと理解して慣れていく)
  • 再発予防(症状をコントロールし、再発や悪化を防ぐ)

パニック障害の治療について、「パニック症を治したいと思ったら?パニック症が治るための大切なポイント3つを解説!」の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

パニック障害の対処法

パニック発作は突然やってきます。パニック障害について正しい知識がないと、「このままどうなってしまうのか分からない」「死んでしまうではないか?」と、さらに恐怖や不安に襲われ症状を悪化させてしまいます。もしも突然パニック発作が起きてしまった時に、自分や周りの人ができる対処法をご紹介します。

自分でできる対処法

まずは「パニック発作で死ぬことはない」ということを知っておきましょう。実際、呼吸困難や動悸など、心筋梗塞に似た身体症状があらわれますが、どんなに内科的な検査をしても異常はみられません。パニック発作は15分以内にピークに達し、数十分程度で自然と収まることがほとんどです。

パニック発作が起きた時に自分でできる対処法を知っておくと、慌てずに対処することができるため、代表的な2つの方法をご紹介します。

  • 腹式呼吸で鼻からゆっくり呼吸をする:早すぎる呼吸を改善し、こころと体の緊張をほぐします。
  • 意識を別のところに向ける:不安な感情から意識を遠ざけて、不安の増幅を防ぎます。

周りの人ができる対処法

パニック発作が起こると、本人は「このまま死んでしまうかもしれない!」と不安や恐怖でいっぱいになっています。パニック発作に直面したら、できるだけ寄り添って安心感を与えてあげましょう。

呼吸困難になっている場合は、呼吸がしやすい体勢や深呼吸を促してあげるのも良いでしょう。パニック障害の接し方で大切なことは、パニック障害という病気を正しく理解して、本人に寄り添うことです。基本的にパニック発作は何度も繰り返します。

そのため、周りや家族が発作に慣れてしまい、つい言ってしまいがちな「またか」「体に問題がないなら大丈夫」「気の持ちよう」といった言葉は、絶対にパニック障害の人に言ってはいけない言葉です。

パニック障害になったら何科にいくべきなのか

パニック障害が疑われる場合は、精神科や心療内科へ受診するのが適しています。精神科や心療内科に不安がある方は、まずはかかりつけの医師に相談してみるのも良いでしょう。パニック障害はほおっておいても治ることがないため、早い段階で受診することで、症状の悪化を防ぐことができます。

早期に適切な治療をすることで、パニック障害は完治することができます。

パニック障害の診断の基準とは

アメリカ精神医学会から出版されているDSM-5の診断基準では、以下の13の症状のうち、4つ以上の症状が現れるとパニック発作としています。

  • 動悸や心拍数の増加
  • 発汗
  • 身震いまたは体の震え
  • 息切れや息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛または胸の不快感
  • 吐き気または腹部の不快感
  • めまいやふらつき、または気が遠くなる感覚
  • 寒気またはほてり
  • しびれやうずきなどの異常感覚
  • 非現実感(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
  • コントロールを失うまたはどうかなってしまう恐怖
  • 死ぬことへの恐怖

さらに、上記のような予期しないパニック発作が繰り返し起こり、「また発作が起きるのではないか」という不安や、発作を回避するような行動をとることが1ヶ月以上持続すると、パニック障害と診断されます

パニック障害と間違われやすい他の病気

胸がドキドキする、息苦しい、吐き気がする、といったパニック障害の身体症状は、心筋梗塞や狭心症といった内科的な病気の症状と似ているだけでなく、自律神経失調症などの精神的な病気の症状にも似ています。その他にも、低血糖や喘息、メニエール病や、女性に多い更年期障害、甲状腺機能亢進症、バセドウ病にも、パニック障害と似た症状があらわれます。

まずは、血液検査や心電図検査で身体的な病気がないかを確認することが大切です。

まとめ

パニック障害は、息切れやめまいなどが生じる「パニック発作」が繰り返し起こり、また発作が起きるのではないかと「予期不安」が起こる病気です。パニック発作を繰り返し起こすうちに、だんだんパニック発作に関連がある場所や状況を避けるようになる「広場恐怖」を伴うことがあるため、日常生活や社会活動に影響をおよぼします。

  • □息切れ、息苦しさ、息が吸えない、呼吸困難、過呼吸、窒息感
  • □動悸、心臓はドキドキ
  • □めまい、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
  • □発汗、汗
  • □からだの震え、手足がしびれる
  • □ピリピリ、うずき感、感覚がなくなる、ぞわぞわする
  • □体が冷える、体が熱い感じ
  • □現実感がなくなる(周りの物が現実でない感じ)
  • □口が渇く
  • □はきけ、お腹の不快感
  • □足がガクガクする
  • □視界がぼやける
  • □筋肉の緊張
  • □考えがまとまらない、頭が真っ白になった感じ
  • □死ぬのではないか、コントロールできなくなるのではないか、気が狂うのではないか、と言う恐怖

以上の症状のうち、4つ以上あてはる方はパニック障害の可能性があるため、精神科や心療内科を受診しましょう。パニック障害は、本人だけではコントロールすることが難しく、周囲の理解や協力、早期の治療がとても大切です。パニック障害の症状でお困りの方は、一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。

関連記事:パニック障害の治し方とは?症状の特徴から治るきっかけまで正しい知識を把握しよう

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。