女性はうつ病にかかりやすい
目次
うつ病は珍しい病気ではない
女性のうつ病は男性の約2倍
女性のうつ病は、きっかけが同時多発で起きる
女性のうつ病は、女性ホルモンの変化も原因
女性特有のうつ病の3つ
うつ病は珍しい病気ではない
近年、うつ病の患者数は増加傾向にあります。
その背景としてはリストラなどに代表される職場の問題、結婚・家族観の変化やうつ病の社会的認知が上がったことなどが考えられます。
うつ病は決して珍しい病気ではありません。誰でもかかる可能性があるのです。
統計的には一生でうつ病にかかる人は約15人に1人の割合だということです。
女性のうつ病は男性の約2倍!!
その中でも、女性は男性より、うつ病にかかりやすいというデータがあります。厚生労働省研究班の調査によると、女性のうつ病の有病率は、男性に比較すると約2倍程度高く、およそ8~10人に1人の女性がうつの経験者だと言われています。
うつ病の男女差は女性の方が1.7倍から2倍くらい多いのですが、女性の社会進出が進むと、男女差は少なくなります。また、WHOの調査でも、アフリカなどの国では、何十倍も多いので、国や文化によって大きく異なります。
日本の女性を取り巻く社会では、うつ病になりやすい理由はいくつかあります。
日本の社会が女性に求めるイメージは、複雑で、様々な、時に矛盾した役割を担うことになります。
うつ病が発病するきっかけは、大きく4つに分けられていますが、女性は1つのきっかけが他のきっかけに関係して、同時にいくつものきっかけになるのが特徴です。
例えば、50歳の会社員A子さんの場合
お母さんが高齢で大病をされた。うつ病の4大きっかけの1つの喪失体験です。そのため、仕事を減らし介護する。
うつ病の4大きっかけの1つの役割の変化、子供たちの独立で喪失体験や役割の変化など、自分も更年期障害などで、うつ病の4大きっかけの1つで体調の変化なども重なりました。空の巣症候群です。
28歳の会社員B子さん。
結婚が決まり、周りから祝福され寿退職されました。うつ病の4大きっかけが目白押しです。転居などで、環境の変化、仕事を辞めたので喪失体験になり、新しい家族や近所付き合いなど人間関係をこれから築く、新しい生活習慣など、一度に重なってきます。ここのポイントは、結婚という「幸せ」なできごとでも、けっこう、しんどいことはあるのですが、周りから喜ばしいことほど、「つらい」と口に出しにくいことです。「周りが祝福してくれているこんな時に、つらいなんて言ったら、申し訳ない、わがままだ」と思って、つい相談せず、1人でため込んで、つらくなっていく人も多い。こういう社会の風土というのがあるようです。
あらたまこころのクリニックでは、うつ病治療、特に女性のうつ病の治療では、アサーショントレーニングを重視してします。パワフルな治療法で役立つので、患者さんにも、とても好評です。自己主張トレーニングなどど、翻訳されますが、自分も相手も尊重することをが柱ですが、女性の場合は「ノーと言って上手に断るスキル」「怒りを上手に伝えるスキル」が重要で役に立ちます。相手の人間関係も良好になります。良好で安定した人間関係が、女性にとってはとても大きな価値を持ちますので、うつ病の治療や予防に大きく役立ちます。
うつ病・躁鬱病の男女年齢別の総患者数
ライフサイクルの中でのストレスが一因
女性は月経の初来、就職、結婚、出産、育児、中年期(更年期、初老期)、老年期とさまざまな時期のライフサイクルを経験します。
その中には、①生活の大きな変化 (結婚、出産など)、②仕事と家事や育児・介護などとの両立など、女性ゆえに生じる様々なストレスがあります。それらが、女性のうつ病の発症率を高めていると考えられます。
ライフイベントによる女性ホルモンの変化も原因
また、ライフイベント(思春期・妊娠・出産・更年期・閉経など)による女性ホルモン周期の急激な変化も関係しています。
女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変化によって、脳のバランスが崩れて、うつになりやすくなるのです。エストロゲンが急に減る産褥期(出産直後)、エストロゲンの分泌が減少する更年期に、うつ病の発症率は上がります。
女性特有のうつ病の3つ
①月経前不快気分障害(PMDD)
②産後うつ(周産期うつ病)
③更年期うつ
まとめ
一生でうつ病にかかる人は15人に1人
女性のうつ病は男性の2倍
8~10人に1人の女性がうつの経験者
女性のうつ病は人間関係を軸に、きっかけは同時多発で起きる
女性ホルモンの変化がうつ病のリスクを高める
以降のブログでは、女性に特有のうつ病(PMDD、産後うつ、更年期うつ)についてご説明していきます。
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<アサーションについての記事はこちら>
アサーショングループのご紹介~自分も相手も大切にするコミュニケーションの方法を学ぶ~
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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