コミュニケーションOK?NG?-コロナ不安・コロナうつ予防のために⑨
目次
・コロナストレス、コロナうつ、コロナ疲れ、コロナ不眠。体内時計の乱れに注意!(その①)
・心の病気は体内時計や生活リズムと関係が深い(その②)
・まず行動を少しだけ変えてみよう(その③)
・やる気が出ないときは、少し工夫してみよう
やる気が出る仕組みを利用しよう(その④)
“まず5分”行動するために、小ネタを見つけよう(その⑤)
小ネタで大切なことは、数・しょぼさ・盛り込み(その⑥)
小ネタを探すコツ(その⑦)
やり始めの大変さを乗り切るコツ(その⑧)
・家族のストレスとコミュニケーション
伝え方を工夫しよう~OKワードとNGワード~(その⑨)
コミュニケーションの3つのパターン(その⑩)
相手も自分も大切にする伝え方(その⑪)
・新型コロナウイルス(COVID-19)の流行下の、こころの健康維持の11個のコツ(日本うつ病学会より引用)(その⑫)
先が見えない生活に疲れているときは、家族とのコミュニケーションを工夫しましょう!
新型コロナウイルスにより、これまでになく長い時間を自宅で過ごされている方も多いと思います。会社勤めの方はリモートワークやテレワークなど在宅勤務が増え、子供さんは学校の休みが長期になり、家族が長時間家で過ごすようになることで、お母さんはさらに家事の負担が増えるなど、新型コロナウイルスは、私たちの生活に非常に大きな変化をもたらしています。いつもより家族で一緒に過ごす時間が長くなることで、イライラしてきつくあたってしまったり、ケンカになったり、ギクシャクしたりすることが増えるかもしれません。
さて、今回は、「家族のストレスとコミュニケーションの工夫」についてお伝えしたいと思います。
家族のストレスとコミュニケーションの工夫
普段でも家族や身近な人には、つい、ほかの人には言わないようなきつい言葉や言い方になってしまいがちです。これは「分かってほしい」「伝わって当然」という気持ちの表れともいえますが、残念ながら、家族や身近な人だからといって、気持ちが、以心伝心で、言わなくても伝わり、読心術のように分かるという訳ではありません。一緒に過ごす時間が長くなる今だからこそ、少し工夫が必要かもしれません。
声かけについて見直してみましょう
相手のためを思って発した言葉が気持ちの良いもの(OKワード)の時もあれば、きつくなり(NGワード)、相手がキレてしまったり傷ついたりすることはないでしょうか?伝えたいことが同じでも、伝え方によって、相手の気持ちが正反対になることがあります。
新型コロナウイルスの感染予防のための自粛が続き、先の見えない不安な生活の中では、普段の生活よりなおさら、家族の「間違い」が目につくようになると思います。家族みんながそれぞれストレスを感じているので、言われた方も、イラッとしやすいかもしれません。
ちなみに、相手の失敗や間違いを指摘する言動を、動機付け面接では「間違い指摘反射」といいます。良かれと思って相手の間違いを正そうとしたり、失敗しては困るだろうと心配する気持ちから先回りしてしまっているときは、反射的に「なんで分からないの?」「○○は当然でしょ」と強い言葉が出てしまい、トラブルになりやすくなってしまうのです。
NGワード
OKワード
NGワードの例をあげると、学校がお休みの子供さんが朝寝坊している姿を見ると、生活リズムが乱れてしまうのではと心配して、「早く起きなさい!なんでそれぐらいのこともできないの!」と言ってしまったり、なかなか勉強しない姿を見て、「学校が始まった時、授業についていけなくなるよ!」と言ってしまうことがあるかもしれません。
さらに、在宅勤務になった家族に対して、「家にいるなら、少しぐらい家事やってよ!」と、強い言葉で頼み事をしてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。家族や家庭を思うから出てくる言葉でもあるのですが、このようにイライラしながら投げかける言葉は、お互いにさらにイライラするだけで、残念ながら相手に届かない可能性が高くなります。
では、どう伝えたらいいのでしょうか?
伝えたいことをOKワードで伝えることができるといいのですが、そんな言葉思いつかないという方もいらっしゃると思います。
OKワードを言うには少しコツがいります。
心療内科、精神科のクリニックある当院では、コミュニケーションを学ぶグループとして、アサーションのグループを実施しています。自分も相手も大切にしながら、自分の考えや思いを言葉で相手に伝えることを学ぶグループです。家庭内でのコミュニケーションでも役立つところがあるとおもいますので、皆さんのご家庭にOKワードが増えるように、次回、アサーションという方法をご紹介します。
(まとめ)
• 新型コロナウイルスの影響による自粛生活で、家にいる時間が長くなり、家族で過ごす時間が増え、家族内でイライラすることが増えてきています。
• 家族に対して、「分かってほしい」「伝わって当然」と思うのは当然ですが、家族だからといって、気持ちが、以心伝心で伝わるわけではなく、一緒に過ごす時間が長くなる今だからこそ、少し工夫が必要かもしれません。
• 相手に良かれと思って言葉かけしても、良い言葉(OKワード)と悪い言葉(NGワード)があります。
• NGワードを使うと、お互いにイライラしてしまうだけで、伝えたい事は伝わりません。
• 次回お伝えするアサーションを取り入れて、OKワードを増やしましょう!
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<行動活性化についての記事はこちら>
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<アサーションについての記事はこちら>
アサーショングループのご紹介~自分も相手も大切にするコミュニケーションの方法を学ぶ~
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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