適応障害
ADJUSTMENT DISORDERADJUSTMENT DISORDER
適応障害は、患者様のストレスに
耐える力を超えた
出来事が起きた時に生じる病気です
適応障害は、ガンなどの大病の発覚や近親者との死別、職場のパワハラ、人事異動、進学、結婚、離婚など、環境変化によるストレスが発生した時に、心や体に不調が起きる病気です。日本人では、50人に1人が発症し、発症年齢は子供から大人まで幅広く全年代に渡りますが、女性の方が男性に比べて約2倍の発症があると言われています。不眠や不安、落ち込み、絶望などの精神面の不調と、会社に行けなくなったり、人に会いたくなくなる、問題と向き合えずにこじらせたり、暴飲暴食に走ったりする回避行動が表れます。
適応障害は、比較的誰もが陥りやすい病気ではありますが、患者様の5年後の状況を見ると、多くの方が治癒しています。ただし、適応障害が重症化したり、ストレスを乗り越えられないために他の病気を発症している人も少なくありません。特に、うつ病や社交不安障害などの合併が多く、適応障害の症状が6ヶ月以上続いた患者様のうち、約20〜50%に合併症が発症すると言われています。
適応障害の原因となる
ストレスの点数
SCORE
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自身が結婚する
50点
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配偶者が死亡する
100点
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自身が離婚する
73点
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自身が別居する
65点
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自身が病気・障害を抱える
53点
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家族に新しいメンバーを迎える
39点
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自身が退職する
45点
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自身が仕事を変える
36点
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自身の仕事の責任が変わる
29点
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子供が家を出る
23点
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自身が優れた業績をあげる
25点
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自身の学校が始まる
27点
アメリカの心理学者ホームズとレイの調査より引用。
結婚を50点として点数化したものです。
上記の数値は、個人によって異なります。
こんなお悩み
ありませんか?
次のような症状は、
適応障害の可能性があります
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いつも何となく憂うつな気分になる
思考力や集中力、判断力が低下している気がする
涙もろくなると感情のコントロールが難しくなる
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夜、自宅にいるときに不安や抑うつが高まる
肩こりや頭痛、疲労感などの体調不良が続く
不調があるものの、状況によっては普通に過ごすことができる
当院での治療法 -TREATMENT-
治療の基本は、患者様がストレスを感じる環境を調整しながら、ストレスを減らした環境に適応できるようにしていきます。目の前のストレスを回避せず、少しずつストレスを受け入れてギャップを埋めていくことが重要です。心の整理を行うことで、目の前のストレスに対してどのような認知や行動のパターン(解決策)があるのかに気づき、回避せずに問題を解決する方法を考えます。
AFTER SUPPORT
当院の院長である加藤正は、日本医師会認定産業医であり、患者様だけでなく勤務先企業の健康保健担当者も交えて、今後の働き方について三者面談を行うことも可能です。
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環境調整
当院では、患者様だけでなく勤務先企業の健康保健担当者も交えて、今後の働き方について三者面談を行っています。面談をとおして勤務先に病気の説明をすることで、職場全体に患者様の症状の理解を促し、職場復帰を進めていきます。
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問題解決療法
問題解決療法では、日常生活の中で困っているトラブルと向き合い、解決に向けて取り組むことで、患者様の心が少しずつ軽くなり、現実に対処する力を身につけることを目指します。
具体的には、①目の前の問題について整理し、②その問題解決に向けた目標を定め、③解決方法のアイデアをたくさん考え出し、④アイデアを取り入れた場合のメリット・デメリットを検討した上で、⑤計画を立て実際に実行するという一連の流れを身につけます。なお、いきなり解決を目指すのではなく、出来ることから一つずつ、無理なく少しずつ階段を上っていくように取り組んでいきます。 -
認知行動療法
認知行動療法では、患者様が自分の考え方のクセや特徴を知り、物事の捉え方を広げることで、ストレスに負けない柔軟な考え方(ストレス耐性)を身につけます。その場しのぎのような対処の仕方ではなく、まずは自分自身をしっかりと理解し、ストレスの対処方法やストレスとの付き合い方を身に付けることができます。
詳しくは「認知行動療法とは」をご覧ください。 -
マインドフルネス
マインドフルネスでは、自分が感じたり考えていることを「良い・悪い」の評価や判断をせずに、ありのままの考えを受け止めていくトレーニングを行います。呼吸法やボディスキャンなどのトレーニングをとおして、自分の思考や感情を客観的に見つめることで、ストレスに過剰に反応したり無意識に反応したりせず、ストレスを感じている自分を受けとめていきます。その他、当院では、ジョブミーティングなどのプログラムも実施しております。
ご家族・周囲の方へ -FAMILY-
適応障害は、ストレスが患者様の持つストレス耐性を超えたとき、気分が落ち込み、会社や学校、家庭、近所づきあいなどの社会生活に支障が出てきます。一方で、状況によっては普通に過ごせる場合もあります。
「気持ちの問題」「甘えるな」という叱責の言葉は、さらに本人を傷つけることがありますが、逆に「元気を出して」「頑張って」という激励の言葉も本人をさらに追い詰めることがあります。叱ったり励ますのではなく、まずは本人の心を休ませてあげることを最優先に考えてください。なお、適度に体を動かすことは、気分転換やストレスの発散になり有効です。
適応障害の人が発するサイン
- 仕事の能率や、やる気が落ちた
- 仕事の遅刻や欠勤が増えた
- 身だしなみに気をつかわなくなった
- ぼんやりしていることや落ち込んでいることが多い
- 一人でいたがる
- 笑顔がなくなり、すぐに怒るようになった
- 食欲がなくなったり、逆に食欲がありすぎる
- 腹痛や嘔吐などで体調が悪そうにしている