睡眠薬の正しい服用方法とは?服用の方法から、よくある睡眠薬の質問について
「睡眠薬が効かない」とおっしゃる患者さんの中には、よくよく話を聞いてみると、薬の飲み方に原因があることが少なくありません。
今回の記事では、睡眠薬の正しい服用方法と、睡眠薬に関するよくある質問についてご紹介しますので、睡眠薬を飲む方やこれから飲み始める方は、ぜひ参考になさってください。正しい使い方をすることで、徐々に薬の量を減が減り、薬に頼らなくてもよく眠れるようになります。
睡眠薬の正しい服用とは
睡眠薬にはさまざまな種類がありますが、基本的な服用の方法は同じです。誤った方法で服用すると、副作用や中毒症状により、健康状態に影響が出てしまう場合があるため、睡眠薬の正しい服用方法を理解しておくことはとても大切です。睡眠薬は正しい使い方をすれば、安全で効果的な薬です。不眠症で悩んでいる方の多くは睡眠薬を飲んでいるかと思います。以下の点に注意し、上手に睡眠薬とつきあっていきましょう。
<睡眠薬の正しい服用方法>
- 決められた用法、用量を守る
- 睡眠薬を飲んだら横になる
- アルコールと一緒に飲まない
- 他の薬を併用する場合は必ず医師に相談する
- 他の人の睡眠薬を飲んだり、あげたりしない
- 自己判断でやめない
それぞれ以下で、正しい服用方法について解説していきます。
決められた用法、用量を守る
「睡眠薬が効かない」「もっとぐっすり眠りたい」からといって、一度にたくさん飲んだり、追加で飲むことはしてはいけません。次の日にもひどい眠気の影響が出たり、ふらつきや記憶障害などの恐れがあり危険です。医師が決めた用法、用量を守ることが大切です。睡眠薬の効果が感じられない場合は、早めに医師に相談してください。
睡眠薬を飲んだら横になる
睡眠薬の効果があらわれるのは、だいたい服用後30分〜1時間ほどです。服用後、多少のふらつきが出ることもあるため、車の運転や機械操作などはとても危険です。服用後に活動していると、眠気のタイミングを逃してしまい、かえって眠れなくなってしまうこともあります。睡眠薬を飲んだらすぐに横になりましょう。
アルコールと一緒に飲まない
アルコールと睡眠薬を一緒に飲むと、それぞれの作用が強まってしまい副作用があらわれることがあります。一緒に飲むことで記憶障害、呼吸抑制、翌日の眠気、ふらつきなどが起こるとされているため、一緒に飲むことは絶対に避けてください。反対に、睡眠薬代わりにアルコールを寝る前に飲むのもお勧めできません。睡眠の質が下がるだけでなく、アルコールの量が増えたり、睡眠障害が悪化する恐れがあります。
他の薬を併用する場合は必ず医師に相談する
睡眠薬は、種類によって他の薬の効果を強めたり、弱めたりすることがあります。飲み合わせによって副作用があらわれる場合もあるため、他の薬を併用する場合は、必ず医師に相談しましょう。事前に相談することで、薬の相互作用を避けることができます。
他の人の睡眠薬を飲んだり、あげたりしない
睡眠薬の処方は、一人ひとりの症状に合わせて処方されています。自分の症状にあった睡眠薬を飲まないと、副作用があらわれたり、かえって症状が悪化する恐れがあります。睡眠薬はどれも一緒というわけではないので、他の人に睡眠薬をあげたり、もらったりするのは止めましょう。
自己判断でやめない
睡眠薬を急に止めてしまうと、反動で眠れなくなったり、不安感が強く出てしまい、かえって不眠を悪化させてしまうことがあります。睡眠薬をやめる時は、医師と話し合いながら徐々に減らしていくと、スムーズにやめることができます。睡眠薬の不安や気になることがあれば、必ず医師に伝えてください。
睡眠薬についてよくある質問
睡眠薬は、「手放せなくなる」「体によくない」といったような、悪いイメージを持つ方が少なくありません。現在広く使われている睡眠薬は安全性が高く安心して使っていただけますが、より睡眠薬への理解を深めていただくために、よくある以下の質問をご紹介します。
- 今飲んでいる薬との飲み合わせが心配
- やめられなくなってしまわないか心配
- 薬の効果がなくなることが心配
