めまいの原因はストレス?めまいの原因と対処法から何科を受診すべきかを解説
「めまいがするけど体に異常はないと言われる」
「めまいがひどいのに原因がわからなくて辛い」
この記事を読んでいる方の中には、このような悩みがある人も多いのではないのでしょうか。
もしかしたらそのめまいはストレスが原因かもしれません。めまいの原因は、特定することが難しい場合が多く、どのようなタイプがあるか知っておくだけでも対策しやすくなります。
今回の記事では、めまいで悩んでいる人に知ってほしい、めまいの原因と対処法から、何科の病院に行けばよいのかを解説していきます。
めまいとは?めまいの種類と症状
めまいとは、「頭がふらつく」「足元がふわふわする」など、体の平衡感覚が乱れた状態のことをいいます。それ自体は病気ではありませんが、何らかの疾患によってあらわれる症状のひとつです。めまいと一口にいっても種類はさまざまで、主に以下の3つに分けられます。症状の程度には個人差があり、原因も人によって大きく異なります。
- 回転性のめまい(ぐるぐる回る)
- 浮動性のめまい(ふらつく)
- 眼前暗黒感(立ちくらみ)
回転性のめまい(ぐるぐる回る)
- 自分自身がぐるぐる回っている感じがする
- 周囲がぐるぐる回っている感じがする
- 左右どちらかに引っ張られる感じがする
このタイプのめまいを「回転性のめまい」といいます。その場でぐるぐる回って急に止まるといった子どもの遊びがありますが、止まった時に周りが回転してみえるといった感覚にとてもよく似ています。回転性のめまいは、吐き気や嘔吐、立って歩くことが難しいといった症状が現れます。突発的に起こることが多く、症状は短時間でおさまることが特徴です。
浮動性のめまい(ふらつく)
- 頭がぼーっとしてふらつく
- 地面がふわふわする感覚がある
- 体が浮いて足が地につかない感じがする
このタイプのめまいは「浮遊性のめまい」といいます。体が浮くような感覚があり、姿勢が保てなかったりまっすぐ歩くのが難しくなります。めまい自体はあまり強くはありませんが、安静にしてもふわふわとした感覚がおさまらず、長い時間続くことがあります。また、肩こりや頭痛をともなうことが多いのも特徴のひとつです。
眼前暗黒感(立ちくらみ)
- 立ち上がった時にクラクラする
- 長時間同じ姿勢でいると眼の前が暗くなる
- 意識がスーッと遠のく感じがする
このタイプは「眼前暗黒感」といって、上記の2つと少し性質が異なります。眼前暗黒感は脳の血流不足によって起こる症状とされ、貧血のようにクラっとしたり、眼の前が暗くなるような感覚をともないます。軽い立ちくらみなどその場限りでおさまる場合はあまり心配はいりませんが、繰り返し起こる場合は、血圧異常や心臓病などの病気が隠れているケースがあるため注意が必要です。
めまいはなぜ起きる?めまいの原因とは
めまいは主に、平衡感覚に関わる「耳」か「脳」に原因があることが多いとされています。その他にも、ストレスや加齢によってもめまいが起こることがあります。めまいの正確な診断は難しいケースが多いですが、原因や特徴を知っておくことで、対策も立てやすくなります。
<めまいの原因>
- 内耳の異常
- 脳の異常
- ストレスや加齢による機能低下など
内耳の異常
内耳にリンパ液が過剰にたまる「メニエール病」や、平衡感覚を感知するための耳石がはがれ落ちて三半規管の中に入ってしまう「良性発作性頭位めまい症」という病気がめまいの原因となることがあります。内耳の異常によるめまいは良性発作性頭位めまい症の割合が一番多く、長時間頭を動かさず同じ姿勢でいる人がなりやすいとされています。難聴や耳鳴りなどを伴うめまいの場合は、メニエール病や突発性難聴の疑いがあります。
<内耳の異常によってめまいの原因となる疾患>
- 良性発作性頭位変換性めまい
- メニエール病
- 前庭神経炎
- 突発性難聴
- 聴神経腫瘍
脳の異常
脳の異常が原因によるめまいの場合は、脳の障害により「物が二重に見える」「手足にしびれを感じる」「ろれつが回らない」などの特徴的な症状があらわれます。こうした症状や激しい頭痛などがともなう場合は、命に関わる病気の可能性があるためすぐに脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。
<脳の異常によってめまいの原因となる疾患>
- 脳卒中
- 脳腫瘍
- 椎骨脳底動脈循環不全
- てんかん
ストレスや加齢による機能低下など
めまいの原因には、ストレスや加齢が関係しているケースがあります。体のバランスを保つ三半規管はストレスに弱いため、心配事があったり疲労がたまっていると敏感に反応しやすくなります。また、めまいに加えて吐き気をともなう場合は、ストレスが関係している可能性が高いでしょう。自律神経が乱れは、消化器系や内耳の機能に不調を引き起こしやすくなります。その他にも、加齢によって平衡感覚が衰えることで、めまいの原因となるケースが少なくありません。内耳や脳の異常以外の原因はさまざまなケースがあります。
<その他の原因の例>
- ストレスによる自律神経の乱れ
- 眼精疲労
- 睡眠不足
- 加齢による機能低下
- 更年期障害
- 薬の副作用
- 起立性低血圧
- 貧血
- 暑さによる脱水
めまいが起きた時の対処法
突然めまいが起こると、誰もが不安を感じることでしょう。続いては、めまいが起きた時に慌てることがないようその場でできる対処法と、めまいを引き起こさないためにできる対策をご紹介します。
<めまいが起きた時の対処法>
- 動かず安静にする
- バランスの良い食事や適度な運動などの規則正しい生活を心がける
- ストレスを溜め込まない
動かず安静にする
どのめまいにも共通することですが、まずは気持ちを落ち着かせて安静にすることが大切です。立っていると転倒の可能性があるためとても危険です。なるべく楽な姿勢で座るか横になりましょう。音や光など、目や耳に入る刺激を避けることも大切です。
バランスの良い食事や適度な運動などの規則正しい生活を心がける
偏食で鉄分が不足していたり、睡眠不足や運動不足など、生活習慣の乱れがめまいの症状を引き起こすことも少なくありません。規則正しい生活を心がけ、生活習慣を改善することでめまいの再発を防ぐことができます。特にメニエール病は、適度な運動が効果的とされています。
ストレスを溜め込まない
ストレスはめまいを引き起こす原因となります。ストレスを溜め込まないためにも、適度な運動や旅行などで気分をリフレッシュしたり、好きなことに没頭したりリラックスできる時間をもつなどの工夫が大切です。
めまいが続く場合は何科を受診すべき?
