不眠症の研修会に参加してきました
4月18日(木)に行われた、不眠症の研修会に参加してきました。
研修名:第7回桜山睡眠研究会
内容
教育講演
座長:杉浦内科クリニック 杉浦芳樹先生
演者:国立精神・神経医療センター トランスレーショナル・メディカル
センター 情報管理解析部 臨床研究計画解析室長 渡辺範雄先生
『不眠症の認知行動療法』
特別講演
座長:名古屋市立大学大学院医学研究科 医学・医療教育学
早野順一郎 先生
演者:徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 統合生理学 教授 勢井宏義 先生
『深く眠るとは?』
教育講演
不眠症は、4.5人に1人の方が抱えていると言われており、その症状があるだけで毎日の生活の質や体の病気のリスクを高めることが知られています。不眠のみで悩む方もいらっしゃいますが、他の精神疾患と同時に現れる場合も多いと言われています。
教育講演は、不眠症に対する認知行動療法の紹介でした。薬による治療ではなかなか改善されない方を対象とする治療法で、自分の睡眠リズムを振り返ったり、良い睡眠をとれるように生活習慣を見直すことなどが治療内容に含まれます。ただし、双極性障害を抱える方は、症状が悪化する危険がありますので、残念ながら適用外になります。
不眠の治療は、まず3つの観点(因子といいます)からご自身の睡眠を振り返ることから始めます。
- 準備因子(寝付きのよさなど、もともとその人が持つ睡眠の傾向)
- 誘発因子(環境の変化などの大きなストレス、不眠が始まるきっかけとなったもの)
- 維持因子(不眠になった後の行動の変化で、眠れない代わりにしていること)
こういった因子はそれぞれ不眠の原因になりますが、1つだけで不眠症になることはありません。それぞれの因子が組み合わさることで、不眠が始まり、また持続することになります。
3つの中で特に重要なのが維持因子で、<夜眠れない代わりに昼寝をする>、<眠気はないけど少しでも休むために早めに布団に入る>、などがこれに当たります。「維持因子」の名前の通り、この行動の変化が、実は不眠を持続させてしまっている可能性があります。
上記の3つの因子を確認しながら、治療も同時に進めていきます。治療の内容には、以下のものが含まれます。
- 睡眠日誌(自分の睡眠状態を記録して客観的に振り返る)
- 睡眠衛生教育(睡眠を促進する正しい知識を学び、改善点を探す)
- 刺激コントロール法(ベッドで寝る以外の事をしないようにする、最終的にはベッドに入ると眠くなるという状態を目指す)
- 睡眠制限法(眠くなるまで布団に入らないようにする、ただし6時間は確保)
自分の睡眠を振り返り、睡眠に関する正しい知識を身に付け、現在の睡眠習慣を実際に変えていく、という流れになります。
習慣を変えることは簡単なことではなく、場合によっては少し苦しい思いもする治療ではあります。しかし、続けていれば徐々に効果が現れるというデータが示されています。
参考資料紹介
ここまでご紹介した内容は、下記の本に基づいています。より詳しい内容が知りたい方はご参照ください。
著者:渡部範雄 出版社:創元社 『自分でできる「不眠」克服ワークブック』
特別講演
睡眠を脳科学の見地から説明してくださるというものでした。難しい内容でしたが、睡眠にはデルタ波と呼ばれる脳波が関係していること、糖尿病では不眠が現れる可能性があるので注意することなどを教えていただきました。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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