仕事に集中できない時はどうしたらいい?集中するためのコツや関連する病気について紹介
「仕事に集中できず仕事が終わらない」
「仕事に集中できなくてミスが増えた」
仕事に集中できないと、仕事のパフォーマンスにも影響があらわれるため悩んでいる人も多いのではないでしょうか。仕事に集中できない理由は、一時的な不調によるものから周囲の環境、実は病気のサインだったという対処が必要なものまでさまざまです。今回の記事では、仕事に集中できない原因や、仕事に集中できない時に試して欲しい集中するためのコツ、そして関連する病気についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
仕事に集中できないのは当たり前?人の集中力は長くて90分
仕事をする上で集中力はとても重要です。しかし、人間の集中力は90分が限界と言われており、そのなかでも深い集中が続く時間は15分と考えられています。私たちは1日の大半を仕事に費やしていますが、始業から終業までの間ずっと集中し続けるということは難しいことなのです。そのため集中力を維持するためには工夫が必要です。集中の妨げとなる原因や集中力を高めるためのコツを知って、自分に合った方法を身につけていきましょう。
仕事に集中できないとどんな影響がある?
「仕事に集中できない」と感じながらもそのままにしておくと、以下のような悪影響を及ぼします。
- 仕事の生産性が低くなる
- ケアレスミスが増える
仕事上でこうした状態が続くと、「仕事ができない人」「仕事をしていない人」と思われてしまい、周囲からの評価が下がることがあります。さらに、人間関係が悪くなったり、こうした状況から次第にストレスが溜まると、精神的な不調があらわれることがあるため注意が必要です。
仕事に集中できない人の特徴とは
同じ仕事をしていても、仕事に集中できずに悩む人と、仕事に集中して取り組める人がいます。「仕事に集中できない!」と悩む人には、共通して「飽きっぽい」といった性格があげられます。同じような仕事が続くと、モチベーションが低下するため集中の維持が難しくなるのです。さらに、複数のことを同時に作業するなどマチタスクになってしまっていることがあります。
ひとつひとつの仕事に対して集中することが難しくなるため、結果として全体的に仕事の質や効率が悪くなることがあります。「仕事の段取りが苦手な人」も、計画的に仕事が進められず業務が圧迫してしまい、何から手をつけていいかか分からず集中できなくなる傾向があります。
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仕事に集中できない主な原因は5つ
仕事に集中するためには、仕事に集中できない原因を知っておくことが大切です。原因は人によってさまざまですが、主に以下の5つの原因が考えられます。
- 体調不良やストレス
- 仕事が合っていない
- 職場の人間関係が悪い
- 仕事をする環境に問題がある
- プライベートに悩みがある
体調不良やストレス
体や心に疲れが溜まっていると、仕事に集中することができません。頭痛がする、風邪気味だなど、明らかな体調不良だけでなく、残業続きによる肉体疲労や、夜ふかしによる睡眠不足も影響をおよぼします。さらにストレスといった心的疲労も集中力の低下につながります。自分の体や心のどこかに、不調や疲れが溜まっていないかチェックしてみましょう。
仕事が合っていない
そもそも仕事が自分に合っていないと、集中力が低下します。異動や転職でいままでと違う仕事内容になってしまった場合や、昇進し部下とコミュニケーションを取る必要が出てきた場合。これまでと環境が変わってしまい自分に合わなくなり、意欲低下、自信喪失、不安など心の状態が健全ではなくなり、集中力が低下します。
自分なりのやりがいがどうしても見いだせない場合は、上司に相談し業務内容を見直してもらう、転職を検討するといった選択肢があります。これから解説する解決方法を試してみることをオススメします。
職場の人間関係が悪い
職場の人間関係が悪いと、気を遣う場面が多くなったり周囲の目が気になってしまい、仕事に集中できないことがあります。たとえば、仕事において本当は言いたくないことでも言わなきゃいけない場面がありますよね。そのようなとき過度に相手の顔色を伺うようになってしまったり、相手に嫌われたかもしれないという孤独感に苛まれたり。
