人間関係のストレスでつらい。職場でストレスを感じる原因や解消するための4つのポイント
人間関係のストレスで「仕事に行きたくない」「毎日がつらい」と感じる人は少なくありません。いろんな立場や考え方の人が集まる職場ではなおさらのこと。
何とかうまくやれるように対処してみても、余計にこじらせてしまいストレスが増えてしまった、というケースもあるのではないでしょうか。人間関係の悩みはどこにいってもつきものです。今回の記事では、そんな人間関係のストレスに悩んでいる方に読んでほしい、人間関係のストレスの原因から解消するためのポイントについてご紹介します。ぜひ、お役に立てると幸いです。
人間関係でストレスを感じる人は多い?
ベストセラーの「嫌われる勇気」で注目が集まったアドラー心理学では、「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言っています。
実際に、2021年に行われた厚生労働省の調査では、仕事や職業生活の場面で約4人に1人が対人関係に強い不安やストレスを感じている、と回答しています。仕事は一日のうちに多くの時間を占めます。 職場で人間関係の悩みを抱えていると、日常生活において大きなストレスになることが分かります。
参考:令和 3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況 – 厚生労働省
ストレスはどうして感じるの?
ストレスとは、外部からの刺激によって生じる緊張状態のことです。緊張状態により体や心にゆがみがあらわれます。外部の刺激はさまざまで、人間関係以外にも暑さや寒さ、騒音などの環境要因や、病気やケガなどの身体的要因、不安やイライラなどの心理的要因、仕事上の問題による社会的要因などがあります。
外部からの刺激が脳に伝わると扁桃体が反応し、その刺激が心地いい刺激なのか不快な刺激なのかを評価します。この時に扁桃体が不快と評価すると、ストレスホルモンが分泌され、体や心にさまざまなストレス反応があらわれるようになります。
ストレスは悪い面ばかりが注目されますが、実は良い面もあります。適度なストレスによって、意欲の向上につながったり、成長の糧になる側面もあるのです。ストレスの評価は個人の経験や捉え方、状況などによって判断されるといわれています。外部から同じような刺激を受けていても、ストレスを感じる人と感じない人がいるのはそのためです。
ストレスを感じやすい人はどんな特徴があるの?
では、ストレスを感じやすい人にはどんな特徴があるのでしょうか?特にストレスを感じやすいと言われている気質には以下のものがあります。
- 責任感が強く真面目
- 心配性で細かいことが気になる
- 頑固で融通がきかない
- 感情を抑えてしまう
- ネガティブ思考
いわゆる「いい人」や「せっかちな人」が当てはまる特徴です。ストレスを感じやすい人は、物事の捉え方の視野が狭くなってしまっている場合があります。
例えばコップに入った半分の水があったとします。あなたは目の前にある半分のコップの水を、「水が半分しかない」と感じるか、「水が半分もある」と感じるか、どのように感じるでしょうか。「半分しかない」と感じる人は、水がたっぷり入った状態にしか満足を感じられず、不足している部分に注目してしまうマイナス思考のタイプかもしれません。逆に「半分もある」と感じる人は、水があることに注目するため、半分の水にも満足して喜べるプラス思考のタイプといえます。このように物事の捉え方は、ストレスの感じ方に大きく影響するのです。
人間関係でストレスを感じる4つの原因
私たちは生きていく上で必ず他人とのコミュニケーションが必要になります。人間関係でストレスを感じている人は、相手とのコミュニケーションがうまくいかず悩んでいるケースが少なくありません。また、職場では人と関わりを持たざるを得ないことが多く、自分ではコントロールしきれない自体も起こります。人間関係でストレスを感じる原因には、主に以下の4つの原因があります。
- 自分よりも他人を優先してしまう
- 相手に期待をし過ぎてしまう
- 人と比べてしまう
- 思ったことが言えない
相手のために自分を犠牲にしてしまう
相手のために自分を犠牲にしてしまうと、我慢が自分自身を苦しめるためストレスの原因となります。「相手から嫌われたくない」「相手に認めてもらいたい」といった気持ちが背景にあるケースが多く、「自分が頑張ればいい」と考えるため、仕事など何でも引き受けてしまうタイプが少なくありません。気がつくと一人で全てを抱え込んでしまっていたなど、自己犠牲が自分自身を追い込む結果につながることがあるため、注意が必要です。
相手に期待をし過ぎてしまう
期待が大きければ大きいほど、期待通りにならなかった時の残念な気持ちが大きくなり、ストレスの原因となります。人は良い見返りを求めてしまいがちですが、他人を思い通りに動かすことはできません。期待が大きくなりすぎると、「何で◯◯してくれないんだ」と相手を責めてしまうことがあるため、人間関係をこじらせてしまうことが少なくありません。
人と比べてしまう
「同期は昇進しているのに自分は遅れをとっている」「友人はいろんなことに挑戦して活躍しているのに自分は何も変わらない」など、人と比べることで自己嫌悪に陥ったり嫉妬心が生まれ、ストレスの原因になります。羨ましいと思う気持ちはごく自然なことですが、人と比べてしまうことが癖になっている人は要注意です。
思ったことが言えない
自分に自信が持てず、不満があっても思ったことが言えないと、ストレスが溜まる原因になります。自己主張ができないでいると、「自分ばかり我慢している」「理不尽だ」などと、他人を許せなくなるなるため、寛容さを失い生きづらさにもつながります。
人間関係のストレスを解消するための4つのポイント
人間関係のストレスを解消するためには、以下の4つのポイントがあります。
- ストレスの対象から距離を取る
