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仕事が辛い!と悩んでいる方へ。辛くなる原因と対処法、可能性のある病気について

仕事が辛い!と悩んでいる方へ。辛くなる原因と対処法、可能性のある病気について

仕事は人生の大半を占めているため、様々な出来事や問題に直面することがあります。その中で、「仕事が辛い」と感じた経験は、誰もが一度はあるのではないでしょうか?

仕事の辛さは、一時的であれば成長の糧となりますが、辛さを抱えたまま耐え忍んでいると、心身に不調をきたし、うつ病などの精神疾患を発症する恐れがあります。

今回の記事では、「仕事が辛い」という体と心のサインを重症化させないためにも、どんな原因や対処法があるのか詳しく解説していきます。

「仕事が辛い」と感じることは甘えではない

「仕事が辛い」「仕事から逃げたい」と感じた時に、真面目な人ほど「これは甘えではないか」と自分を責めてしまうことがあります。

しかし、仕事における問題は、人間関係や環境などさまざまな要因があり、自分の努力だけでは解決できないケースもあります。そのため、「仕事が辛い」と感じることは決して甘えなどではありません。思い詰めて状況が悪化してしまう前に、根本的な問題の解決や、心のケアが必要です。まずは、自分を責めすぎないようにしましょう。

仕事が辛いまま働き続けるリスクとは

「仕事が辛い」と感じていても、「頑張りが足りないからだ」「自分が我慢すればいい」と、無理を続けたまま働き続ける人は少なくありません。しかし、仕事が辛いまま働き続けると、ストレスや疲労により、心身に支障が出る恐れがあります。さらに症状が悪化していくと、日常生活や社会生活にも影響を及ぼしかねません。

状況を改善するためには、辛いと感じる原因と向き合い、乗り越えていくための対策を早い段階で考えていく必要があります。

仕事が辛いと感じる5つの原因

仕事が辛いと感じる原因は人によってさまざまです。原因の中にも「自分で解決できる問題」と、「自分では解決しにくい問題」がありますが、ここでは代表的な5つの原因について詳しくみていきます。

  • 上司や同僚など、人間関係に悩みを抱えている
  • 仕事の成果が出ない・仕事が合わない
  • 業務量が多過ぎる
  • 社風や職場環境が合わない
  • ハラスメントを受けている

上司や同僚など、人間関係に悩みを抱えている

どの職場や仕事においても人間関係はつきものです。そのため、仕事で辛いと感じている人の中には、人間関係で悩みを抱えている人は少なくありません。上司との相性が合わなかったり、チームで孤立しているなど人間関係がうまくいっていないと、仕事を円滑に進めることが難しくなります。

また、一緒に仕事をする仲間に合わない人がいると、長時間同じ時間を過ごしたり、関わらなければならない場面によって、強いストレスを感じやすくなります

仕事の成果が出ない・仕事が合わない

真剣に取り組んでいるのに仕事の成果が出ない、そもそも仕事自体が自分に合っていないなどの理由も、仕事が辛くなる原因のひとつです。ミスを繰り返したり、周囲の期待に応えられないと感じることで自信を失ってしまい、ひとりで思い詰めてしまう人も少なくありません。

仕事の成果は給与や評価に直結するため、なかなか成果を出せないでいると働く意味を見失い、ますます意欲が低下するなど悪循環を引き起こしやすくなります

業務量が多過ぎる

業務量が多過ぎると、常に何かに追われているため気が休まらないだけでなく、長時間労働によって肉体の疲労や睡眠不足にもつながるため、仕事が辛いと感じるのは当然のことです。プライベートな時間が削られていくことでストレスも溜まりやすく、些細なことでイライラしやすくなるため、人間関係もうまく回らないことがあります。

また、疲労が蓄積していると回復にも時間がかかるため、休んでも疲労がなかなか取れないといった悩みや、頭痛やめまいなどの体の不調に悩まされている人も少なくありません

社風や職場環境が合わない

人にはそれぞれ個性があるように、会社にもそれぞれ個性があり社風があります。「上下関係が厳しい」「飲み会が多い」「人間関係が希薄」「結果しか評価されない」など、ひと口に社風といっても会社によって様々ですが、自分に合っていない場合はストレスを超えて苦痛に感じる人もいます。

社風以外にも、「職場が遠い」や「職場が不衛生」「室温が暑すぎたり寒すぎたりする」など、物理的な職場環境が合わないことで、ストレスの原因となるケースもあります。

ハラスメントを受けている

パワハラやセクハラなどのハラスメントを受けている場合も、仕事が辛いと感じる理由のひとつです。真面目でおとなしい人ほど「自分に問題がある」と受け止めてしまい、ハラスメントを受けている自覚がないケースがあります

