総合臨床 Expert Seminar に参加しました
総合臨床 Expert Seminar に参加しました
講演会名:総合臨床 Expert Seminar
開催日:2017年6月9日(金)19:30~20:30
場所:名古屋第二赤十字病院
講演名:『「眠れない」・「眠くて困る」患者の訴えにどう対応するのか?』
講師:名古屋大学大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 尾崎 紀夫 先生
今回は、総合臨床 Expert Seminar に参加しました。
テーマは、“眠れない”ことについて。
今回の講演では、尾崎先生より、睡眠の役割や、不眠に対して私たちができることについて、とてもわかりやすく教えていただきました。
私たちの人生において、睡眠とは非常に重要な役割を占めています。では、睡眠の役割とは何なのでしょうか?
睡眠を取ることによって、
- 成長ホルモンの分泌を促進する
- 記憶を固定化する
- 約60兆個の細胞の代謝促進
以上のように、人間が生きていくために、睡眠はとても重要なことです。睡眠が取れないことによって、いろいろなことに影響を生じます。
当院のブログでも“不眠”と関連する精神疾患について、さまざまなものをご紹介してきました。
例えば、
- うつ病
- 認知症
- 不安障害
挙げたらキリがありませんが、これらは、全て不眠と深く関わっていることが、知られています。
また、不眠などの睡眠障害は、
- 心臓病
- 糖尿病
と言った病気のリスクファクターにも、なっています。
さらに、加齢とともに不眠は増加すると言われており、60歳以上の方では約3人に1人が睡眠問題で悩んでいるそうです。
さて、ここまで“不眠”についてお話をしてきましたが、では、どの程度眠れば、不眠とはいわれないのでしょうか?
大切なことは、現在の睡眠によって、日中の活動に影響が生じているか?困っているか? という点です。
では、多くの精神疾患と関連があり、私たちの生活にとってとても重要である“睡眠”が取れなくなってしまった場合、どのように工夫をして乗り越えれば良いのでしょうか?
この点に関しまして、いくつかの重要なポイントを教えていただきました。
- 人間には、夜になったら寝るリズム(体内時計)があります。
- リズムを整えるためには、光と暗さ、活動と休息、食べ物、人との交流が関係しています。
- 特に、太陽の光を浴びて、14~16時間後に、体が寝る準備に入るといわれています。(だから、朝起きて光を浴びましょう!と言われているのです)
⇒日中、いかに過ごすかが、大切です。
- 人間は、不安(脳が危険を察知する)になると、眠らないようにできています
- 就寝2時間以内に食事を取ると、食物を消化しようと覚醒し、体の温度が上昇してしまいます。
- 就寝1時間以内に風呂に入ると、体の温度が上昇してしまいます。
- カフェインやニコチンは、目を覚まさせる作用があります。
- スマートフォンやTVの光は、脳を覚醒させます。
- これらの活動によって、脳が覚醒し、眠りにくくなってしまいます。
⇒就寝前の活動の仕方が大切です。
Q. 昼寝って良くないの?
A. 昼寝に関しては諸説ありますが、15時より前の時間に、1時間程度の睡眠であれば問題ないといわれています。
Q.(ご年配の方が)若い時のように睡眠が取れなくなってしまったが、昔のように眠れるか?
A. 年齢とともに睡眠は変化するといわれています。年齢相応の睡眠を目指し、快適な日常を送れることを目標にすることが望ましいとされます。
(心理士・本田)
関連する情報
監修
-
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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