やる気が出ない時は「小ネタ」が勝負!-コロナ不安・コロナうつ予防のために⑤
目次
・コロナストレス、コロナうつ、コロナ疲れ、コロナ不眠。体内時計の乱れに注意!(その①)
・心の病気は体内時計や生活リズムと関係が深い(その②)
・まず行動を少しだけ変えてみよう(その③)
・やる気が出ないときは、少し工夫してみよう
やる気が出る仕組みを利用しよう(その④)
“まず5分”行動するために、小ネタを見つけよう(その⑤)
小ネタで大切なことは、数・しょぼさ・盛り込み(その⑥)
小ネタを探すコツ(その⑦)
やり始めの大変さを乗り切るコツ(その⑧)
・家族のストレスとコミュニケーション
伝え方を工夫しよう~OKワードとNGワード~(その⑨)
コミュニケーションの3つのパターン(その⑩)
相手も自分も大切にする伝え方(その⑪)
・新型コロナウイルス(COVID-19)の流行下の、こころの健康維持の11個のコツ(日本うつ病学会より引用)(その⑫)
先が見えない生活に疲れて、元気が出ないときは、「ほっこりする」「やる気」スイッチを入れる。~行動活性化技法のコツ~
小ネタは、数としょぼさが勝負
こうした、ちょっとした行動を、「しょぼいネタ」(小ネタ)と呼んでいますが、これを、生活の中から探し、集めて、まずは実行してみます。自分に効くかどうか?実験してみます。
時と状況、場所も違うので、「前は、うまくいったが、今回は、だめだった」ということは、よくあるので、これでもか!といくつも用意しておいて、試していきます。何か1つでもヒットすれば良いのですから。
例えば、家の中でお茶を飲むのが趣味で、小ネタをうまく使っている人がいます。気持ちが落ち込んだとき、いつもよりは、ちょっと贅沢して普段とは違うティーパックを飲みます。いつもと違うカップ、テーブルクロスも明るい色のものに替えて、場所も窓際で飲む、自分が持っている服の中で一番明るい服を着る、好きな音楽をBGMでかける。「お茶を飲む」から、ぱっと7個くらいは小ネタが膨らみます。どれを選ぶか、どれが良いかは、そのとき次第で決め、試しでやってみて良かったらOKとします。
状況や場所に合わせて、いろいろ自分でアイデアを出して行動するのが良いです。するとアイデアを考えているときにも頭の中で良いイメージが膨らんできます。
小ネタを楽しむ
「自分は、いつも40個くらい用意している」と話される人もいます。
「なりきり草刈正●の技」。
技術職の会社の男性で、自分の専門分野で頑張ってこられました。最近、会社で理不尽な待遇や優秀な後輩のプレッシャーなどで、疲れ切って、「朝、会社に行くのが、つらくてたまらない」と悩んでいました。青春時代、ストイックでイケメンの俳優さん(草刈正●)がバイクレースで活躍する映画がお気に入りです。映画のオープニングでは、主人公が、まっ暗な部屋に座っていてから、いよいよ、これから日本選手権レースが始める直前に、バイクスーツのジッパーを「ジー」と締め、扉が開き、光がパアーと差し明るくなり、エンジンがブンブン高まります。そこで、主題歌が流れるという一連のシーンを好まれています。映像、光、音、ジー、パワー、ブンブンとかの効果音(漫画に出てくるカタカタの擬音)、イメージなどがフル活用できるので行動活性化の小ネタには、うってつけです。
出勤前、車の中で目を閉じ、このシーンをイメージされます。80年代の音楽をかけて、まずは家を出ます。頭の中では、映画の中の草刈正●です。
これで気持ちが少し楽になるので、何とか、会社を休まずに出勤し続けることができました。学生時代にいろんな思いをはせ、あの時、頑張ったから今の会社に入ってここまで来られたなあと、考えが、少しポジティブな方向になりました。「なりきり草刈正●の技」だけで、「いつも40個くらい用意している」と話されます。つらい時期をこの「小ネタ」で乗り切って、続けていくうちに、会社も、そうつらくはなくなりました。
慣れてしまえば、たくさん作れるものですね。
当院のグループ治療に、参加されている人同士で、自分のお気に入りの「小ネタ」を各自持ち寄り披露する機会がありました。
「おー、そんなしょぼいネタで、うつが、良くなるのか!」という周りの反応が、しょぼいほど大きいので、「まだまだ、オレの小ネタは、もっと、しょぼいぞ!」とばかり、しょぼさ勝負(自慢)をノリノリに楽しんでおられました。皆さんそれぞれに、いろんな小ネタを大切に持ってらっしゃるなあと感心、こちらも楽しくなったことがあります。
最初はぎこちなく感じますが、コツをつかめば、うまくいくでしょう。
(今回のまとめ)
• やる気が出ない時に行動するための「小ネタ」は、数としょぼさが勝負です。
• 小ネタを、楽しみながら生活の中にたくさん盛り込んでいきましょう。
次回は、小ネタを探すコツについてお伝えします。
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<行動活性化についての記事はこちら>
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関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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