相手との人間関係を見直そう コロナ不安・コロナうつ予防のために⑩
目次
・コロナストレス、コロナうつ、コロナ疲れ、コロナ不眠。体内時計の乱れに注意!(その①)
・心の病気は体内時計や生活リズムと関係が深い(その②)
・まず行動を少しだけ変えてみよう(その③)
・やる気が出ないときは、少し工夫してみよう
やる気が出る仕組みを利用しよう(その④)
“まず5分”行動するために、小ネタを見つけよう(その⑤)
小ネタで大切なことは、数・しょぼさ・盛り込み(その⑥)
小ネタを探すコツ(その⑦)
やり始めの大変さを乗り切るコツ(その⑧)
・家族のストレスとコミュニケーション
伝え方を工夫しよう~OKワードとNGワード~(その⑨)
コミュニケーションの3つのパターン(その⑩)
相手も自分も大切にする伝え方(その⑪)
・新型コロナウイルス(COVID-19)の流行下の、こころの健康維持の11個のコツ(日本うつ病学会より引用)(その⑫)
先が見えない生活に疲れているときは、家族とのコミュニケーションを工夫しましょう!
前回、家族で一緒に過ごす時間が増えることで、お互いにイライラして、きつく当たりやすくなるということについてお伝えしました。伝えたい内容は同じでも、伝え方によって、相手の気持ちはずいぶん変わります。
NGワード(言い方がきつくなってしまったり相手の間違いを指摘するような言葉)を減らして、OKワードが増えるように、今回は、当院でもグループを実施している「アサーション」をご紹介したいと思います。
自分も相手も大切にするコミュニケーション「アサーション」とは?
アサーションは、一言でいうと、「自分も相手も大切にしたコミュニケーション」です。
アサーションでは、よくあるコミュニケーションのパターンを3つのパターンで表すので、まずはそれぞれのパターンについてご紹介します。
~コミュニケーションの3つのパターン~
①おこりパターン(攻撃的)
・相手の気持ちをあまり考えず、一方的に責める。
・自分が絶対に正しいと考える。
・理詰めで追い込み「ノー」を言わせない。
・怒ると感情的になり、言い過ぎてしまう。
②ひるみパターン(受け身的、非主張的)
・相手の気持ちを考えすぎてなかなか意見が言えない。
・頼まれるとノーと言えない。
・波風を立てるぐらいなら、自分が我慢する。
・相手の感情を害することを恐れる。
③いやみパターン(作為的、ネチネチ)
・相手に直接伝えず、遠回しな表現や嫌みな態度で示す。
・本人の前ではっきり言わず、陰で言う。
「みんながあなたのことを言っているよ」
「○○(ほかの人)が、あなたが最近やる気ないって言ってるよ」
どれか1つのパターンだけに当てはまるということはほとんどなく、同じ人でも、コミュニケーションの相手や状況によってパターンが変わることが多いです。
特に多くなりがちなのは、「我慢して我慢して、爆発してしまうパターン(ひるみパターン+おこりパターン)」
「ひるみパターン+おこりパターン」では、気持ちが爆発した後に、「あんな態度をとってしまった」などと自分を責めて落ち込むことも多く、ますますコミュニケーションに自信がなくなったり、うまくいかないと感じやすくなるでしょう。
この「ひるみパターン+おこりパターン」は、新型コロナウイルスによる自粛生活でストレスがたまっている時の家族のコミュニケーションでも多くなりがちです。こうしたコミュニケーションにより、家族関係がギクシャクしたりしてしまうと、「コロナうつ」や「コロナ不眠」にもつながってしまいます。
(まとめ)
• アサーションとは、「自分も相手も大切にしたコミュニケーション」です。
• よくあるコミュニケーションのパターンに、①おこりパターン、②ひるみパターン、③いやみパターンの3つのパターンがあります。
• おこりパターン(攻撃的)は、相手の気持ちをあまり考えず、言い過ぎてしまうパターンです。
• ひるみパターン(受身的、非主張的)は、相手の気持ちを考えすぎて意見が言えず、自分が我慢するパターンです。
• いやみパターン(作為的、ネチネチ)は、相手に直接伝えず、遠回しな表現や嫌みな態度で示したり、陰で言うパターンです。
• 特に多くなりがちなのは、「我慢して我慢して、爆発してしまうパターン(ひるみパターン+おこりパターン)」で、気持ちが爆発した後に、「あんな態度をとってしまった」などと自分を責めて落ち込むことも多いです。
次回は、この3つのキャラのどれにもあてはまらない、自分も相手も大切にしつつ自己表現をする「アサーティブな伝え方(アサーション)」についてお伝えします。
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<アサーションについての記事はこちら>
アサーショングループのご紹介~自分も相手も大切にするコミュニケーションの方法を学ぶ~
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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