ハラスメントはパワハラやセクハラなど分かりやすいものだけでなく、30種類以上あるとされています。そのため、仕事が辛いと感じた場合は、何らかのハラスメントが原因かもしれません。

仕事が辛いと感じた時の対処法

仕事が辛いと感じる原因が分かったら、原因に合った対処法を試してみましょう。自分の工夫ですぐに対処できるものから、自分ではどうにも対処できない場合の対策があります。まずはいったん立ち止まり、辛い状況を乗り越えるための一歩を踏み出してみましょう。

  • 休む時間を確保する
  • 自分に合ったストレス解消方法を見つける
  • 異動を願い出る
  • 休職や転職を検討する
  • 信頼できる相手や専門機関に相談する

休む時間を確保する

仕事が辛いと感じる時は、精神的にも肉体的にも疲労を感じています。そのため、何よりも「休む」ことを優先に考えましょう。できれば有給などを活用し、まとまった休む時間を確保することが大切です。マッサージや温泉などで自分を癒してあげたり、旅行や今までできなかった趣味に没頭するなど、仕事のことを考えずにリフレッシュしましょう。

気持ちを切り替えることで、仕事への新たな意欲が湧いてきたり、辛い状況を改善するための糸口が見つかりやすくなります。

自分に合ったストレス解消方法を見つける

辛い状況を乗り越えようとした時に、ストレスを感じたままではなかなか前向きになれないことがあります。そのため、今あるストレスを解消するための方法を見つけることもとても大切です。

ストレス解消法は人によって様々ですが、「適度な運動で汗を流す」「映画を見て泣く」「カラオケで大声で歌う」「気心しれた友達と遊ぶ」など、自分が「楽しい」と感じる時間を増やすことで、気分をリフレッシュしましょう

異動を願い出る

部署を異動することによって、同じ会社の中であっても人間関係や仕事の内容を変えることができるため、辛い状況が改善することがあります。特定の人間関係による悩みや、特定の業務スキルによる悩みが仕事の辛さの原因であれば、異動によって解消する問題といえます。

しかし、社風が合わないなど会社自体に関連する問題を抱えている場合は異動をしても問題が解消しないケースが多いため、異動を願い出る際には、仕事が辛い原因を明らかにすることが大切です。

休職や転職を検討する

仕事が辛いことで心身ともに疲れきってしまった場合は、休職することもひとつの選択肢です。「仕事が辛い」と感じることは、精神科や心療内科でみられる一般的な症状の一つで、何らかの病気を発症している可能性もあるため無理は禁物です。

休職制度は会社によって内容が異なるため、就業規則を確認してみましょう。また、場合によっては転職も視野に入れてみましょう。職場を変えても同じような問題に直面することを避けるためにも、自分のストレス要因と向き合うことが大切です。

信頼できる相手や専門機関に相談する

仕事が辛いと感じることは甘えだと思い、我慢したり一人で抱え込んでいる人は多いのではないでしょうか。精神的に追い詰められていると悲観的になりやすく、「どうせ話してもわかってもらえない」「甘い人間だと思われてしまう」など、人を頼る余裕もなくなってきます。

しかし、人は話をすることでストレスを解消したり、気持ちが整理されるため、親しい友人や家族に悩みを話してみることをおすすめします。

また、「身近な人に悩みを知られたくない!」といった場合には、総合労働相談コーナーなどの公共の相談窓口もあります。気分の落ち込みが激しかったり、不眠や身体症状などの気になる症状がある場合には、精神科や心療内科に相談しましょう。

体に異変があらわれたら要注意!

「仕事が辛い」と感じるだけではなく、体に異変を感じた場合は注意が必要です。うつ病や適応障害、自律神経失調症などの精神疾患を患っているケースがあります。

  • 不眠が続いている
  • 頭痛や肩こりを感じるようになった
  • 疲れやすくなった

などは、これらの疾患の代表的な身体症状の例です。「そのうち治るだろう」と安易に考えず、早めに病院を受診することをおすすめします。

仕事が辛いのはもしかしたらうつ病?うつ病の症状とは

「仕事が辛い」と感じる人の中には、気分の落ち込みや憂うつ感が伴うケースも多いでしょう。こうした症状はうつ病の代表的な症状のため、辛い症状が続く場合はうつ病の可能性があります。

うつ病は、強い抑うつ状態が長く続き、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。物事に対する関心や取り組む意欲が失せて、何もする気が起こらない状態が一日中ずっと、ほとんど毎日続く場合には注意が必要です。うつ病の症状は、精神症状と身体症状の主に2つに分けられます。

