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動悸とは?実は精神疾患の可能性もある動悸の原因から、対処法まで

動悸とは?実は精神疾患の可能性もある動悸の原因から、対処法まで

「何もしてないのに心臓がバクバクしている」といった自覚症状があり、「もしかしたら何かの病気かも?」と思いながらも、病院に行くべきか迷っていたり、不安を抱えて過ごしていませんか?動悸を引き起こす原因はさまざまですが、放っておくと生命に関わる重大な病気が潜んでいるケースもあります。

また、動悸は身体的な疾患だけではなく、精神的な疾患の症状としても起こるため、動悸が続く場合はさまざまなケースを考える必要があります。

今回の記事では、動悸の原因や対処法、関連する疾患や病院に行く目安、受診すべき病院まで解説しています。ぜひ参考にしていただき、動悸の症状の悩みにどのように対処すべきか、少しでもお役に立てたら幸いです。

動悸とは

動悸とは簡単にいうと、普段よりも心臓の拍動が、強く感じられたり速く感じられたりするなどの、乱れを感じる症状のことです。激しい運動をしたり、緊張した時など日常でも感じることはあるため、動悸があるからといって全てが病気につながるわけではありません。

動悸の症状には具体的にどんなものがある?

動悸とひとことで言っても、「何もしていないのに心臓がバクバクする」「ドクンドクンと心臓が波うつ」など、表現が人によって様々なため「どのような動悸か」がとても重要です。動悸の症状は主に以下の3つのパターンに分けられますが、動悸の種類によっては心配な病気のサインである場合もあります。

<動悸の主な症状>

  1. ドキドキと脈が速い
  2. ドクンドクンと鼓動が大きい
  3. 脈が飛んだり詰まったりするなど不規則

3は不整脈の一種で、大きな問題がないことが多いですが、1は他の症状に比べて、治療が必要な病気が潜んでいる可能性が多い症状です。(2)はストレスを感じた時の動悸として多い症状です。

動悸の原因

動悸の原因は、内臓の疾患が原因となるものと、日常生活からくる原因があげられます。動悸の症状は、まったく心配のない一過性のものから、生命に関わる重大な病気が隠れている場合もあるため、「おかしい」と感じたら、自己判断をせずに早めに受診しましょう。

内臓が原因なもの

内臓が動悸の原因

特に緊張する場面でもないのに頻繁に動悸がある場合は注意が必要です。直ちに治療を行わないと、死につながる病気が潜んでいることがあります。動悸の症状がある時に考えられる病気には、以下のものがあります。

  • 不整脈
  • 心不全
  • 弁膜症
  • 狭心症
  • 肥大型/拡張型心筋症
  • 甲状腺機能亢進症など

日常生活が原因なもの

日常生活が動悸の原因になるもの

一方で、心臓の動きは自律神経によっても制御されているため、外部からの刺激によって自律神経が乱れると、反応のひとつとして動悸の症状があらわれることがあります。以下のような日常生活が、動悸の症状を引き起こす可能性があります。

  • ストレス
  • 過剰な興奮や精神的な緊張
  • 激しい運動
  • 睡眠不足
  • カフェインやアルコールの過剰摂取
  • 薬の副作用
  • 脱水など

動悸の症状がみられる主な精神疾患

普段、私たちは心臓の音を感じずに過ごしていますが、静かな場所や一人でいる時、または苦手な場面で、「ドカンドカン」と大きな鼓動を感じる場合は、精神的なものが原因であるケースが考えられます。これは、心臓が普通に鼓動を打っていても、ストレスや緊張、不安などから、必要以上に大きく感じてしまうという敏感な精神状態である場合に起きます。

心因的な動悸は、一時的なものもあれば、精神疾患の症状のひとつとしてもあらわれることがあります。動悸の症状がみられる主な精神疾患には、以下のものがあります。

  • パニック障害
  • 不安障害
  • 自律神経失調症
  • うつ病

パニック障害

パニック障害とは、突然、理由もなく動悸や発汗、吐き気やふるえなどのパニック発作を引き起こし、発作への不安から外出などが制限される病気です。もともと不安や恐怖心が強い人がなりやすく、精神的に追い詰められているなど、多くの場合、強いストレスが引き金となっています。

