イライラするのはなぜ?イライラする原因と解消法について解説
「穏やかでいたいのにイライラしてしまう」など、イライラの感情は自分の意志とは無関係に湧き上がってくるものです。
自分の思い通りに物事が進まなかったり心に余裕がない時にイライラは起こりやすく、イライラがうまく解消できないと、対人関係や心身の健康などに悪影響を及ぼしてしまうことがあります。イライラは日常生活の中で誰でも起こる感情のため、自分にあったイライラの解消法を知っておくことはとても大切です。
今回の記事では、イライラの感情とうまく付き合うために知っておきたいイライラの原因と解消法を解説します。
イライラの正体とは
「急いでいるのにお会計で待たされる」
「相手が約束の時間に遅れて来た」
「渋滞で目的地に辿り着けない」
私たちの日常の中で物事が自分の思い通りに進まないことはよくあることですが、同じ状況でもイライラする人とイライラしない人がいます。
イライラは「理想と現実のギャップ」によって生まれる不快感のあらわれとも言えますが、「こうあるべき」という自分の理想やものさしが明確にある人ほど、現実とのギャップが大きいためイライラしやすい傾向があります。例えば「人を待たせてはいけない」という価値観の人が相手に遅刻されると、「5分前には来るのが当たり前なのに」「遅刻の連絡はもっと早くすべきだ」と、自分のものさしで考え相手の行動を不快に感じてイライラしてしまいます。
しかし、イライラしない人は自分と同じように相手にも相手のものさしがあることを認識しているため、自分のものさしの枠を超えた行動を取られても受け入れることができます。イライラしてしまうことは自然な感情ですが、上手くコントロールできないと人に強く当たってしまい対人関係に悪影響を及ぼしたり、イライラが続くことで自律神経のバランスが崩れ、心身の不調を引き起こすことがあります。イライラを悪化させないためにも、まずは自分にどんな「こうあるべき」というものさしがあるのかを自覚しておくことが大切です。
イライラが増える原因とは
普段あまりイライラしない人でも、以下のような要因が重なることでイライラすることが増えることがあります。
- ストレスが溜まっている
- ホルモンバランスの乱れ
ストレスが溜まっている
マイナスな感情や状態によってストレスが溜まっていると、イライラしやすくなったりイライラした時の不快な感情も大きくなります。
「ストレスは特に感じていない」と思っている人でも、ひとつひとつの要因は小さくても複数のストレスの要因が重なることで、無自覚のうちに自分の許容を超えてイライラの原因になっているかもしれません。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンは体内のさまざまな機能を調整しているため、バランスが崩れると心身に不調があらわれイライラの原因となることがあります。
特に女性は「月経前症候群(PMS)」の症状のひとつとして、情緒が不安定になりイライラしやすい状態の場合があります。
また、加齢によるホルモンの低下でおこる更年期障害も、イライラしたり眠れないなどの症状があります。更年期障害は女性の特有のものとされがちですが、男性もホルモンの低下とともにイライラなど更年期の症状があらわれることがあります。
イライラした時の解消法
イライラすることがあってもイライラをうまく解消できれば問題はありません。しかし、イライラに悩む多くの人は「イライラしてもしょうがない」と分かっていても気持ちのコントロールが難しいと感じているのではないでしょうか。イライラと上手に付き合うために、イライラを解消するための以下のコツをご紹介しますので、自分に合った解消法を見つけましょう。
- 深呼吸やその場から離れて気持ちを落ち着かせる
- 適度な運動をする
- 質の良い睡眠と十分な休息をとる
- 栄養バランスを整える
- 「こうあるべき」という考えを手放す
- マインドフルネス
- 深呼吸やその場から離れて気持ちを落ち着かせる
イライラを感じた時に、すぐに気持ちを切り替えることは簡単ではありません。さらに不快な感情に意識が向いてしまうと、怒りが増幅したりマイナスな感情に囚われてしまうことがあります。
まずは一度気持ちを落ち着かせることが大切です。深呼吸やその場から離れて違う景色をみたり意識を外に向けることで、交感神経が優位になっていた自律神経が安定し、気持ちを和らげることができます。
適度な運動をする
イライラが続くとストレスが溜まるため、さらに気持ちの余裕がなくなるなど悪循環が生まれます。ジョギングやウォーキングなどの軽い運動は、ストレスを発散するだけでなくセロトニンの分泌が増えるため気分転換に効果的です。運動が苦手な人は、ヨガやストレッチなどもリラックス効果があるためイライラの解消に役立ちます。
質の良い睡眠と十分な休息をとる
寝不足や肉体的な疲労があるとストレスやイライラも溜まりやすくなります。睡眠時間をしっかりとっているのに日中眠気がある場合は、睡眠の質が悪いケースがあるため睡眠環境を見直すと良いでしょう。
寝つきにくい、睡眠中に目が覚める場合は、カフェインやアルコールの影響も考えられますので控えましょう。忙しくて疲労が溜まっている場合は、まずは十分な休息を取ることが大切です。疲れたと感じたら、意識的に休める時間を取りましょう。
栄養バランスを整える
空腹時にイライラしやすいように、栄養不足がイライラのもとになることがあります。脳の働きに必要不可欠なブドウ糖や、イライラに関係するビタミン、ミネラルを摂ってイライラを解消しましょう。
