集中力が続かない!そんな時に考えられる5つの原因と対処法について解説
集中力が続かない!と勉強や仕事などで集中力が続かず、つい口に出してしまったことはありませんか?
集中力はパフォーマンスを発揮するためにとても重要な役割を果たします。「大事な場面で集中力が切れてしまう」「集中力が以前より早く切れるようになってしまった」など、集中力の低下について悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、集中力が続かないと感じた時に考えられる5つの原因と、自分でできる対処法、関連する病気についてご紹介します。集中力が続かず悩んでいる方の参考になれば幸いです。
集中力とは?
集中力とは、物事を取り組む際に注意をひとつの事柄に集中し続ける能力です。「好きなことをしていたらあっという間に時間が過ぎていた」という経験は、誰もが一度はあるのではないでしょうか。しかしながら「集中力が切れてしまう」「集中力が続かない」と悩む人の多くは、自ら集中力を高めてやらなければならない事柄がある場合です。
人間の集中力の持続時間は45分程度といわれておりますが、その中でも集中力の波が15分周期であるとされているため、人は深い集中力を長時間維持することが難しいことが分かります。そのため集中力を高めるためには、集中力を保つための相応の工夫が必要になります。
集中力が続かないとどうなる?
集中力は高い方が良いと一般的に言われていますが、集中力が続かないと、日常生活や社会生活でどんな困りごとがあるのでしょうか。以下のよくある3つの例をご紹介します。
- 仕事でケアレスミスが起こる
- モチベーションが低下する
- 勉強や仕事が進まない
仕事でケアレスミスが起こる
集中力が続かないと、見落としやうっかりミスなどの、ケアレスミスが起こりやすくなります。「資料に重大な誤字があった」「データに入力間違いがあり、全てやり直しになった」など、ちょっとしたミスが重大な事故や損害に繋がることも少なくありません。
モチベーションが低下する
集中力はモチベーションにも影響します。集中力が続かないと深く物事に取り組むことができないため、興味が湧かずにモチベーションの低下を引き起こしやすくなります。一旦モチベーションが低下してしまうと、どれだけ集中しやすい環境であっても、集中力を維持することがとても難しくなります。
勉強や仕事が進まない
勉強や仕事の効率は、集中力によって大きく左右されます。集中すれば短時間で終わることも、集中力が続かないと勉強や仕事がはかどらずに時間だけが過ぎていってしまいます。そのため、やらなければならないことに追われてしまい、ストレスの原因にもなります。
集中力が続かない5つの原因
「集中力が続かない」と感じる時間は人によってさまざまですが、人の集中が続くと言われている「45分」に満たない場合は、何らかの集中力が続かない原因を抱えているかもしれません。そこで、集中力を低下させる以下の5つの原因についてご紹介します。
- 必要な栄養が不足している
- 睡眠不足や体調不良が続いている
- 気が散りやすい環境になっている
- 「ながら」作業やマルチタスクになっている
- 悩みや不安など精神的なストレスがある
必要な栄養が不足している
脳に十分な栄養が行き渡っていないと、集中力が低下する恐れがあります。脳は主にブドウ糖をエネルギー源としているため、脳の活動には糖質の食べ物が必要不可欠です。そのため、朝食を抜いたり、ダイエットなどで過度な糖質制限をすると、脳がエネルギー不足を引き起こし、集中力が続かなくなることがあるため注意が必要です。
睡眠不足や体調不良が続いている
睡眠不足はさまざまな不調を引き起こしますが、眠気は集中力も低下させます。また、体調が悪い状態や、肉体の疲労がある状態も、不調な部分に意識が向いてしまうため集中力を発揮させることができません。このケースは原因が明らかなため、まずは十分な睡眠を取ったり、体をしっかり休めることに専念しましょう。
気が散りやすい環境になっている
周囲の環境によっても集中力が低下する原因となる場合があります。周囲の話し声や足音などが気になり集中できないケースや、部屋が暑かったり寒いなどの温度によっても集中力を妨げる要因となります。また、視界に入る場所にテレビやスマートフォンなどの興味を引くものがあると、気が散りやすく集中力が長続きしないケースが少なくありません。
「ながら」作業やマルチタスクになっている
複数のことを同時進行で行うと、意識が分散するためひとつのことに集中しにくくなります。特に、「音楽を聴きながら勉強をする」「お菓子を食べながら本を読む」などの「ながら」作業は、本来やるべきことよりも「ながら」の方に気持ちが向いてしまいやすく、作業効率が低下することがあります。
悩みや不安など精神的なストレスがある
悩みや不安など精神的なストレスも、集中力が低下する要因のひとつです。悩みが深刻であればあるほど、気がつくとそのことについて考えてしまっているなど、集中力のコントロールも難しくなっていきます。精神的なストレスは重症化すると、自律神経失調症やうつ病などの病気に発展することがあるため注意が必要です。
集中力が続かない時の対処法
「集中力が続かない」と感じた時は、まずは自分でできる対処法を試してみましょう。以下に4つの主な対処法をご紹介します。原因が明確であればそれに合った対処法から試してみてください。原因が分からない場合は、今すぐ取り組めるものから試してみましょう。
- 睡眠や生活習慣を見直す
- 集中しやすい環境を整える
- 休憩をこまめに取りオンとオフを切り替える
- 集中力を高めるトレーニングをする
睡眠や生活習慣を見直す
集中力の低下の原因が栄養不足や睡眠不足、心身の不調が考えられる場合には、まずは睡眠や生活習慣を見直しましょう。十分な睡眠がとれる規則正しい生活習慣や、バランスの良い食生活を心がけるなど、日頃から心身を整える工夫が大切です。
