頭が回らない原因は実は病気かも?原因や考えられる病気と対策まで
- 「最近、頭が回らなくて仕事のミスが増えた」
- 「頭がぼーっとして何も考えられない」
- 「頭が働かず言葉がうまく出てこない」
このような症状を自覚した時に、どのように対処したらいいのか分からない方は多いのではないのでしょうか。このまま放っておいても問題がないのか、もしくは病院に行くべきなのか、自分ではなかなか判断が難しいかもしれません。
「頭が回らない」という症状は、一時的であれば問題はありませんが、繰り返し起こったり、別の症状もみられる場合は病気のサインかもしれません。
今回の記事では、「頭が回らない」症状の、原因や病気との関係、病院に行く目安など、対処法について解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
「頭が回らない」は病気のサイン?
「頭が回らない」状態とは、人によって表現はさまざまですが、集中力の低下や判断力が鈍っている状態を指すことが一般的です。風邪をひくなど体の不調の際に、「頭がいつもよりぼーっとする」ことがあったり、加齢によって「以前よりも頭が回らなくなった」と感じることがあるかもしれませんが、場合によっては何らかの病気が隠れているケースがあります。
- 頭が回らず考えがまとまらない
- 頭がぼーっとした感じが常にある
- 思考が追いつかない
こうした自覚症状がある場合に、どんな原因が考えられるのかをみていきましょう。
頭が回らない時の原因とは
頭が回らない原因にはいくつかのケースが考えられますが、大きく分けて以下のものがあります。
- 睡眠不足
- 疲れやストレスが溜まっている
- 何らかの疾患がある
睡眠不足や疲労などのケースは、日常生活の改善によって症状も改善されますが、何らかの疾患が背景にある場合には、病院での治療が必要となります。
睡眠不足
睡眠不足によって、頭が回らなくなることがあります。睡眠は、脳や体の疲れをとったり、昼間の活動で傷んだ細胞を修復し免疫機能を保つなど、人の健康にとって欠かせないものです。
睡眠不足になると、集中力や判断力などに関わる脳の前頭葉がダメージを受けるといった報告もあり、睡眠不足によって脳活動が極端に低下するということがわかっています。頭が回らないと感じたら、まずは寝不足が続いていないか、ぐっすり眠れているかなど、現在の睡眠の状況を確認してみましょう。
疲れやストレスが溜まっている
疲れやストレスが溜まっていても、頭が回らなくなることがあります。肉体疲労やストレスによる精神疲労が増え続けると、自律神経に負荷がかかることによって脳の働きも鈍くなることがわかっています。
自律神経が乱れると心身のバランスがくずれ、さまざまな不調があらわれやすくなります。疲れやストレスを感じた場合は、まずは休むことを優先し、自律神経を整えましょう。
何らかの疾患がある
睡眠不足や心身の疲労以外では、頭が回らない原因として、何らかの疾患が考えられます。頭が回らない症状だけでは病気の特定は難しいですが、考えられる疾患の例として、以下があげられます。
- 脳梗塞
- 脳腫瘍
- 低血糖、高血糖
- 燃え尽き症候群
- 無気力症候群(アパシーシンドローム)
疾患によっては、治療や入院が必要であったり、生命に関わるケースもあるため、注意が必要です。気になる症状が続く場合は、早めの受診を心がけましょう。
頭が回らない時に考えられる病気とは
「頭が回らない」といった症状は、脳に関連する病気として、以下のものも考えられます。
- 自律神経失調症
- うつ病
- 統合失調症
- アルツハイマー型認知症
これらの病気が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、社会生活にも影響を及ぼします。それぞれどんな病気なのか、実はあまりよく分からないといった方も多いため、簡単にご紹介します。
自律神経失調症
自律神経失調症は、自律神経の乱れにより様々な不調がおこります。生活習慣の乱れやストレス、ホルモンの変化など、原因は人それぞれで、いろいろな要因が複雑にからみあっていると言われています。
頭が回らなくなるだけではなく、全身のだるさやめまい、動悸などの身体症状の他に、イライラや不安感、情緒不安定などの精神症状などもみられます。
うつ病
うつ病は、憂うつ感や不安感、何をしても楽しめないなど、日常生活に支障をきたすほどの抑うつ状態が長く続く病気です。ストレスなどで脳の働きに何らかの問題が生じているといわれており、「頭が回らない」「ぼんやるすることが増えた」「集中力がなくなる」といった症状があわられることがあります。
うつ病の症状も人によって様々で、気分の落ち込みや不安感、意欲の低下などの精神症状や、頭痛、吐き気、めまいなどの身体症状があります。
統合失調症
統合失調症は、脳の働きをまとめることが難しくなる病気で、幻覚や妄想などの症状が特徴です。10〜30代での発症が多く、考えや気持ちがまとまらなくなるため、感情表現が乏しくなったり、意欲の低下がみられます。
頭が回らないなどの集中力の欠如は、統合失調症の初期にみられる症状ですが、統合失調症の症状はうつ病の症状にも似ているため、自己判断はせずに医師に相談しましょう。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、もの忘れで発症することが多く、記憶や判断などの認知機能が低下するため、日常生活に支障をきたします。脳の神経細胞が減り、脳の一部が萎縮するなど、時間をかけて進行するため、はじめは単なるもの忘れ程度だったものが、進行していくと末期には人とコミュニケーションをとることが難しくなります。
アルツハイマー型認知症は完治することが難しい病気ですが、早い段階から治療をすることで、進行を遅らせることができます。
頭が回らない時の対処法
「頭が回らない」といった症状を自覚した時は、まずは生活習慣を見直してみましょう。規則正しい生活を心がけ、十分な休息や睡眠を取って自律神経を整えます。
適度な運動や旅行で気分転換をしたり、アロマやマッサージなどでリラックスするのもよいでしょう。食事の際によく噛んで食べたり、新しいことに挑戦するなどは、脳の活性化にもつながります。
病院に行く目安は?何科に行けばいいの?
日常生活での対処法で改善しない場合や、頭が回らない異常な状態が続く場合、他の症状がみられる場合には、早めに病院を受診しましょう。呂律が回らなくなる、片側の麻痺や、めまいがあるなどの症状がある場合には脳梗塞が疑われますので、早急に脳神経外科を受診してください。
「頭が回らない」という症状しか自覚がなく、自分で判断が難しい場合はまずは近くのかかりつけの医師に相談してみるのも良いでしょう。脳に異常が見られない場合は、ストレスなどの精神的な影響が考えられるため、心療内科や精神科を受診しましょう。
まとめ
頭が回らない原因には以下のものが考えられます。
- 睡眠不足
- 疲れやストレスが溜まっている
- 何らかの疾患がある
疾患が原因の場合、脳梗塞などの脳の異常や、うつ病などの脳に関連するさまざまなケースが考えられるため、自己判断はとても危険です
- 頭が回らない異常な状態が続いている
- めまいや呂律がまわらなくなるなど他の症状が見られる
このような場合には、早めの受診を検討しましょう。いつ頃から症状を自覚し始めたのか、具体的にどんな症状があるのかを、できるだけ詳しく医師に伝えることが大切です。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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