普段の食事で栄養が偏っている場合は、食生活の見直しが大切です。朝食は寝ている間に消費されたブドウ糖を補うため、朝食を食べない習慣の方はきちんと朝食をとることをおすすめします。
「こうあるべき」という考えを手放す
「こうあるべき」という考えが強いと、イライラの頻度や程度が人よりも大きくなってしまいます。人それぞれに価値観が異なることを認識し、他人の考えや行動を自分のものさしで判断せずに「こういう考えもあるだな」と受け入れることが大切です。すぐに受け入れることが難しい場合は、「まぁいいか」と口に出してみることもおすすめです。言葉にすることで思考や行動に影響し、イライラを軽減することが期待できます。
マインドフルネス
イライラの感情からなかなか抜け出せない場合は、マインドフルネスが効果的です。マインドネスは、判断や評価を加えず今起こっている経験にただ集中する状態のことです。通常イライラしている時はイライラの感情に振り回されてしまいますが、マインドフルネスを取り入れると自分の感情を客観的に認識することができるため、イライラの感情を抑えることができます。
また、イライラした時の身体反応にも敏感になるため、感情が沸き起こった時の身体反応から素早く自分の変化に気づき対応することができます。
マインドフルネスについて詳しく知りたい方は「治療法について – マインドフルネス」を御覧ください。
「些細なことでイライラする」「怒りっぽくなった」は病気のサインかも?関連する病気とは
イライラは誰でも経験する感情ですが、「些細なことでイライラする」「怒りっぽくなった」と感じる場合は、心の病気がイライラの原因になっている可能性があります。イライラが症状としてあらわれる代表的な病気は以下の3つがあります。症状が長引いたり他に気になる症状がある場合は、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。
- うつ病
- 自律神経失調症
- 認知症
うつ病
うつ病は気分の落ち込みや意欲の低下が代表的な症状ですが、イライラや怒りっぽくなるのもうつ病の症状のひとつです。些細なことに反応してイライラしたり、イライラが抑えられず攻撃的になってしまうなど、周囲とのトラブルを招きやすく対人関係が悪化してしまうことがあります。
うつ病の症状は人によってさまざまですが、不安感や焦り、集中力の低下などの精神症状や、頭痛や吐き気、動悸、不眠や食欲不振などの身体症状があり、2週間以上続く場合はうつ病の可能性があります。
うつ病かも?と悩まれている方は「うつ病の診断テスト(チェックリスト)」も合わせて御覧ください。
自律神経失調症
イライラやストレスが溜まると、自律神経のバランスが崩れるため心身にさまざまな不調があらわれます。イライラや怒りっぽくなるといった症状も自律神経の乱れによってあらわれますが、自律神経失調症は他の考えられる疾患の可能性が除外された時に診断されます。自律神経失調症はうつ病の症状と似ていますが、自律神経のバランスの崩れが原因のため、生活習慣を改善するだけで治るケースもあります。
自律神経失調症について詳しく知りたい方は「自律神経失調症」をご覧ください。
認知症
認知症は脳の神経細胞の低下により、記憶力や判断力などの認知機能が低下して社会生活に支障をきたす状態です。認知症の初期症状として感情のコントロールができずイライラしたり、認知機能の低下により周囲の状況が理解しずらくなるため怒りっぽくなることがあります。
認知症は放っておくと進行してしまうため、早期に発見し、適切な治療や対応が必要です。イライラの症状に加えて記憶力の低下などの症状が見られる場合は、早めに病院を受診しましょう。
まとめ
イライラは「理想と現実のギャップ」によって生まれる不快感のあらわれで、自分の思い通りに物事が進まなかったり心に余裕がない時に起こります。「こうあるべき」という自分の理想やものさしが明確にある人ほどイライラしやすく、イライラを上手くコントロールできないと対人関係に悪影響を及ぼしたり、イライラによって自律神経のバランスが崩れ、心身の不調を引き起こすことがあるため注意が必要です。
さらに普段あまりイライラしない人でも、以下のような要因が重なることでイライラすることが増えることがあります。
- ストレスが溜まっている
- ホルモンバランスの乱れ
イライラすることがあってもイライラをうまく解消できれば問題はありません。以下のような方法でイライラを解消し、気持ちをコントロールする自分にあった方法を見つけましょう。
- 深呼吸やその場から離れて気持ちを落ち着かせる
- 適度な運動をする
- 質の良い睡眠と十分な休息をとる
- 栄養バランスを整える
- 「こうあるべき」という考えを手放す
- マインドフルネス
「些細なことでイライラする」「怒りっぽくなった」と感じる場合は、うつ病など心の病気がイライラの原因になっている可能性があります。症状が長引いたり他に気になる症状がある場合は、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。
あらたまこころのクリニックでは、イライラの対処に効果的なマインドフルネスグループを開催しています。気になる方はお気軽にお問い合わせください。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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