作業中にどうしても眠い場合には、時間を決めて短時間でも仮眠を取ることがおすすめです。必要以上に仮眠を取ると、寝覚めが悪くなってしまうことがあるため、30分以内が効果的とされています。
集中しやすい環境を整える
周囲の環境に集中力を妨げる要因がある場合には、集中しやすい環境を整える工夫をしましょう。音に敏感な場合は、静かな場所に移動したりイヤホンや耳栓で音を遮断するなどの対策が効果的です。スマートフォンや本など、これから取り組むものに関係のないものは、なるべく視界に入らないところに移動させましょう。机や椅子など作業をする際に必要な物は、できれば自分に合ったものに変えると、より集中しやすい環境が整います。
休憩をこまめに取りオンとオフを切り替える
人の集中力は何時間も続くものではありません。そのため休憩をこまめに取って、オンとオフを切り替えることで集中したい時の集中力を高めます。休憩する時はなるべく余計なことは考えず、心や体をリラックスさせることを優先しましょう。少し場所を変えるだけでも気持ちの切り替えになります。
集中力を高めるトレーニングをする
集中力は個人の性質と考えられがちですが、トレーニングによって向上させることができます。集中力はパフォーマンスを発揮させるために重要な能力とされていますが、最近では集中力を鍛えるゲームからビジネスパーソンの間で話題になったマインドフルネスまで、さまざまなトレーニング方法があります。自分に合ったトレーニング方法をみつけましょう。
集中力が続かないのは病気のサイン?関連する病気とは
集中力が続かない状態が長く続いたり、原因がはっきりしない場合には、以下のような病気が考えられます。特に集中力の低下以外の症状がある場合には注意が必要です。集中力が続かない時に考えられる病気はどんなものがあるのか、ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- うつ病
- 統合失調症
- 適応障害
注意欠如・多動性障害(ADHD)
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、「不注意」や「多動・衝動性」を特徴にもつ、発達障害のひとつです。「集中力が続かない」「じっとしているのが苦手」などの特徴があり、脳の障害によるものとされています。
注意欠如・多動性障害は、大人になってから急に発症するものではありませんが、小児期に気づかず大人になってから社会生活の中で気づくケースがあります。一時的な集中力の低下ではなく、「昔から集中力が続かなくてずっと困っている」といった場合には、注意欠如・多動性障害の可能性が考えられます。
関連:ADHD(注意欠如・多動症)とは?具体的な症状や特徴、診断の流れなど網羅的にご紹介
うつ病
集中力が続かない症状がほとんど毎日、2週間以上続いた場合はうつ病の可能性があるかもしれません。うつ病は「何もする気がおこらない」「一日中気分が落ち込んでいる」などといった、抑うつ状態が長く続き日常生活に支障が出る病気です。原因はまだはっきり分かっていませんが、環境の変化やストレスなどによって、脳の機能に何らかの問題が生じていると考えられています。
うつ病は心の不調だけではなく、睡眠障害や食欲不振、頭痛や吐き気などの身体症状にもあらわれることがあります。もしかしたらうつ病かな?と思われた方は、以下の記事で簡易の診断テストができますので、ぜひあわせてご覧ください。
関連:うつ病の診断テスト(チェックリスト)|20個の設問に答えて自分の今の状況を把握してみよう
統合失調症
統合失調症は、うつ病のような症状が前兆としてあらわれます。気持ちや考えなどがまとまりづらくなり、幻覚や妄想、感情表現の減少などの症状が特徴で、100人に1人はかかると言われているめずらしくない病気です。原因はまだ分かっていませんが、主にストレスによって引き起こされるのではないかと考えられています。
適応障害
集中力が続かない症状は、適応障害にもあてはまります。適応障害は原因が明確で、特定の強いストレスによって発症し、うつ病と同じような精神症状や身体症状があらわれます。人によっては過剰飲酒や危険な運転など、普段ではしないような問題行動をすることもあります。原因は明確ですから、ストレスの対象が分かれば、その対象から離れることで症状が改善します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では、「集中力が続かない」と感じた時に考えられる原因と対処法、関連する病気について解説しました。
<集中力が続かない5つの原因>
- 必要な栄養が不足している
- 睡眠不足や体調不良が続いている
- 気が散りやすい環境になっている
- 「ながら」作業やマルチタスクになっている
- 悩みや不安など精神的なストレスがある
<集中力が集中力が続かない時の対処法>
- 睡眠や生活習慣を見直す
- 集中しやすい環境を整える
- 休憩をこまめに取りオンとオフを切り替える
- 集中力を高めるトレーニングをする
集中力が続かない症状が長引いたり、他の気になる症状があらわれた場合には、うつ病や統合失調症などの病気の可能性がありますので、一人で抱えずに心療内科や精神科を受診しましょう。早期発見・治療が、早期改善の鍵になります。
また、あらたまこころのクリニックでは、集中力を高めるトレーニングとしても有効な、マインドフルネスのグループコースも行っておりますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
関連する情報
監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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