考えすぎてしまうのはなぜ?考えすぎてしまう人の特徴や対処法を解説
「何か行動しようとするたびにリスクばかり考えてしまう」
「人のちょっとした表情や言葉に敏感に反応してしまう」
「過ぎたことを何度も思い返しては自己嫌悪に陥る」
必要以上に考えすぎてしまい、ネガティブな感情を引きずってしまうことはありませんか?人生のさまざまな場面で物事を真剣に考えたり、悩んだりすることは誰もが経験することです。しかし、常に答えのない同じことをぐるぐる考え続けたり、些細なことが気になって頭から離れず気持ちが落ち込む場合は、心の病気が原因となっている場合も考えられます。今回の記事では考えすぎる人の特徴や対処法、関連する病気についてご紹介しますので、考えすぎで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
「考えすぎ」とはどんな状態?
「考える力」は社会においてとても重要な能力と言われていますが、「考えすぎ」は良くない意味で使われることが一般的です。「考えすぎ」とは必要以上に物事を考えてしまう状態のことで、考えすぎるあまり不安になったり悲観的になるため心が疲れてしまうことが少なくありません。
- 起こっていないことを想像して心配したり不安になる
- 答えが出ない同じ考えがぐるぐると巡り続ける
- 物事を悪い方向に考えてしまい落ち込む
- 延々と長時間考え続けてしまう
など「考えすぎ」にもさまざまなタイプがありますが、そんな自分に疲れてしまい、考えすぎてしまう性格を直したいと思っている人は多いのではないでしょうか。性格をすぐに直すことは簡単ではありませんが、自分の特徴を知り、深く考え込みすぎないための対処法を知ることで、自分らしさを取り戻す手がかりになるかもしれません。
考えすぎる人の特徴とは
考えすぎる人は以下のような特徴があります。
- 完璧主義で真面目
- 自分に自信がなくネガティブ思考
- 感受性が強く敏感
- 心配性
- 一人で抱え込みやすい
完璧主義で真面目
完璧主義で真面目な人は、理想が高く「こうあるべきだ」といった固定概念が強いため考え込みやすい傾向があります。0か100かで物事を判断するため許容できる範囲が狭く、小さなミスやできないことなど他の人は意識しないことにも気が向いてしまいストレスを感じてしまいます。また、理想や目標が高いほど、「なぜうまくいかないのだろう」「もっと頑張らないといけない」などと現実とのギャップに苦しみやすくなります。
自分に自信がなくネガティブ思考
自分に自信がない人は、物事を悲観的に捉えやすくネガティブ思考に陥りやすい傾向があります。自分に自信がないと、自分の言動が人にどう思われているかが気になったり、人から褒められても素直に受け入れられず疑心暗鬼になるなど、常に不安を抱えていることが少なくありません。「自分が悪いんだ」「どうせ自分なんて」など、自分を責めるようなネガティブな考えが続くとますます気分が落ち込み、負のループから抜け出せなくなるため注意が必要です。
感受性が強く敏感
感受性が強い人は共感力が高く、多感にさまざまなことに気づいてしまうため考えすぎてしまうことがあります。いわゆるHSPと言われる人に当てはまることが多く、繊細で刺激を受けやすいことから疲れやすいのも特徴です。感受性が強い人は想像力も高く、これから起こるかもしれないリスクや最悪なケースをいち早く想像してしまうため、普段の生活のなかでも常に考えている状態といえます。
心配性
「何かあったらどうしよう」「失敗するかもしれない」と、心配性の人はあれこれと心配ごとが絶えません。慎重に物事を進めるため気にしなければならないことが人よりも多く、不安や緊張が続きネガティブ思考になりやすい傾向があります。
また、心配性の人はさまざまな情報を収集し安心感を得ようとしますが、頭の中が情報や想像でいっぱいになってしまい、ますます考えすぎて疲れてしまうことも少なくありません。
一人で抱え込みやすい
人に相談できず一人で悩みを抱え込んでしまう人は、自分で答えを見つけることが難しい場面で長時間考えすぎてしまうことがあります。人に聞けばすぐに解決できる問題も、人を頼ることが苦手だったりコミュニケーションが苦手なため、自分ひとりで解決しようと考え込んでしまいます。
自分ひとりで考えを巡らせていると、もともとの問題から思考がずれてしまったり、ネガティブな感情に捉われてしまうなど答えが見つからないまま考え続けてしまい、時間ばかりが過ぎてしまうことがあります。
「考えすぎ」が引き起こす問題とは
「深く考える」ことは決して悪いことではありませんが、「考えすぎる」ことが原因で苦しみや辛さを抱えている人が少なくありません。必要以上に考えすぎてしまうと、以下のような問題に悩まされることがあります。
- 考えすぎることで迷いが生じ、大事な場面で決断ができない
- 決めるのに時間がかかったり、悩みすぎて行動に移せない
- あれこれと心配や不安が増幅し、ストレスを感じる
- ネガティブな考えばかりが頭の中を巡り自分を責めたり自己肯定感が低くなる
- 悩むことに多くの時間を費やしてしまう
これらは時に人生に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。しかし、考えすぎる性格は慎重さや多面的な視点で物事をみることができるなど、長所としてみることもできます。大切なことは人の性格は表裏一体と考え、考えすぎる性格を否定せずにまずは自分の特徴を受け入れることです。