人間関係は仕事のパフォーマンスにも影響するため、ギクシャクした関係性はストレスが溜まって本来の力を発揮することが難しくなります。人間関係のストレスから、体や心にも不調があらわれることがあるため注意しましょう。
仕事をする環境に問題がある
「デスクに資料が散らかっている」「空調が効きすぎて寒い」「周囲がうるさい」など、仕事をする周りの環境に問題があると、仕事に集中ができない原因のひとつになります。最近では在宅ワークをする人も増えたため、仕事とプライベートの切り替えがうまくできずに集中できないといった悩みを抱えている人も少なくありません。仕事でスマートフォンを使っている人は、目の届くところにスマートフォンがあると、作業中にもつい見てしまい集中が途切れてしまうことがあるため要注意です。
プライベートに悩みがある
仕事以外でプライベートに悩みがある場合も、仕事に集中できない原因となります。悩みが深いほど頭の切り替えができずに仕事中も考え込んでしまい、仕事が手につかなくなってしまいます。すぐに問題を解決することが難しくても、周りに相談したりリラックスできる時間を持つなど、ストレスをなるべく溜め込まないようにしましょう。
仕事に集中するためのコツとは
「仕事に集中できない!」と感じたら、ちょっとしたコツで集中力を取り戻すことができます。まずは以下に紹介する4つのコツを試してみてください。自分に合った方法を見つけましょう。
- 短時間の集中を積み上げる
- 仕事の進め方を工夫する
- 心の整理をする
- 集中できる環境を整える
- 人間関係を見直してみる
- 十分な睡眠をとり、疲れを放置しない
- マインドフルネスで心と頭を整える
短時間の集中を積み上げる
株式会社ベネッセコーポレーションと東京大学薬学部の池谷裕二教授が行った実験では、60分続けて学習するよりも、15分学習の休憩を挟みながら3回繰り返す積み上げ学習の方が、学習の定着と集中力に効果があることが分かりました。これは仕事でも同じことが言えます。そのため集中力が続かない場合は、無理に長時間続けようとせずに短い時間でまずは集中して取り組み、休憩を挟みながら短時間集中の自分のリズムを作ることで、仕事の効率を上げることが期待できます。
仕事の進め方を工夫する
仕事の段取りが苦手で仕事に集中できない人は、仕事の進め方を工夫することが大切です。具体的には、一日のタスクを書き出して情報を整理します。今日中に終わらせないといけない仕事や仕事の優先順位を明確にしましょう。取り掛かるべき仕事が明確になると、集中して仕事を進めることができます。ひとつの仕事に集中できるようマルチタスクは避けましょう。
心の整理をする
まずは心の整理をしてみましょう。これまでの生い立ちや素直な感情、最近の変化、など振り返りをして整理することでどのように解決すべきかが見えてきます。
実際は、辛い経験や傷ついた経験の積み重ねが徐々に心を疲弊させて、集中力が低下してしまう可能性が高いです。その場合、自分ひとりで原因を探しても見つからない場合があるので、周りの友人や家族に相談しましょう。
当院では、一緒に振り返りながら気持ちの整理をする面談を行っております。詳しくは「心”整理”面接が役立つのはなぜ??」という記事をご覧ください。
集中できる環境を整える
仕事をする周囲の環境は集中力に大きく影響します。騒音、室温、椅子の座り心地、デスク周りのごちゃごちゃ・・・など、人によって集中を妨げる原因はさまざまですが、気になって集中できない場合は、集中できる環境に整えます。スマートフォンなどつい視界に入ると触ってしまう人は、視界に入らない場所に置くなどの工夫が必要です。自分にとって集中しやすい環境を整えましょう。
人間関係を見直してみる
ストレスの原因になっていることが会社の同僚や家族、友人との人間関係の場合は、日々の対人関係について振り返ってみることをオススメします。
- どんな言動に傷ついたのか
- どんなことに不満を感じるのか
- 自分を犠牲にして我慢していることはないか
対人関係で抱えている悩みを振り返ることから初め、ストレスに感じている部分を探してみましょう。
そして、それらのストレスは「アサーション」というコミュニケーション方法を取り入れることで解決につながる可能性があります。相手を変えることは難しいですが、自分自身の考え方や振る舞いで緩和させることはできます。アサーションについては「アサーション~自分も相手も大切にするコミュニケーション」を参考にしてみてください。
