頭がぼーっとする原因はストレス?考えられる疾患や対処法を解説
「一日中頭がぼーっとして何にも集中できない」
「頭がぼーっとして歩くとふわふわした感じがする」
「検査で脳に異常はなかったが頭がぼーっとする症状が治らない」
「頭がぼーっとする」といった原因不明の症状に悩まされているとしたら、それはストレスが関係しているかもしれません。頭がぼーっとする症状にはさまざまな原因が考えられますが、そのまま放置しておかない方が良いケースがあります。今回の記事では、頭がぼーっとする原因や考えられる疾患、対処法について解説していきます。
頭がぼーっとする3つの原因とは
「頭がぼーっとする」といった症状は、集中力や判断力が鈍っている時に表現されます。このような脳の働きが低下する時は、どのような原因があるのでしょうか。主な原因には、以下の3つの原因があります。
- 脳のエネルギーが不足している
- 血流が低下している
- 疲労がたまっている
脳のエネルギーが不足している
脳の重要なエネルギー源は「ブドウ糖」で知られていますが、このブドウ糖が不足していると頭がぼーとする原因になります。他にも脳を働かせるために必要な栄養素は、タンパク質やビタミン、ミネラルなども欠かせません。食事をあまり摂らない、ダイエットなどで炭水化物を抜いている、栄養が偏った食事を続けているなど、脳にとって必要な栄養が不足した食習慣が続いていると、脳がうまく働かなくなり頭がぼーっとすることがあります。
血流が低下している
脳の働きは、血流不足によっても低下します。筋肉の緊張や凝り、運動不足などで血流が悪くなると、脳の血流も低下するため頭がぼーっとするようになります。悪化すると浮遊性めまいを引き起こしたり、脳梗塞や脳卒中などの命に関わる病気につながるケースがあるため注意が必要です。
疲労がたまっている
睡眠不足やストレス、肉体疲労などの心身の疲労も、頭がぼーっとする原因のひとつです。疲労が溜まると自律神経が乱れや血行不良を起こしやすく、脳の機能にも影響することがあります。また、パソコンやスマートフォンの見過ぎによる眼精疲労や、ネットやSNSからの情報過多によっておこる脳疲労も頭がぼーっとする原因となります。疲れを感じたら、まずは休むことを優先させてください。
ストレスでも頭がぼーっとする?自律神経失調症とは
頭がぼーっとする症状が長引いたり、検査をしても脳に異常がない場合は、ストレスが原因かもしれません。ストレスを受けると交感神経が優位になり続けるために、自律神経の乱れを引き起こします。自律神経の乱れは心身にさまざまな不調があらわれやすくなるため、いわゆる自律神経失調症といわれる状態になる可能性があります。
関連記事:「自律神経失調症の正体 パニック障害が関係していることもある」
自律神経失調症の原因
自律神経失調症は、生活習慣の悪化やストレスなどを原因として起こります。また、環境の変化によって負荷がかかったり、女性ホルモンの影響によっても自律神経の乱れを引き起こすことがあります。原因は人によってさまざまですが、複数の要因が影響し合ってしているケースもあるため、直接的な原因を特定することは難しいことが少なくありません。
自律神経失調症の主な症状
自律神経失調症の症状は、体や心にさまざまな不調となってあらわれます。症状は多岐にわたりますが、主な症状として以下のものがあります。
- 疲れがとれない
- 眠れない
- だるい
- 頭痛
- 肩こり
- 動悸
- 発汗
- めまい
- イライラ
- 不安感
- 判断力や集中力の低下
- うつ
自律神経失調症になりやすい人の特徴
自律神経失調症は、特に診断がつきにくい症状の場合に暫定的に診断されることがあるため、誰にでも発症する可能性があります。しかし、自律神経は生活習慣やストレス、ホルモンの影響を受けやすいため、不規則な生活を送っている人やストレスを感じやすい人、ホルモンバランスが乱れやすい更年期の人がなりやすいと言えるでしょう。自律神経の働きが生まれつき乱れやすいといった、体質的なケースもあります。
その他に考えられる疾患は?
