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うつ病

うつ病

うつ病は、何らかの原因で気分が落ち込み、つらく、生きるエネルギーが乏しくなって、その結果、心身のあちこちに不調があらわれる病気です。誰でもなる可能性があります。「心の風邪」といわれますが、風邪よりもずっとつらいし長引いてしまいます。心だけでなく心筋梗塞、糖尿病、ガンなど生活習慣病など体の病気を悪化させます。 2007 年厚労省の研究班の統計では、日本人の約 15 人に 1 人が一生のうちで一度は大うつ性障害を経験することが分かりました。それ以外に双極性障害(躁うつ病)や気分変調性障害、非定型うつ病などを含めるともっと多くなります。女性は男性よりも 2 倍も多くて、最近では職場の 30-40 歳台の男性、子どものうつ病、老人のうつ病なども問題になっています。

うつ病の症状

  • 憂うつや気分の落ち込み、絶望感などの気持ち
  • 今まで楽しめていた趣味や娯楽が楽しくなくなる
  • 食欲の低下や体重が減少する
  • なかなか寝ることができなかったり、途中で目が覚めてしまう
  • 行動が鈍くなったり、口数が減ったり、声の抑揚がなくなる
  • 疲れやすくなったり、仕事や日常生活の行動が低下する
  • 自分に価値がないと強く思ったり、自分を責める
  • 深く考えることや決断することができなくなる
  • 消えてしまいたいと考えることがある

    大うつ病性障害(通常これがうつ病と呼ばれる状態)
    上記で2 つを含む 5 つ以上の症状が 2 週間以上続いている。
    小うつ病性障害
    大うつ病性ほど強くない「軽症うつ病」
    気分変調性障害
    軽いうつ症状が毎日 2 年以上続いている状態。
    大うつ病性障害になることもある。
うつ病の症状
便宜的にうつ状態の図を表しました。不安障害等は含まれてはいません。うつ病には何種類かタイプがあり、治療対応が異なります。専門的な分類は他にもありますが、便宜的に図にしました。
病状は重なったり変化するので正確ではありませんが、便宜的に表してみました。治療は、以前のように「とにかく休んで、薬を飲んで、周囲の人は励ましてはいけない」といったワンパターンではいかないことが多くなりました。ある程度タイプ別に対応する必要が出てきました。

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躁うつ病

以前は躁うつ病と呼ばれ、日本では 0.4 %が一生のうち一度以上かかると言われてきました。
今は、双極性障害と呼ばれ、病気の概念もかなり変わりつつあります。躁状態は気分が高揚して自分は何でもできると誇大的になり、夜も眠らなくても平気になり、アイデアが頭にどんどん湧いてきて、多弁、活動的になり、じっとしていられなくなります。周囲とのトラブルが多くなり、浪費、衝突、制御ができなくなります。躁の期間とうつの期間を周期的に繰り返す方も見えます。最近は軽いタイプを含めると、かなり多く、増加してきている印象を持っています。

始めは躁的な周期がはっきりせず、うつ病だと思って治療をしていたら、実は「軽い」双極性障害(双極U型またはV型障害、ソフトバイポーラーという呼び方もあります)だったということがあります。(単極性)大うつ病性障害と間違われ、抗うつ剤が効かず、治療がうまく行かず、中には「人格障害」と間違われた方もみえます。「見逃されてきたうつ病(気分障害)」という言われる方もあります。現在は効果のある良い薬があるので治療可能な病気です。周囲の人、特に夫婦での理解が必要(配偶者が疲れ切っていることが多い)です。配偶者カウンセリングが有効です。

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非定型うつ病

夕方になると気分が沈んだり、過食や過眠が多くなったり、体が鉛のように重くなったり、人間関係に敏感になるなどの症状がある場合は非定型うつ病かもしれません。うつ病との違いとして、うつ病は朝に体調が悪くなるのに対して、非定型うつ病は夕方以降に気分が沈むことが多くあります。特に女性に多く、周囲からは甘えていると誤解されることもあります。

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季節型うつ病

季節型うつ病は、一年を通して劇的に変化します。
特に多いのが、夏になると元気でいるが、冬になると憂うつになったり気分が落ち込んだりします。

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仮面型うつ病

仮面うつ病とは、憂うつや元気がなくなることを主訴とするのではなく、頭痛や肩こり、腰痛、めまいなどの身体的な症状を訴えることが多くあります。

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女性のうつ病

女性は、うつ病に男性の2倍近くもなりやすいと言われています。「日本は男女共同参画社会」と言われますが、まだまだ女性は社会的にストレスを受けやすい立場に置かれているのかも知れません。また女性特有のホルモンが関係します。