- 翌日に眠気が残ることが心配
Q:睡眠薬と今飲んでいる薬との飲み合わせが心配
A.薬の飲み合わせについて、効果を強めたり弱めたりする相互作用の多くが明らかになっています。そのため、服用中の薬に合わせて、相互作用を起こしにくい睡眠薬を選ぶことができます。服用中の薬があれば、必ず医師に伝えていただき、正しい飲み合わせの睡眠薬を処方してもらいましょう。
Q:睡眠薬を飲むのをやめられなくなってしまわないか心配
A.以前使われていた睡眠薬は、依存性の問題が生じる場合があったため「睡眠薬を飲むとやめられなくなる」といったイメージがありましたが、現在広く使われている睡眠薬は、依存性が少ないため安心して使うことができます。ただし、ご自身の判断で量を増やしたり、急に飲むのをめてしまうと、不眠症状が悪化したり、場合によっては睡眠薬が手放せなくなってしまう恐れがあります。
睡眠薬はさまざまな種類がありますので、睡眠薬への不安を感じた場合は、まずは医師に相談し、自分に合った睡眠薬を処方してもらいましょう。
Q:睡眠薬の効果がなくなることが心配
A.現在使われている睡眠薬の中には、飲み続けることで効果が弱まるものもあれば、弱まらないものもあり、薬によって特徴はさまざまです。医師は患者の症状や状況によって薬の使用を判断するため、薬の効果が感じられなくなった場合は医師に相談して薬を切り替えてもらいましょう。自分の判断で薬の量を増やしたり中断することは、症状が悪化する恐れがあるため絶対に避けてください。
Q:翌日に眠気が残ることが心配
A.翌日に眠気が残っている場合は、まずは服用中の睡眠薬の用法・用量を確認し、間違った服用をしていないかチェックします。また、本人の睡眠時間よりも効果が長く続く睡眠薬を服用している場合には、当然ながら翌朝の目覚めや日中の眠気に影響があります。
年齢とともに薬を分解したり排出する働きが弱くなるため、人によって薬が効きすぎるといったケースもあります。睡眠薬を服用していて、翌日に眠気が残っている場合は、まずは医師に相談しましょう。薬の種類や用量を検討してもらう必要があります。
まとめ:睡眠薬を飲む上で大切なこと
今回の記事では、睡眠薬の正しい服用についてご紹介しました。睡眠薬を飲む上で大切なことは以下の5つです。
- 先生の指示通りに飲んでください
- ご自身の判断で量を減らしたり、やめたりしないでください
- アルコールと一緒に飲まないでください
- 他のお薬を飲み始めるときは、先生に伝えてください
- お薬を他の人にあげたり、他の人からもらわないでください
不眠の改善には睡眠薬と上手につきあっていくことが大切です。睡眠薬の疑問や不安、症状の変化があった場合には、必ず医師に相談しましょう。医師の処方のもと、正しい服薬を心がけてください。
「睡眠薬をなるべく飲まずに不眠を改善したい」という方には、不眠症に対する認知行動療法があります。当院でも不眠症のための「治療プログラム」を行っていますので、気になる方は一度ご相談ください。
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監修
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【出身校】名古屋市立大学医学部卒業
【保有資格】精神保健指定医/日本精神神経学会 専門医/日本精神神経学会 指導医/認知症サポート医
【所属】日本精神神経学会/日本うつ病学会/日本嗜癖行動学会理事/瑞穂区東部・西部いきいきセンター
【経歴】厚生労働省認知行動療法研修事業スーパーバイザー(指導者)の経験あり。2015年より瑞穂区東部・西部いきいきセンターに参加し、認知症初期支援集中チームで老人、高齢者のメンタル問題に対し活動を行っている。日本うつ病学会より「うつ病の薬の適正使用」のテーマで2019年度下田光造賞を受賞。
【当院について】名古屋市から、「日本精神神経学会から専門医のための研修施設」などに指定されている。
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