めまいの症状は仕事や日常生活に影響が出るなどとても辛いものです。一時的なめまいなど、全てが病院の受診を必要とするものではありませんが、原因によっては命に関わるケースがあるため注意が必要です。めまいは原因によって適した診療科が異なりますが、めまい以外の症状が診療科を選ぶにあたりとても重要なカギとなります。
難聴や耳鳴りなどの内耳の異常による症状がともなう場合は、耳鼻科の受診が適切です。
手足のしびれや物が二重にみえる、ろれつが回らないなどの症状をともなう場合には、脳の異常が考えられるため脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。
吐き気や気分の落ち込み、意欲の低下がみまれる場合は、心療内科や精神科が適切です。判断に迷った場合は内科やかかりつけの病院に相談してみるのも良いでしょう。
原因がはっきりしない場合は自律神経の乱れかも
原因不明のめまいはストレスが影響している可能性が高いでしょう。長時間ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れるため耳や脳の機能が低下し、めまいの症状があらわれます。めまいの症状がみられる主な精神疾患には、以下のものがあります。
- パニック障害
- 不安障害
- 自律神経失調症
- うつ病
パニック障害
パニック障害とは、突然、理由もなく動悸や発汗、めまいや吐き気などのパニック発作を引き起こし、発作への不安から外出などが制限される病気です。もともと不安や恐怖心が強い人がなりやすく、精神的に追い詰められているなど、多くの場合、強いストレスが引き金となっています。
不安障害
強い不安や恐怖によって日常生活に支障が出ている状態で、適応障害や社交不安障害などがあります。不安や恐怖から強いストレスを感じたり、極度の緊張によりバランス感覚を崩してしまい、めまいやフラつきを引き起こすと考えられます。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、過度なストレスや不規則な生活習慣により自律神経が乱れ、動悸やめまいなどの症状を引き起こします。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって体の機能を正常に保っているため、バランスが乱れると体や心にさまざまな不調を起こします。
うつ病
うつ病とは、憂うつな状態が長く続き、何もしても楽しめないなど日常生活に支障をきたします。うつ病は精神症状に注目されがちですが、動悸やめまい、疲れやすいなどの身体症状にもあらわれます。うつ病の初期症状に自律神経失調症の症状がみられることがあるため、自己判断ではなく医師による正しい診断が重要です。
耳や脳に異常が認められない場合は心因性であることが考えられるため、めまいが治らず不安に感じる場合は心療内科や精神科を受診することをおすすめします。
まとめ
めまいは何らかの疾患によってあらわれる症状のひとつです。症状の程度には個人差があり、原因も人によって大きく異なります。めまいの原因には以下のものがあり、それぞれ注意すべき疾患があります。
めまいの原因1:内耳の異常
<関連する疾患>
- 良性発作性頭位変換性めまい
- メニエール病
- 前庭神経炎
- 突発性難聴
- 聴神経腫瘍
めまいの原因2:脳の異常
<関連する疾患>
- 脳卒中
- 脳腫瘍
- 椎骨脳底動脈循環不全
- てんかん
めまいの原因3:ストレスや加齢による機能低下など
<関連する疾患>
- ストレスによる自律神経の乱れ
- 自律神経失調症
- 不安障害
- パニック障害
- うつ病
- 眼精疲労
- 睡眠不足
- 加齢による機能低下
- 更年期障害
- 薬の副作用
- 起立性低血圧
- 貧血
- 暑さによる脱水
原因不明のめまいはストレスが影響している可能性が高いでしょう。耳や脳に異常が認められない場合は心因性であることが考えられるため、めまいが治らず不安に感じる場合は、一度、心療内科や精神科に相談してみることをおすすめします。
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監修
-
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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