そして、深く考え込んで負のループから抜け出せなくなる前に、対処法を実践し少しずつ改善していくことで自分らしさを取り戻すことができます。
「考えすぎ」を改善するための対処法
「考えすぎ」を改善するための対処法には以下の方法があります。
- 書き出して心配事を整理し、思考パターンを知る
- 考える時間を限定して長引かせない
- 考えすぎる前にまずは行動してみる
- 人に相談する
- マインドフルネス
書き出して心配事を整理し、思考パターンを知る
頭の中に浮かんでいる心配事や悩みを書き出して、視覚化してみましょう。自分が何に不安や恐れを感じているのか、答えが出る問題なのかなど、自分が考えていることを分析し、情報を整理します。深く考え込みすぎてしまうと、自分でもよく分からない状態に陥っていることがあります。自分の考え方や結論の出し方を目で見て把握することで、「これ以上考えても結論はでないな」と判断できたり、自分の思考のクセを知ることができます。
考える時間を限定して長引かせない
考えすぎる人は、次から次へと考えが浮かんでくるため、気がつくと長時間考え続けてしまうことがあります。そのため考える時間に期限を決めて、強制的に考える時間を減らしましょう。いくら考えても答えがでないことがあります。「10分だけ」「移動の間だけ」など、決めた時間の間だけ考えることに集中して、時間になったらすぐに切り替え別の行動に移ります。
考えすぎる前にまずは行動してみる
考えすぎる人は自分に自信がなかったり、まだ起きていないことに不安に感じて行動に移せないことがあります。行動を起こす前に考えてしまうと、リスクやできないことに目を向けて悩んでしまうため、思い切って深く考える前に行動してみましょう。行動を起こすことによって、あれこれ考える時間が少なくなったり、成功体験によって自分に自信をつけることができます。
人に相談する
一人でなんとかしようとあれこれ考えても答えが見つからない場合は、人に相談すると解決の糸口が見つかることがあります。自分ひとりで解決しなかった問題が、自分にはない他人のアイデアによってあっという間に答えに辿りついてしまうことがあります。「自分の問題だから」と一人で抱え込んでしまわずに、思い切って周囲を頼ってみてください。
マインドフルネス
考えすぎて脳が疲れている時はマインドフルネスを取り入れてみるのも効果的です。マインドフルネスは、頭の中に次から次へと浮かんでくる考えを鎮めて、「今この瞬間」に集中できる状態をつくります。リラックス効果やストレスを軽減する効果もあるため、考えすぎて疲れやストレスを感じた時に取り入れてみると良いでしょう。マインドフルネスの具体的な方法については、「マインドフルネス呼吸法のご紹介」の記事にてご紹介していますので、ぜひ、あわせてご覧ください。
反すう思考は病気の可能性も?「考えすぎ」がみられる病気とは
「なぜあの時うまく対処できなかったのだろう」
「なんで私はこんな性格なんだろう」
頭の中をネガティブな思考がぐるぐると巡り、落ち込んだり「また同じことが起きたらどうしよう」と不安になることを反すう思考といいます。反すう思考は自分でコントロールできないことを延々と悩み続けてしまうため、不安感やうつ気分を増長させたり、集中力や注意力の低下などをもたらします。反すう思考が悪化すると、以下のような精神疾患に発展する可能性があるため注意が必要です。
- 不安障害
- うつ病
不安障害
不安障害は、強い不安や恐怖によって日常生活に支障が出る病気です。ひとくちに不安障害といってもさまざまな種類があり、代表的な疾患には以下のものがあります。
- パニック障害:身体に異常がないのに、突然めまいや動悸、呼吸困難などのパニック発作が起こる病気
- 社会不安障害(社会恐怖):人前で恥ずかしい思いをすることに強い恐怖や不安を感じ、状況を回避する行動をするようになる病気
- 強迫性障害:強い不安やこだわりによって考えや行動が止められなくなる病気
- 全般性不安障害:慢性的に不安や心配を持ち続け、めまいや動悸など心身に不調があらわれる病気
うつ病
うつ病は、気分の落ち込みや今まで楽しめたことが楽しめなくなるなどの意欲低下が続き、日常生活に支障がでる病気です。憂うつ感や不安感などの精神症状のほか、頭痛や動悸、食欲の低下や不眠などの身体症状があり、症状や程度は人によってさまざまです。反すう思考がどうしても止められず、強い気分の落ち込みが2週間以上続く場合はうつ病を発症している可能性があります。うつ病は再発リスクが高い病気のため、早期に発見し適切に治療をすることがとても大切です。気になる症状があれば、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。
まとめ
「考えすぎ」とは必要以上に物事を考えてしまう状態のことで、良くない意味で使われることが一般的です。考えすぎるあまり不安になったり悲観的になるため心が疲れてしまうことが少なくありません。考えすぎる人には以下のような特徴があります。
頭の中をネガティブな思考がぐるぐると巡り、落ち込んだり「また同じことが起きたらどうしよう」と不安になる「反すう思考」が止められない場合は、不安障害やうつ病を発症しているかもしれません。日常生活に支障が出るほどの不安や恐怖、気分の落ち込みなどが続く場合は、早めに精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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