特に精神症状については以下のような症状が出るケースがあり、これらに当てはまるのであればうつ病の可能性も視野に入れておきましょう。

  • 気が沈む。気が重い。
  • 今まで好きだったことが楽しめない。
  • テレビを見ても、音楽を聴いても楽しくない。
  • 特に朝方は無気力で、何もする気が起こらない。
  • 仕事の効率が上がらず、何をするのもおっくう。
  • 人との会話・議論に集中できない。
  • イライラしてじっとしていられない。
  • お酒の量が増える。
  • 自分の人生がつまらなく感じる。このまま消えていなくなりたいと感じる。

うつ病については、「うつ病はどんな病気?」で詳しく解説しています。合わせて読んでみてください。

うつ病が疑われる場合はまず自己診断/セルフチェックをしてみるのがおすすめ

うつ病は以下のセルフチェックにより簡易的に自己診断することが可能です。仕事が辛いと感じ、うつ病の可能性があるのでは?と思っている方はぜひ以下のチェックを行ってみてください。

この1週間の体や心の状態について、1〜20の症状の頻度を答えてください。

まったくないか、1日も続かない場合は【0】
週のうち1~2日あった場合は【1】
週のうち3~4日あった場合は【2】
週のうち5日以上あった場合は【3】

  1. 普段は何でもないことがわずらわしい。
  2. 食べたくない。食欲が落ちた。
  3. 家族や友達からはげましてもらっても、気分が晴れない。
  4. 他の人と同じ程度には、能力があると思う。
  5. 物事に集中できない。
  6. ゆううつだ。
  7. 何をするのも面倒だ。
  8. これから先のことについて積極的に考えることができる。
  9. 過去のことについてくよくよ考える。
  10. 何か恐ろしい気持ちがする。
  11. なかなか眠れない。
  12. 生活について不満なくすごせる。
  13. ふだんより口数が少ない。口が重い。
  14. 一人ぼっちでさびしい。
  15. 皆がよそよそしいと思う。
  16. 毎日が楽しい。
  17. 急に泣き出すことがある。
  18. 悲しいと感じる。
  19. 皆が自分をきらっていると感じる。
  20. 仕事が手につかない。

上記の点数の合計が15点以上の方は、うつ病の可能性があるため一度受診することをおすすめします。

詳細については「うつ病の診断テスト(チェックリスト)|20個の設問に答えて自分の今の状況を把握してみよう」で解説しているため合わせて読んでみてください。

仕事が辛い時は、一人で抱え込まずにまずは相談を!

上記の自己診断はあくまで簡易的なセルフチェックになります。正しく診断をするためには、精神科や心療内科での専門医による診断を受けるのがおすすめです。少しでも気になる症状や、誰にも相談できず一人で悩みを抱えている場合は、早めに受診することをおすすめします。

病院ではどんなことをするの?と不安に思われる方もいらっしゃると思いますので、当院の治療について少しご紹介します。

症状は薬によって和らげることができるほか、アサーションというグループ療法によって、人間関係の問題に対するコミュニケーションスキルを学ぶことも可能です。特に人間関係で仕事が辛いという場合は、アサーションがおすすめです。

人によって必要な治療が異なるため、まずは問診やカウンセリングによって、適切な治療法を探していきます。「仕事が辛い」という悩みを誰にも相談できず、一人で辛い思いをされている方は、一度お気軽にご相談ください。

アサーションのご案内は、「アサーショングループ療法のご案内」で解説していますので合わせてご覧ください。

まとめ

今回の記事では、「仕事が辛い」と感じる主な原因と対処法について解説しました。再度以下で原因と対処法についておさらいします。

<仕事が辛いと感じる主な原因5つ>

  • 上司や同僚など、人間関係に悩みを抱えている
  • 仕事の成果が出ない・仕事が合わない
  • 業務量が多過ぎる
  • 社風や職場環境が合わない
  • ハラスメントを受けている

<仕事が辛いと感じた時の主な対処法5つ>

  • 休む時間を確保する
  • 自分に合ったストレス解消方法を見つける
  • 異動を願い出る
  • 休職や転職を検討する
  • 信頼できる相手や専門機関に相談する

「仕事が辛い」と感じるだけでなく、以下のような不調があらわれた場合は、うつ病などの精神疾患の可能性があります。

  • 不眠が続いている
  • 頭痛や肩こりを感じるようになった
  • 疲れやすくなった

症状が長く続くようであれば、早めに専門医を受診しましょう。

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監修

加藤 正
加藤 正医療法人和心会 あらたまこころのクリニック 院長
【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。