十分な睡眠をとり、疲れを放置しない
睡眠不足や疲れは集中力を低下させます。十分な睡眠を心がけて、疲れを感じたらゆっくり休める時間を作りましょう。仕事中であれば、集中が続かないまま時間仕事を続けても効率が上がらないため、短時間でも休憩を取って気分転換をすることが大切です。席を立って外の空気を吸ったり、ストレッチなどで少し体を動かすなども効果的です。
マインドフルネスで心を整える
マインドフルネスのエクササイズで最も一般的なのが「呼吸法」です。呼吸を通して「今、ここ」の現実に集中し自分を苦しめる「考え」「感情」「記憶」などにとらわれにくい状態を作っていきます。
集中できない、心の状態が健全ではない場合、このマインドフルネスを行うことで精神状態を整えます。うつ病の予防や再発防止にも役立つため、当院でもオススメの療法です。もっと詳しく知りたい方はぜひ「治療法について:マインドフルネス カテゴリの記事」をご覧ください。
仕事に集中できないのは病気のサイン?関連する主な病気とは
仕事に集中できないさまざまな原因をご紹介しましたが、いろいろ対処法を試しても改善しない場合は病気の可能性も考えられます。特に気をつけたい病気には以下の2つがありますので、それぞれ解説していきます。
- うつ病
- ADHD(注意欠如・多動症)
うつ病
うつ病は、強い気分の落ち込みややる気が出ないなどの症状によって日常生活に支障が出る病気です。症状は、抑うつ、意欲の低下、集中力の低下といった精神症状以外にも、頭痛や肩こりといった身体症状にもあらわれます。こうした症状は、日常的に誰にでも起こる症状ですが、ほとんど毎日、2週間以上続く場合にはうつ病の可能性が高くなります。
うつ病は放っておくと徐々に悪化していき日常生活を送ることが困難になるため、早めに対処することが大切です。うつ病は再発しやすい病気のため、早めに専門機関で治療することが早期回復のカギです。少しでも気になる症状がある場合は、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。
関連記事:「疾患について: うつ病 カテゴリ記事一覧」
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDは、注意欠如・多動症とも呼ばれ「不注意」や「多動・衝動性」を特徴にもつ、発達障害のひとつです。ADHDは先天的な脳の機能障害によるものですが、小児期に気づかず大人になってからADHDだったと気づくケースもあります。集中力が続かないといった特徴は、ADHDの「不注意」の特徴に当てはまり、順序立てて行動することが苦手です。
ADHDは「障害」のため、治療は完治を目的としません。ADHDの症状をコントロールする方法や、症状によって起こる困りごとに対処する力を身につけることがとても大切です。「忘れ物や失くしものが多い」「整理整頓が苦手」「注意が散漫になりやすい」などの特徴に当てはまり、社会生活で困りごとを抱えている場合はADHDの可能性が考えられます。
関連記事:「【ADHD・発達障害診断テスト】セルフチェックができるリストをご紹介」
まとめ
仕事に集中できず悩んでいる人に知って欲しい、仕事の集中力続かない原因と、仕事に集中するためのコツをご紹介しました。
仕事に集中できない主な原因は以下の5つ。
- 体調不良やストレス
- 仕事が合っていない
- 職場の人間関係が悪い
- 仕事をする環境に問題がある
- プライベートに悩みがある
仕事の集中の妨げとなる原因を明らかにして、自分にあった以下の仕事に集中するためのコツを身につけましょう。
- 短時間の集中を積み上げる
- 仕事の進め方を工夫する
- 集中できる環境を整える
- 十分な睡眠をとり、疲れを放置しない
原因が分からず、仕事に集中するためのコツを試しても改善しない場合は、うつ病やADHDの可能性があります。症状が長く続いたり、気になる症状がある場合は、早めに診療内科や精神科を受診してください。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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