頭がぼーっとする症状がある時は、その他に以下の疾患が考えられます。それぞれの疾患について詳しくみていきましょう。
- 低血圧
- 統合失調症
- 慢性疲労症候群
- うつ病
低血圧
血圧の世界共通の標準として、収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧)60mmHg以下をだと低血圧と定義しています。一般的に男性よりも女性や子どもに多くみられ、めまいや立ちくらみ、頭痛や倦怠感、朝起きられないなど症状は多岐にわたります。低血圧になると、全身に十分な血液を送ることができないため体の一番高い脳まで届かず、栄養や酸素不足で頭がぼーっとすることがあります。
統合失調症
統合失調症とは、考え方や感じ方、行動をまとめることが難しくなる脳の病気です。思春期にみられることが多い病気で、高齢での発症は少ないとされています。統合失調症は、妄想や幻想といった健康なときになかった症状があらわれたり、喜怒哀楽や意欲など健康なときにあったものが失われることによって無気力や倦怠感、抑うつ症状などがあらわれます。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、原因不明の強い全身の倦怠感や慢性的な疲労感のことで、休養しても回復せず半年以上も続くとされています。同時に微熱や頭痛、思考力や集中力の低下、睡眠障害やうつなどのさまざまな症状もあらわれます。慢性疲労症候群を診断するための臨床検査はなく、病院でさまざまな検査をしても異常が見つからない場合に慢性疲労症候群が疑われます。
うつ病
うつ病は、ストレスをきっかけに脳がうまく働かなくなり、心身に不調があらわれる病気です。うつ病を発症すると、何をしても楽しめず気分の落ち込みが続いたり、物事を否定的に捉えるようになります。うつ病は精神症状が注目されがちですが、疲れやすくなったり頭痛や肩こり、動悸やめまいなどの身体症状もあらわれることがあります。日常生活に支障が出るほどの気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、うつ病の可能性がありますので病院の受診をおすすめします。
うつ病に関する記事:「うつ病 カテゴリの記事」
頭がぼーっとした時の対処法
頭がぼーっとした状態が続く場合は、まずは生活習慣を見直してみましょう。十分な睡眠を取り、バランスの良い食事を心がけることが大切です。疲れを感じる場合は休息が必要です。ゆっくりできる時間を作ったり、マッサージに行くなどで疲労を回復させましょう。ストレスが溜まっていると感じたら、気分転換に旅行に行ったり好きなことに没頭するのも良いでしょう。適度な運動は、血流を良くするだけでなくリフレッシュにもなるためおすすめです。眼精疲労や脳疲労の原因となる、パソコンやスマートフォンを長時間見ない工夫も大切です。
病院に行く目安とは?何科を受診する?
生活習慣の改善や食生活の見直しをしても症状が改善しない場合は専門医を受診しましょう。めまいやしびれ、呂律がまわらないなどの症状がみられる場合には、命にかかわる病気の可能性があるため早急に脳神経外科を受診してください。不安感や気分の落ち込みなどが2週間以上続く場合は精神科や心療内科が適しています。自分ではなかなか判断がつきにくい場合は、内科やかかりつけの医師に相談するのも良いでしょう。
まとめ
頭がぼーっとする原因は人によってさまざまですが、主に以下の3つの原因が考えられます。
- 脳のエネルギーが不足している
- 血流が低下している
- 疲労がたまっている
また、考えられる疾患には以下のものがあり、そのまま放置しておかない方が良い疾患もあるため注意が必要です。
- 自律神経失調症
- 低血圧
- 統合失調症
- 慢性疲労症候群
- うつ病
頭がぼーっとすると感じたら、以下の対処法を試してみましょう。
- 生活習慣の改善
- 食生活の見直し
- 十分な睡眠と休息
- 適度な運動などでリフレッシュ
- パソコンやスマートフォンを長時間見ない
頭がぼーっとする症状以外にも、めまいやしびれ、呂律が回らないなどの脳の異常に関係する症状があらわれる場合は、早急に脳神経外科を受診してください。不安感や気分の落ち込みなどが2週間以上続く場合は、精神科や心療内科の受診をおすすめします。原因不明の症状に悩まされていると不安はつきものです。まずはぜひ一度、お気軽にご相談ください。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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