不安障害

強い不安や恐怖によって日常生活に支障が出ている状態で、適応障害社交不安障害などがあります。不安や恐怖から強いストレスがかかるため、自律神経の乱れを引き起こし、動悸が症状のひとつとしてあらわれやすくなります。

自律神経失調症

自律神経失調症とは、過度なストレスや不規則な生活習慣により自律神経が乱れ、動悸やめまいなどの症状を引き起こします。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって体の機能を正常に保っているため、バランスが乱れると体や心にさまざまな不調を起こします。

うつ病

うつ病とは、憂うつな状態が長く続き、何もしても楽しめないなど日常生活に支障をきたします。うつ病は精神症状に注目されがちですが、動悸やめまい、疲れやすいなどの身体症状にもあらわれます。うつ病の初期症状に自律神経失調症の症状がみられることがあるため、自己判断ではなく医師による正しい診断が重要です。

動悸が起きた時の対処法

もしも動悸が起こったら、楽な姿勢で安静にし、深呼吸をしてリラックスします。症状が落ち着かなかったり、胸の痛みや呼吸が苦しくなった場合は、無理をせずに救急車を呼びましょう。動悸の症状が頻発する場合は、頻度や持続時間、脈拍の規則性などをチェックしておくと、医師の診断時に役立ちます。また、自律神経が乱れると動悸を引き起こしやすくなるため、睡眠や食事など、普段から規則正しい生活を心がけることも大切です。

動悸が続いたら病院に行くべき?何科に行けばいいの?

動悸がある時に、どのタイミングで病院で行くべきなのか迷う人も多いのではないでしょうか。「ただの疲れ」や「年齢のせい」と、安易に考えていると重大な病気を見逃す可能性があります。動悸が長く続く場合や、脈拍の異常、胸の圧迫感やふらつきなどの他の症状もみられる場合は、早めに受診しましょう。

まずは体に異常がないかを確認することが大切です。内科や循環器科を受診し、体に異常が見られない場合は精神疾患の可能性がありますので、心療内科や精神科を受診しましょう

動悸についてのよくある質問

ここでは、動悸についてよく質問いただく内容とその回答を紹介します。

Q.動悸を感じたらどうしたらいいの?

動悸を感じたら、まずは安静にしましょう。楽な姿勢でゆっくり深呼吸をして、できるだけリラックスできるように落ち着かせます。カフェインやアルコールは自律神経を刺激するため、動悸を引き起こしやすくなります。摂りすぎないように気をつけましょう。

Q.ストレスで動悸が出るのは何故ですか?

ストレスの刺激は大脳を介して視床下部に伝わるため、交換神経が優位になります。交換神経が優位になると、血圧の上昇や、心拍数が増えたり心筋収縮力が強まるため、動悸の症状となってあらわれます

Q.横になると心臓がバクバクします。これはなぜですか?

ストレスが原因になっている可能性があります。ストレスや不安を抱えていると動悸が起こりやすく、横になって静かになることで心臓の音が聞こえやすくなります。体の異常がなく原因が不明な場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。

Q.何もしていない時に息が切れるのはなぜですか?

何もしていない時に感じる息切れも、ストレスや不安が原因となっている場合があります。循環器系の異常がない場合は、心療内科や精神科の受診をおすすめします。

まとめ

動悸とは、普段よりも心臓の拍動が、強く感じられたり速く感じられたりするなどの、乱れを感じる症状のことです。動悸の症状は、「脈が早い」「鼓動が大きい」「脈が不規則」の3つのパターンに分けられ、「脈が早い」症状の場合は、他の症状に比べて治療が必要な病気が潜んでいる可能性が多いため注意が必要です。

<動悸が症状としてあらわれる病気>

  • 不整脈
  • 心不全
  • 弁膜症
  • 狭心症
  • 肥大型/拡張型心筋症
  • 甲状腺機能亢進症など

体に異常がない場合には、精神疾患による症状であるケースも考えられます。動悸の症状で「おかしい」と感じたら、まずは内科や循環器科を受診し、体に異常がない場合はストレス原因による動悸の可能性があります。パニック障害やうつ病などの精神疾患の可能性もあるため、心療内科や精神科を受診しましょう。

 

関連する情報

監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。