がんばった人ほど五月病になりやすい
はじめに
一般的に五月病とは、ゴールデンウイーク明け頃に起こる「抑うつ状態」のことを言い、特に新入生や新入社員を中心に起こりやすいとされています。
春に生活環境が変わったことによるストレスが原因とされ、その変化に適応しようとした疲れが連休明けに出てしまうと考えられています。
新しい環境に馴染もうと頑張った人ほど、五月病になりやすいのです。
五月は新緑が芽吹く気持のよい季節である一方、こころの病気には要注意の時期でもあるのです。
ストレスの大きさを考える
自分自身の入学や異動といったことから、子供の進級や受験、上司や部下の異動など、変化は様々な場所で、様々な人に起こります。つまり五月病はどんな人にでも起こり得るのです。
よく「大きな変化」が原因と言いますが、「大きなストレスをもたらす小さな変化」もあります。また「積極的な変化」や「うれしい変化」であっても、ストレスを感じる瞬間はあるものです。
起こった変化の大きさや種類ではなく、かかるストレスの大きさを考えることが重要です。
五月病の症状
五月病とよばれる「抑うつ状態」になると、次のような症状があらわれてきます。
- 気分が滅入って何事にもやる気が出ない
- 学校や会社に行きたくない、行けない
- 体調不良(頭痛、胃腸の不調など)が頻繁に起こる
- 寝つきが悪い、もしくは早朝に目が覚める
- イライラしたり落ち込んだりと気分が不安定になる
このような症状が続くと「抑うつ状態」とされますが、症状が重い場合には「適応障害」や「うつ病」であることも考えられます。
また、「社交不安障害」や「パニック障害」などのこころの病が、五月病のような症状としてあらわれている可能性もあります。
この時期に特に関連が深いと考えられる病気
社交不安障害
進学や異動、昇進などで新たな人間関係を築いたり、人前で話す機会が増えたりすることによって、五月病のような症状があらわれる場合があります。
社交不安障害では、人からどのように見られているのかとても気になります。
何か失敗をすると、新しい仲間や上司にどう思われるか、過剰に不安を抱えてしまいます。そして人との関係を避けるようになり、学校や会社にも行けなくなってしまいます。
パニック障害
パニック障害では、動悸や不安を伴うパニック発作と、慢性的な身体の不調が起こります。
だんだんと暑くなってくる五月頃は、ほてりや動悸からパニック発作が起こりやすくなることもあり、五月病の症状として認識されることもあります。
五月病の治療方法
まず最も重要なことがストレスを軽減させることです。好きなことをしたり体を動かしたりして気分転換をしてみましょう。
それだけではうまくいかない場合には薬物療法も視野に入れます。同時に認知行動療法を用いて考え方のクセを修正していきます。
五月病とよばれる「抑うつ状態」は、症状が重くなると「うつ病」などの病気となります。また他のこころの病が潜んでいる場合もあります。
「ただの五月病」だと思って侮らずに、「気分が優れない」と感じたら、早めに医師にご相談ください。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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