- リラックスや好きなことをして気持ちを切り替える
- 一人で抱え込まずに周りに相談する
- 自分の考え方や行動を変える
ストレスは物事の捉え方が大きく影響しています。考え方や癖はすぐには変えられませんが、日頃からストレスを溜め込まないための工夫がとても大切です。まずはできることから始めていきましょう。
ストレスの対象から距離を取る
どんなに親しい間柄でも、「距離感」はとても大切です。仲良くなるにつれて、今まで見えていなかった相手の嫌な部分が見えたり、自分の立ち入って欲しくない部分に触れられてしまうことがあります。相手との関係にストレスを感じたら、一度しばらく会わないなど、距離を取ってみるのも一つの手です。職場などでどうしても毎日会わなくてはならない場合は、気持ちの中の距離を置くのも有効です。
リラックスや好きなことをして気持ちを切り替える
人間関係で日々ストレスを感じている場合は、リラックスする時間や、好きなことに没頭できる時間を作って気持ちを切り替えることが大切です。ずっと同じことで悩み続けてしまうと、気持ちが滅入ってしまいストレスが溜まる一方です。「楽しい」と思える時間を増やしましょう。気持ちが前向きになったり、他に夢中になれることが見つかることで、今まで気になって悩んでいたことが気にならなくなることもあります。
一人で抱え込まずに周りに相談する
誰かに相談したり悩みを口に出すと、問題の解決の糸口が見つかることがあります。職場で業務に支障がでるほどの人間関係のストレスであれば、上司に相談して異動や配置替えなどを検討してもらいましょう。親しい同僚や友人に話をするだけでも、話しながら問題を整理したり、別の視点からアドバイスをもらうことができます。話しづらいことや、相談できる相手がいない場合は、公共の相談窓口を活用するのも良いでしょう。
自分の考え方や行動を変える
同じストレスでもストレスを感じる人と感じない人がいるように、ストレスには本人の考え方や捉え方が大きく影響しています。他人を変えることはできないため、人間関係のストレスで悩まないためには自分の考え方や行動を変える必要があります。
- 人は人、自分は自分と考える
- 相手に期待しすぎない
- 自分の意見を伝えてみる
- 自分が辛くなることは引き受けない
など、考え方の癖を直すことは簡単ではありませんが、まずは自分の考え方や行動のパターンを知り、行動から変えていきましょう。客観的な視点を持つことで、苦手な相手とも冷静に接することができます。
ストレスが原因で起こる症状とは?
ストレスが続くと、さまざまなストレス反応があらわれ心身に影響をおよぼします。心理的反応、身体的反応、行動的反応の3つに分けられ、同時に複数あらわれたり、時間の経過とともに変化します。
- 心理的反応:不安、怒り、イライラ、無気力、うつ気分など
- 身体的反応:頭痛、めまい、肩こり、胃痛、下痢など
- 行動的反応:不眠、過剰飲酒、引きこもり、意欲低下など
ストレスが蓄積すると、不眠症やうつ病、自律神経失調症、慢性蕁麻疹、高血圧など、さまざまな病気を引き起こすことがわかっていますので注意が必要です。
ストレスが溜まってつらい・・・病院に行く目安は?
「ストレスが溜まって毎日がつらいが、どうしていいか分からない」と悩んでいる方は、心療内科や精神科を受診しましょう。ストレスが慢性化すると、気分の落ち込みがひどくなり、無気力になるなど、「うつ」の状態に近づいていってしまいます。
以下のような症状が2週間以上続く場合には、「うつ」状態の可能性があるため、早めに相談することをおすすめします。
- 気分の落ち込み、憂うつな気分
- 何をしても楽しめない
- 食欲の減少または増加
- 夜眠れず、寝ても眠気がとれない
- 気持ちが焦ったりイライラしやすい
- 疲れやすい
- 自分は価値のない人間だと思う
- 思考力や集中力が低下する
- いっそのこと消えてなくなりたいと思う
うつ病になりやすい方は、ストレスを感じやすい方の特徴とにており、自分に厳しかったり、周りに気をつかい過ぎてしまう傾向があります。「人に迷惑をかけてはいけない」「自分の甘えが原因だ」などと、一人で抱え込んで自分を追い詰めてしまい、症状が悪化してしまう人も少なくありません。一人で悩まずに、まずは周りの人に相談してみましょう。
また、うつ病の診断テストも参考にしていただきご自身でご判断頂けたらと思います。関連記事:「うつ病の診断テスト(チェックリスト)|20個の設問に答えて自分の今の状況を把握してみよう」
まとめ
いかがでしたか。今回の記事では、人間関係でストレスを感じる4つの原因と、ストレスを解消するための4つのポイントを解説しました。
人間関係でストレスを感じる4つの原因
- 自分よりも他人を優先してしまう
- 相手に期待をし過ぎてしまう
- 人と比べてしまう
- 思ったことが言えない
人間関係のストレスを解消するための4つのポイント
- ストレスの対象から距離を取る
- リラックスや好きなことをして気持ちを切り替える
- 一人で抱え込まずに周りに相談する
- 自分の考え方や行動を変える
ストレスの感じ方は、個人の経験や捉え方、状況などが影響しているため、自分のストレスに対する考え方や行動パターンを知ることはとても大切です。
なかなかストレスが解消せず、ストレスによって心や体に不調があらわれた場合は、専門医を受診することを検討しましょう。「気分の落ち込み」や「何をしても楽しめない」状態が2週間以上続く場合は、心療内科や精神科を受診することをおすすめします。
また、あらたまこころのクリニックでは、集中力を高めるトレーニングとしても有効な、マインドフルネスのグループコースも行っておりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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