月経前不快気分障害

半数以上の方が月経前に気分が沈んだり、精神的に不安定になります。周期的に1年以上続いたら要注意です。

出産後のうつ病

最近、受診される方が多くなり、子育て経験のあるカウンセラーご相談を担当させて頂き効果があるようです。
出産後の時期は特有の精神状態で、半数以上の女性がマタニティーブルー(抑うつ気分)になります。マタニティーブルーは正常な反応で、産後3-4日から涙もろさを主とした軽い気分の変調が出現し、数日間で消失します。経験すると産後うつ病になりやすくなると言われています。

産後うつ病

出産後の女性の10-15%は、強い不安、パニック発作、「生まれてきた子供に愛情がもてない」など一般的に育児に関する悩みが中心で、「自分はダメな母親だ」など母親としての役割に対する不全感、絶望感などのため、不安、困惑、自責感、希死念慮などの症状が強く出る場合もあります。初産婦に多く、産後1-3ヶ月に目立ちます。母乳で授乳されている方も多いため、薬を使うかどうかはご相談の上治療を進めます。


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更年期のうつ病(男女とも)

英国の調査ですが、更年期女性の 8 割以上が何らかの更年期障害の症状を体験しているという報告があります。ほてり、夜間の発汗、不眠などの身体症状やうつや不安などの精神症状のどれかを体験し、医学的な治療を受けるほどに悩んでいる人は、その半数程度だったというものです。

性ホルモンの変化に加えて、子どもの自立の他、様々な病気や加齢の自覚、親などの介護、病気、夫婦の関係などがストレスになることが増えてきます。ほてりや発汗などの自律神経症状はホルモン補充療法などの婦人科的な治療でかなり改善しますが、抑うつ感が強くなってきたり、気力がなくなってきたりする場合には抗うつ薬などが精神科的な治療が必要になります。女性ホルモン補充では、うつの改善効果はないとされています。

男性の更年期

女性のメノポーズになぞらえて。男性の更年期を意味する「アンドロポーズ」という言葉を提唱する専門家がみえ、日本うつ病学会でも話題になり、拝聴しましたが、加齢以外に夫婦間の問題が大切なようです。


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子どものうつ病

思春期は、うつ病や社会不安障害、強迫性障害、パニック障害などの不安障害や摂食障害などが発症しやすいハイリスクな時期です。これらの問題が起きると、その後の学校・社会活動や友人関係などにも影響してくるので、問題が合併したり、長期的になってくることがあります。早期発見・早期治療が大切なのですが、子どものうつ病は、診断基準などの見解が一致していないので見逃されやすいこと、子どもさんがなかなか治療機関につながりにくいということがネックになってきます。子どもの 4 %― 20 %程度(最近ではもっと多いという報告もあり、かなりバラツキがあります)が、うつ病または気分変調性障害という報告もあり、また「大人の気分変調性障害の 75% は、小児期または 10 才台から症状があり、小児期にその 20 %しか治療を受けていなかった。またその多くが大うつ病に移行していく」という報告もあり、こうなると「気分変調性障害=軽症」とは決して言えないし、見逃せません。従来、 15 才頃から、うつ病は増加してくると言われてきましたが、最近は、低年齢化してきているようです。また、自殺企図が多いというのが特徴です。双極性障害は、思春期で 0.6%以上という報告があります。

当院では、カウンセラーの面察、箱庭療法などに加えて、家族教室など子どもさんの病気を理解することで、「家族も一緒に病気を治そう」という目的で家族会なども運営しております。

子どもさんが「なぜリストカットをするのか?」「どんな気持ちか?」「なぜ過食嘔吐するのか?」「なぜ人の中に入れないのか?教室にいれないのか?」など親が理解して、受け入れることは、とても重要ですし、効果があります。ある男の子が「最近、勉強に身が入らず、不登校になった」と言うことで受診されたのですが、その後、小さい頃から「頭の中で確認の儀式をしてしまう(メンタルリチュアル)」強迫性障害(重度)と二次性のうつ病があることが分かりました。普通、この状態ではもっと前から学校になんか行けるはずありませんが、彼は「とてもつらい思いをして」ここまで頑張っていたのです。 「つらさの原因」が本人と家族に分かり、共有できただけでも大きな前進でした。本当にここまでよく頑張ってきたな、と感心しました。

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高齢者のうつ病

高齢になると、体が不自由になったり、定年によって社会的な役割も失います。
このような環境の変化によって、気分の落ち込みや興味が喪失して、物事を極端に悲観的に考えてしまうことがあります。
また、睡眠障害、体の痛み、食欲不振、全身倦怠感などの症状も現れてきます。

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全身疾患のうつ病

身体疾患が抑うつを引き起こすことがあります。
糖尿病、心筋梗塞、ガン等との関係があることがよく知られています。最近では、これらの身体疾患の後にうつ病が合併すると、生命予後に影響を与えます。

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